クイーン・ビッチ
くいーんびっち
(画像はイメージ)
(プロット上に見られるだけであり、実際の姿は不明)
※たとえば楽曲名など、他の事象にも「クイーン・ビッチ」を冠する物事があるため注意。
背景
1998年公開のローランド・エメリッヒによるゴジラ、通称「エメゴジ」は、本来は三部作のシリーズとなる予定だった。この企画が通っていれば、第2作目の時点で「わずか2歳ぐらいなのに巨大化済みで放射火炎を体得し、米軍の奇襲と総攻撃も生き延びる」ゴジラ2世とその子供達が拝めるはずだった。
(当時は2017年現在よりも、例えば中国などの市場規模が小さかったにもかかわらず)興業収入上は十分に成功していた。が、とくにコアなゴジラファン等々からの評判がよろしくなく、さらに玩具等の関連商品の売り上げが振るわないことが決定打となり、続編の企画がお流れになってしまった。その後、版権がトライスター社から東宝に戻ったことで、いわゆるお蔵入りに近い形になった。
- ゴジラの玩具で放射火炎ミサイルが付いていたのは、撮影直前までは放射火炎を吐く予定だったことの名残だろうか。
クイーン・ビッチが東宝怪獣をモチーフとしていないのは、ヤン・デ・ボンが起用されていた時期に東宝とヤン・デ・ボンまたは制作側との都合または意見の非一致があったからだとされており、このことはエメリッヒチームにも多大な影響を与えた。このときに東宝がオファーしていたのは、後の「モンスターバースシリーズ」にも登場することになるモスラ・ラドン・キングギドラであったらしい。
- エメリッヒ版の続編の制作が決定したと一時期は報道されていたのだが、その時に「二本首のギドラ」が出るという噂または発表があったとか。
- 「二本首のギドラ」は、同じく計画がとん挫した昭和ガメラ版怪獣大戦争のラスボス「双頭怪獣W」(ワイバーン)と見た目が似ていたのかもしれない。
- 企画がとん挫した続編を基にしたアニメシリーズ「ゴジラ・ザ・シリーズ」でも、東宝怪獣の出演がことごとくダメになったことにも影響していたのかは不明。
概要
まず名前だが、公式名称である。
英語表記は「Queen Bitch」。
特徴としては羽があるシロアリのような怪獣であるとされ、繭または卵を建物に張る。ゴジラを麻痺させるほどの強力な毒針を持ち、軍隊との戦闘も可能。飛行もできる。クイーン・ビッチはいわば女王アリであり、眷属の虫を捕食することもいとわない。人間を生きた餌とする。
後述の通り、クイーン・ビッチも「怪獣島」の出身。ゴジラが人間にだまし討ちにされた後に島を脱走、後にシドニーを蹂躙する。ゴジラとの戦闘に突入し、ニックの手およびゴジラの火炎で卵が破壊されてしまう。卵を失ったことで怒り、ゴジラの子で未熟児の「RUNT」を殺し(たと思いこみ)、(餌として)ヒロインを拉致、怪獣島に逃走する。が、最終的にはそこでゴジラに敗北することになる。
ゴジラだけでなく有害無害や系統問わず、数多くの生物が核実験の影響で怪獣化しており、クイーン・ビッチとその種族もその一端であった。とくに昆虫類は人間界への影響が多大であり、北米やオセアニアで多大な被害をもたらす(ゴジラの仕業とニックとヒロイン以外の人間は勘違いする)。
そして、それらを制することができる唯一の存在がゴジラ族である。ゴジラ族は昆虫達を捕食する天敵であり、オーストラリアとその近くにある「怪獣島」における怪獣の生態系の頂点だった。火炎を吐くなど、ゴジラ族もこの生態系を組み伏せるに必要な進化を遂げていた。また、ゴジラがこれらの昆虫を怪獣島に封印することができていたので、被害の拡大が抑えられてきた部分がある。そして、ゴジラ族をだまし討ちにした人類が、「ゴジラこそが世界存亡の鍵」だと気づいた時にはすでに遅し、逆に自らの首を絞めることになった。
なお、クイーン・ビッチとの戦闘に勝利したゴジラと、生き残った唯一の子「RUNT」を排除しようとする軍隊から守ったのは、他ならない人の輪であった。
余談
- 「ゴジラ・ザ・シリーズ」には、設定と名前が少し似ている「クイーン・ビー」がいる。
- 2014年版の『GODZILLA』に登場したMUTOは、「生態系の調停者であるゴジラが天敵」、「ゴジラがいないと世界が破滅する」、「建物に卵を産み付ける」、「卵を主人公に破壊されたことで怒り、主人公を殺そうとした直前にゴジラに撃退される」、などのクイーン・ビッチとの共通点が海外では指摘されている。また、ヤン・デ・ボン版の敵であった「グリフォン」も、その立ち位置がMUTOを反転させたようなものだった。
- 皮肉だが、レジェンダリー版のゴジラが「アルファ・プレデター」とされていたが、この続編の設定を前提に置けば、トライスター版ゴジラの方が「アルファ・プレデター」として説得力がある。
- 2004年公開の『ゴジラファイナルウォーズ』に登場した「ジラ」が登場したのもシドニーだが、監督の北村龍平がシドニーを元々気に入っていたという噂もあるので、関連性の実情は不明。