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かぶと

頭を防護するために被る防具・武具。

概要

兜とは、打撃・斬撃や飛来・落下物などから頭部を守るための防具

兵器の変化によって戦場で鎧が廃れた近代以降になっても、

素材や形状は大きく変化したものの頭部を守るアーマーとして使用されている。

※道具名称の「ヘルメット(Helmet)」は「兜」の英語訳


頭部には生命を左右する脳や喉などの急所、

他にも目・耳・鼻などの感覚器官があるため、

実際の戦場では兜を装備しないと言うことはまず有り得なかった。

ただ昨今のアニメやゲーム、漫画などでは頭部、取り分け

キャラクターの判別点として多用される髪や顔が隠れるという

ビジュアル的なマイナス点から特にフェイスガードを有したり

顔面の露出部が少ない物は装備していない

(人物では作中内で重要な位置を占める「名有りキャラ」程その傾向が強い)ケースが多く、

装備しているキャラクターは“戦闘職の人物”または

「画一化された人間性の無い戦士」を強調するケースが多い。


兜の部位名称

  • 鉢(はち/スカル)

兜の本体ともいえる部位で、頭部急所である頭蓋を覆って保護する部位。


  • 錏(しころ/ナップガード)

後ろ側の首を守る部位。時代が下るにつれて鉢の後部から伸びたような形状になる。


  • 頬当(ほおあて/チークピース)

頭部(顔)の側面を保護する部位。鉢と一体成型であったり、

留め金で取り外し可能なものがあるなど時代ごとに形は様々。


  • 面頬(めんぼお/フェイスガード)

顔面部を守る部位。鼻だけ守るものや可動式のマスク型など形は幅広い。

視界や呼吸を確保するために必然的に切れ目や細かい穴を備えることになるが、

武器格闘技術が発達すると、その細かい隙間を狙う高等技も登場していく。


形状による分類

  • オープン・ヘルメット

顔面部分が露出しているタイプ。

古代ギリシャ、ローマ帝国時代からあるような古いタイプの兜は一部を除き、

このオープン型が多く存在している。


  • クローズ・ヘルメット

オープン型に面頬を付属し、頭部全体を保護するタイプ

(この形態は“喉当て”も加わり首もカバーしている)。

板金鎧が発達した時代にこのタイプの兜がよく見られる。

後述の“クローズ・ヘルム”はこの分類と同じ意味の名。


  • 帽子型兜

ハット型の帽子に近い形をした兜で、全体を板金で作るか、

金属の骨組みを厚い布で包むタイプのものがある。

古代ギリシアの重装歩兵が使った“ピロス兜”、中世期ヨーロッパの“ケトルハット”、

近世の騎兵・銃兵が使った“アイロン・ハット”などがある。


西洋の代表的な兜

  • スパンゲン・ヘルム

フランク人によって6世紀頃に登場。ヴァイキングもこのタイプの兜を使ったとされ、

そのためヴァイキングは“頭の尖った略奪者”と呼ばれることになった。

複数の鉄板を鋲で留めて形成してあり、頭頂部が丸いか水滴のように尖った形になる。

左右の頬当て・眼鏡型の面頬が付属しているものも多い。

実際に装備できたのは、貴族・豪族などの有力者クラスだったらしい。


  • ノルマン・ヘルム(カスク)

名称の通り、中性暗黒時代のノルマン人が使用した兜。

頭頂部が滴型に尖っており、頭蓋だけを守るシンプルな構造をしている。

兜の端一箇所から延長したように、鼻を守る面頬(ネーザル)が付属したものもある。


  • グレイト・ヘルム(バレル・ヘルム、ヘルム、オーム)

タル型・バケツ型の兜。名称での“ヘルム(Helm)”とはこの兜のことを呼ぶ。

円筒形の兜に視界を確保するための穴・スリットなどが開いている。

スッポリと頭を包むように乗せて重量を支える形のため首への負担が大きく、

視界が大きく損なわれ、さらに通気性も悪いため戦い続けると呼吸が辛くなる。

しかも開発された当初の形状は頭頂部が平らであるため、

剣で殴られた衝撃を分散しきれず頭に伝えてしまう。この衝撃に関する問題は、

のちに頭頂部を丸いまたは尖った形に作ることである程度解決した

(この尖った形状は“シュガールーフ”と呼ばれる)。

しかし金属の製造技術が向上したことにより兜も性能のよいものが新たに作られ、

性能の悪いグレイト・ヘルムはやがて実戦の場から廃れていった。

後世、騎馬を用いた武芸試合「ジョスト」用に再び脚光を浴びることになる。

軽量化された当時の実戦用ヘルメットと異なり、強固な装甲があるため

騎馬突撃の強烈な衝撃から頭部を守るためにヘルムが選択されたらしい。


  • バシネット

頭頂部が雫型・砲弾型に尖った兜で(丸いものもある)、顔面部が開いている。

14世紀前半から騎士の標準装備にもなった兜。

顔面部を守るようにバイザー(面頬)が付属しているタイプが多く見られ、

そのうち尖った鼻を備えたバイザーは“ハウンドスカル”や

“ピッグフェイス”と呼ばれる。構造上、グレイト・ヘルム同様に

兜の重量を頭のみで支えることになるため、首への負担は大きい。

まだバイザーがない時代、財力のある騎士はバシネットの上からグレイト・ヘルムを

重ねて被ることもあったため、その場合はかなりの重量を支えることになる。

このバシネットを強化したタイプに“ピコケット”と呼ばれるものがあるが、

この兜はバイザーが丸く作られており、喉と後ろ首を守るプレートが追加され、

後世のアーメット(後述)に類似した輪郭を持つ。


  • サレット(サーリット、サラド)

