概要
南米原産のアリ。働き蟻のサイズは2.5ミリから6ミリ。赤茶けた体表をしており、腹部は濃い黒茶色になっている。
毒針を持ち、刺された時の激痛は凄まじい。その痛みはまるで火傷のようであり、ファイアーアント(火蟻)の名の由来となっている。
そのアルカロイド性の毒は傷みだけでなく各種のアレルギー症状を引き起こす。
痛み、痒み、じんましん、発熱、強い動悸といった症状が知られており、アナフィラキシーショックによる人間や家畜の死亡例も多い。
これは針を何度でも刺す蟻の生態によるところも大きい。火蟻は刺す前に噛み付いて自身を固定するため振り払うのも困難である。
地面の上からでも見える円錐形のアリ塚を巣とする。地上部分と地下部分を合わせるとラグビーボールのような形状である。
攻撃性が強く、死んでいない小型の爬虫類すら集団で襲い餌食とする。
一匹の女王蟻が一日に100個の卵を産み、繁殖力も凄まじい。しかも、一度交尾さえすれば女王アリ単体で産卵可能という悪夢のような仕様である。
アメリカ合衆国での害は有名であるが、貿易の積荷などに混ざってオーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、タイ、フィリピンなど海の向こうの国々にも拡散している。日本の近くでは中国と台湾で既に発見されている。
日本でも2017年6月に中国から兵庫県尼崎市に運ばれたコンテナにて発見される。環境省は繁殖している可能性は低いとしつつも、侵入を否定もできない、と発表している。その後、周辺を念入りに調査している。
その後、神戸港、名古屋港、東京品川区の大井ふ頭でも発見されている。
神戸港でも発見された時点で、国交省は全国の自治体に港にヒアリが侵入していないか調査するよう求めた。
ちなみにヒアリの天敵はアマゾン等に棲息するノミバエである。サムライアリはヤマアリ属のアリしか狙わず、ヒアリは含まれないので天敵になってくれない。
日本在来のアリの中にはヒアリに似たものもいる。ヒアリの進出を留め得るのは縄張り意識の強い彼らであるため、誤って駆除され過ぎるとその隙間にヒアリが入り込む事態が生じ得るので注意。