皇太子
こうたいし
概要
日本国においては、天皇の長子がこれに当たる。現在では徳仁親王殿下。東宮(とうぐう)とも呼称される。
日本では自国の君主の後継者を皇太子と呼んでいたせいか、外交文書においてほとんどの独立国の君主も「皇帝」と呼んでいた経緯があるためか(詳しくは親記事参照)、王であろうが公であろうがアミール(「首長」と訳される、アラブにおける君主号の一つ。儀礼上は王より順位が低い)であろうが、とにかく一国の君主位の継承者であればなんでも皇太子と呼ぶのが一般的である。本当は、例えば王の後継者であれば王太子とするなど、使い分けすべきであろう。
厳密な意味の皇太子は(日本を除けば)、全ての帝政国家が潰え、2011年7月4日に最後のオーストリア帝国皇太子オットー・フォン・ハプスブルクが98歳で亡くなった現在は存在しない(ただし、より詳細に言うならばイランのシャーを皇帝と認める場合はパーレビ朝の元皇太子が存命である。)。
また、欧州においては皇太子あるいは王太子に自国の歴史と関連深い称号を授けられるのが一般的であり、
- イギリス王太子は「ウェールズ大公(プリンス・オブ・ウェールズ)」(ウェールズ元首として)「コーンウォール公」(イングランド王太子として)「ロスシー公」(スコットランド王太子として)
- スペイン王太子は「アストゥリアス公」(現在のスペイン・アストゥリアス州がレコンキスタ発祥の地とされ、また歴史的にアストゥリアスがレオン→カスティーリャ・イ・レオン→現スペインと発展していった経緯から。イギリス同様、現スペインの前身国家の皇太子の称号(アラゴンの『ジローナ公』、カタルーニャの『サルベラ伯』など)も付随して有する)
- オランダ王太子は「オラニエ公」(12世紀末発祥の欧州貴族「ナッサウ家」の分家。かつて現フランス領のオランジェ(オランダ語でオラニエ)を領土としていた事から)
- ベルギー王太子は「ブラバント公」(ブラバントは現在のベルギー北部とオランダ南部にまたがる、カロリング朝フランク王国に起源を持つ国家。幾多の変遷を経て1840年ベルギー王太子の称号となる)
- フランス王太子は「ブルターニュ公」
- ロシア皇太子は「ツェサレーヴィチ」(皇位継承権を持たない皇子が「ツァレーヴィチ」と呼ばれるのに対する)
- 選帝侯によって神聖ローマ次期皇帝に選出され、ローマ教皇からの戴冠を待つ状態の者(よって正確には皇太子ではない)は「ローマ王」
などがある。
皇太子(王太子)が摂政を兼任する場合、摂政宮(せっしょうのみや)とも呼ばれる。
「大公」「公」「侯」「伯」の法定推定相続人
神聖ローマ帝国の諸侯が独立したルクセンブルク大公国やリヒテンシュタイン侯国、境遇は少々違うがモナコ公国では、現在でも諸侯の称号である「大公」「公」「侯」を君主の称号としている。
これらの国家や、そもそもの諸侯における法定推定相続人は特にドイツ語において総称してエルププリンツ(Erbprinz)と呼ばれ、日本語では「公世子」「侯世子」「伯世子」などと表記される。