概要
flat face氏による、ローマ帝国の皇帝たちを中心とした様々な人物を描く歴史創作長編小説である。戦国時代などの日本史や中国史を題材とするものが多いこの分野には珍しく、古代ローマすなわち西洋史をテーマとしている。
この作品は実在の人物たちが活躍する物語だが、あくまでもキャラクター小説(広義のライトノベルとも言える)であり、フィクション要素が強いため、そのような作品に違和感を覚える者は注意されたい。例えば史実からするとあり得ないイベントがあったり、皇帝の家族が皇室と呼ばれるなどの実際の歴史用語との差異、一部のキャラクターがフタナリ・女体化などが見られる。ちなみにエロチックな要素もしばしば見られるのでそちらも注意。
しかしその一方で氏のプロフィールページを見れば分かるように、相当量の原著資料を参考にしているため史実を元にした描写もかなり楽しめるものとなっている。
また、軽く100人を超える登場人物たちのイラストも氏の簡潔なタッチによって描かれている。
作中で取り扱われる時代は主にポエニ戦争からユスティニアヌス大帝の治世までであり、これは作者が「ローマ帝国」と考える時代でもある(ただし番外編などではさらに広い時代を扱っており、王制ローマ、神聖ローマ帝国、オスマン帝国、ロシア帝国についても触れられている)。また、ローマ史の影の主役とも言えるキリスト教についてはあまり触れていない。詳しくは作者による序文を参照されたい。
そしておそらく、この作品の「真の主役」はカエサルでもアウグストゥスでもその他様々な個性あふれる歴代ローマ皇帝でもその周りの部下や女たちでもなく、ローマ帝国そのものであろう。
構成
詳細は総目次を参照のこと。
総目次、序、前史、第零部~第十五部、完結編、番外編、後記、跋にて完結の予定であったが、後に解題が追加され2014年3月に約3年8ヶ月の期間をかけて完結した。各部は目次および概ね5章ほどの本編からなり、各部の目次などの節目には様々な著作から文句が冒頭に引用されている。また各章とも1ページではあるが、その中で3節ほどに分かれている。ただし、第零部と完結編は中核となる5章の他に前日譚や後日談が存在し、番外編は各部の時代と時代の合間などがテーマとなる18話及びその前の時代や後の時代をテーマとした7話の短編集となっている。解題は本作の参考文献が淡々とまとめられているのみで、恒例の引用文もない。
短編集の第五話に相当する話は「第五帝国の宣伝相」のタイトルでアウグストゥス没後2000年記念Webアンソロジー「世紀祭」に掲載されており、企画終了後にpixivに転載される予定である。
文字数は概算で120万文字であり、これは原稿用紙3000枚、単行本7,8冊分に相当する文量である。
続編
2014年11月22日時点、続編的作品として、フランス革命期を描いた小説ナポレオン帝国が執筆中である。本作においける時系列で終わりに当たる神聖ローマ帝国末期に、本作中の登場人物によってあることが予言されるところから物語は始まる。