同人誌

どうじんし

同人誌とは、同じ趣味を持つ人（同人）が集まって作られる本のこと。

複数人で集まって出す本（合同誌、アンソロジー)もあるが、個人で出す本(個人誌）が多数を占めている。

漫画をまとめたもの（漫画同人誌）、イラストを集めたもの（イラスト本）、詩や小説を集めたもの（文芸同人誌）、批評や研究成果をまとめたもの（批評誌、評論誌、資料集）などがある。また、大部数の出版が望めない古い漫画や文芸作品、資料集を同人誌形態で刊行することもある。

概要

同人誌のはしりは明治時代に刊行された文芸誌『我楽多文庫』である。最初は原稿をまとめて綴じた回覧誌だったが、評判が高まるにつれて活版印刷されるようになり、書店にも出回るようになっていった。無名だった頃の太宰治や芥川龍之介、菊池寛など、現代に名を残した作家たちは作品の発信媒体が限られていたこともあって同人誌からの出発が多く、そこから注目を集めていった。

コピーや印刷が手軽に行えなかった頃の同人誌は、学校の漫画研究会などのサークルや友人同士によって描かれた原稿を綴じた冊子を、仲間内で直接回覧したり小部数を仲間内に配布するケースが多く、多くの人の手にわたる形態にはなっていなかった。

印刷技術の発達により、数百部程度の部数のイラスト・漫画本を作成し多くの人に頒布することが可能となり、同人誌即売会も金銭を対価とした頒布がメインとなった。委託書店を利用することによって、大部数を店舗や通販で常時頒布することもできる。

インターネット、デジタル制作環境の普及に伴い、データ化した原稿をホームページに掲載する、CDに収録して頒布するなど、展示/頒布の幅がさらに広がった。pixivでも、漫画形式で複数原稿をまとめて掲載展示することが可能である。