CV:堂ノ脇恭子
概要
愛乃めぐみの母親。
めぐみと瓜二つの顔立ちで、ママキュア恒例のおおよそ中学生の娘がいる母親とは思えないほど若々しい容姿をしている。
今までのママキュアと比べて特徴的なのは見た目でなくて気も若いことで、「おばさん」と呼ばれる事に抵抗がある模様。
性格もわりと子供っぽいところがあり、もしかすると見た目だけでなく実年齢そのものが若い可能性もある(低年齢出産)。
得意料理はクリームシチューで、「またクリームシチューにしちゃおうかな」と言っていることからかなり頻繁に作っている様子。
また、自家製のジャムも作っており、パンケーキに非常によく合うとか。
夫の愛乃勝は海外へ単身赴任中であるらしく、隣家の相楽家も母親が長距離トラックの運転手で不在がちということもあって、誠司と真央の兄妹をよく夕食に招いている。
その相楽家の母親である寛子とは親友同士というべき間柄のようで、めぐみが生まれる前からの付き合いの様子。
相楽家の子供たちはかおりにとっては家族同然であり、誠司と真央にとってもかおりはもう1人の母親である。めぐみも小さい頃からそういう環境で育ったため、誠司は「きょうだい」であって異性関係という意識がない。
体質について
人前では元気そうに振舞っているのだが、実は生まれつき身体が弱く、無理をすると寝込んでしまう。
めぐみの発言から、薬をたくさん飲まないといけないことが判明している。
めぐみがプリカードを全て集め、叶えたい願いも、母親の病気を治したいというもの。
裏を返せばそれだけ治療が難しい病を患っているとも取れる。
このことはめぐみだけでなく誠司も気にかけているようで、彼がめぐみのプリキュア活動のサポートに名乗り出たそもそもの動機は「めぐみのことがかおりさんにバレると心配をかけてしまうので、自分がめぐみの秘密が漏れないように見張らなくちゃいけない」という部分が大きかったようだ。
病気の詳細については作中では明確には語られないが、それだけでなくめぐみも詳しいことは知らされていない。これはめぐみの両親がともに「めぐみに心配をかけたくない」という理由で詳細な情報を与えてないからである。36話で断片的に語られた内容だと、かおりの病気は現代医学では治ることは不可能であることが示唆されている。しかし、薬を飲み続けて無理をしなければ日常生活を送ることに支障はないようで、同話で一年ぶりに再会した夫の勝から体調について聞かれたとき、かおりは「悪くはなっていないが、良くもなっていない」と冷静に答えていた。
プリキュアシリーズではメイン主人公の親にあたるキャラクターは「子供が100%頼ってもいい存在」という安心感を強調するためか、心身ともに健康でバイタリティあふれるキャラクターとして描かれていた。
死の予感を連想させ、子供の方が支えてあげようという形に描かれたのは本作が初である。
(もっとも、メイン主人公以外のプリキュアの親ならば、死別している者もあれば悪堕ちして敵対する者まで様々なタイプがいる。また、親ではないが兄弟が病弱というパターンもあった)
めぐみとの関係
かおりは本編でそんなに出番が多いキャラではないのだが、主人公である愛乃めぐみの人格形成に大きな影響を与えたキャラクターとして設定されている。
めぐみは、物心ついたばかりの小さい頃から病弱なかおりのお手伝いをしなくてはならない環境にあり、かおりは頑張っているめぐみをよく褒めてくれていた、このことがめぐみにある種の刷り込みとして植え付けられ、大きくなってからもめぐみの行動原理や価値観の根底に「母親に褒められるようなことをしたい」ということが根付いた。そもそもめぐみがこだわっている人助けもかおりが「みんなが笑顔でいれば幸せになれる」と何気なく言った言葉に縛られているからである。
しかし、かおり自身には自分がそこまでめぐみのアイデンティティを支配している自覚はない。めぐみは母の前では気を遣ってそんなそぶりを見せないからである。
一方、かおりもめぐみに気を遣わせないように病気の詳細な情報を隠していた。めぐみはそのことに気づいていない。
そのため、「めぐみが考えるかおりが幸せになるようなこと」と「かおりが本当に幸福だと思うこと」には若干のズレが存在している。この母子の関係は確かに愛情でつながっているのだが、行き違いも存在しているのだ。
かおりは自分が病魔に侵されていることをもはや日常として受け入れており、むしろ日々の生活に幸せを感じて満たされている。ゆえに、病気を治して元気になりたいという希望自体を持っていない。現実的に無理だから諦めてるとかでなく、本気で病気である自分を不幸だとは感じていない。病気で可哀想などと同情することこそかおりに対する最大の侮辱なのである。
「現実を受け入れて幸福を感じれる素質」はさすがめぐみの母親と言えるが、当のめぐみは「病気の母のために頑張らなくては、母を幸福にできない」と思い込んでいた。裏を返せばめぐみは「今の母は不幸である」という思いがどこかにあったのである。
めぐみが母から「娘のあなたがいるだけで自分は幸福に満たされている」と聞かされたとき、普通の娘ならばそれに感動するところなのだろうが、愛乃めぐみという少女にとっては、母の告白は今までの自分のアイデンティティを崩す衝撃となってしまった。
このことで、めぐみは今までの自分は「自分が規定する幸福のありかた」を他人に押し付けてしまっていたことに気づいて大きな悩みに陥るが、最終的に、それでも自分はその生き方をやめることはできないと悟った。自身のエゴイズムへの自覚と、それを貫く覚悟を決めたことは、めぐみをイノセントフォームへと覚醒させることにつながった。
初期プロットでは・・・
『ハピネスチャージプリキュア! オフィシャルコンプリートハンドブック』によると、元々は「大いなる願いを使って世界を救うか、母親を救うか」という究極の選択がめぐみに突きつけられるというプロットが存在していたらしい。
そもそも母親が病弱であるという設定自体がこの究極の選択を作り出すためのものであったのだが、番組が進んで行く中で「重い展開になりすぎる」と見直しが図られ、このプロットは採用されないこととなった。
そのため「実は母親の病気は命に関わるものではなかった」という設定が後付けで追加され、めぐみはそれを知らされてなかったという展開となったわけだ。
本作では「大いなる願い」の要素が最終的にはあまり活かされていないという指摘もよくされているが、その原因はこの方針転換によるところも大きい。
中の人
CV担当の堂ノ脇恭子はおジャ魔女どれみシリーズや明日のナージャなど過去の同時間帯の番組には出演しているが、プリキュアシリーズには本作が初出演(のちに『プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!』(2016年3月公開)において魔法の先生役で出演)。
関連タグ
星空育代・・・顔立ちが娘と似ているママキュア繋がり。どちらも主人公の母親であり、髪色なども心なしか似ている。ちなみに育代さんの中の人は本作では敵の首領役である。
水瀬秋子・・・同じく子持ちとは思えないほど若々しい母親繋がり。加えて自家製ジャムを作っている点も共通だが、こっちのジャムは劇物レベルのシロモノ。ちなみに前述の育代さんの中の人はこの人の娘も演じており、何とも意味深な関係である。そして秋子さんの中の人もプリキュアシリーズに出演したことがある。