頭部上半分を覆うタイプの兜。兜の後頭部が後ろに長く伸びているのが特徴。

視界を確保するスリットが空いているか、又はスリットを備えたバイザーで目元を守る。

騎士などが板金鎧で重装備する場合は顔の下半分を保護する鎧とセットで装備したが、

徒歩で戦う軽装歩兵などはサレット単体で頭を保護した。

この兜の原型として、一体成型タイプの“チェラータ”という兜が古い時代からあった。


  • アーメット(アルメ、アルメット)

複数のパーツを組み合わせ、頭の形状に沿って作られた兜。

左右に開閉する頬当ての上からバイザーを重ね、顔面部を保護する。

この頃には板金鎧のプレート・アーマーが登場していたため、

アーメット兜を首の鎧に乗せて肩で支えることが可能となり、

グレイト・ヘルムやバシネットの欠点を解消して首への負担を減らした。


  • ケトルハット

鍋型の兜。兜の縁に鍔を備え山高帽子のような形状の帽子型兜。

頭蓋のみを覆うタイプと目下まで覆うタイプがあるが、

この目下まで覆うタイプには、視界を得るためのスリットが空いている。

頭を前に傾けるだけで放物線軌道で降ってくる矢の攻撃から頭部を守れるため、

多くの弓兵が装備したらしい。構造上、側面部の保護が疎かになるため

チェイン・メイル鎖帷子)の頭巾(コイフ)と重ねて装備することが多い。


  • バーバット(バルビュータ、バービュート)

古典から新しい発見をする“ルネッサンス”の影響によって作られた兜。

古代ギリシアの“コリント式兜”をモデルに作られており、

アゴまで届く丸兜であり、口から目の部分が開けるように

兜正面にはY字型またはT字型のスリットがある。


  • クローズ・ヘルム(クロス・ヘルム)

頭部全体をプレートで包む兜。形状はアーメットに類似しているが、

サレットの強化発展によって形が成り立ったとされる。

鉢に備えられた長いトサカ型突起が特徴で、顔を守る面頬だけではなく

首を保護する喉当(ビーバー)も上下に開き可動する。


  • バーゴネット

クローズ・ヘルム同様、サレットが発展して作られた兜。

錏を備えた丸い鉢に長いトサカ型突起を備え、

頭部正面にキャップのような庇がある。可動式の面頬があり、

この面頬が顔のように装飾されているものを“トーテンコップ”の愛称で呼ぶ。

時代が下って鎧が軽量化する頃になると面頬を廃して頬当てが加わり、

複数の敵兵を相手にする当時の戦術に対応できる形になった。


  • モリオン

16世紀ごろから軽装騎兵用・歩兵用に使われた帽子型兜。

鍔を浅く2枚折りにしたような形状で、

鉢にはトサカを備え、頬当を加えるタイプも存在する。

スペイン式のモリオンには“キャバセット”という兜があり、

これは曲がって跳ね上がった鍔は無く、トサカも備えていない

(頭頂部に曲がった突起があり、突起の先端が向いている方が兜の後部)。

当時の日本にもポルトガル・オランダから貿易を通じてもたらされ、

「南蛮兜」の名称で一部の武将たちに南蛮胴と揃いで改良・愛用された。

現代でもバチカンのローマ教皇庁を守るスイス衛兵隊が装備している。


  • ロブスター・テイル・ポット(イングリッシュ・ポット)

戦場の主要武器が銃器に替わった頃の代表的な兜。主に17世紀ごろのもの。

丸い鉢の前には庇が、後部には横長の板金を繋いだ錏が備えられており、

兜の名称にもあるようにこの錏が“エビの尻尾”に似た形になっている。

格闘戦で剣などの攻撃を防ぐため、3本の鉄棒を繋げた枠型の可動式バイザーか

金具で留めるタイプの鼻当(ネーザル)を備えている。


日本の代表的な兜

アジア東端の日本では、海を経た大陸側文化の影響を受けていながら、

独自に成長した文化による独創的な兜が作られている。

特に中世にから登場した兜では、頬当てが外側に沿って

伸びたような形の“吹返(フキカエシ)”や、

兜の正面に装着する“立物(タテモノ)”が特徴的。

西洋と異なって顔を守る面頬は兜に付属しておらず、

仮面のような形の“面具(メング)”という独立した防具として存在する。


  • 星兜(ホシカブト)

平安時代に登場した甲冑“大鎧(オオヨロイ)”に付属する兜。

縦長の板金を鋲で繋いで鉢が作られており、この大きな鋲が“星”という名称で呼ばれる。

頭頂部には、頭巾や髪を出すための穴が開いている

(この穴に頭巾・髪を通し、アゴ下の緒を締めることで頭に兜を安定させる)。


  • 筋兜(スジカブト)

鎌倉時代の終わりごろに作られた兜。

鉢の板金を止める鋲を鉢の表面に出さず、板金の縦筋が強調された造形。

太刀・薙刀による打ち下ろしが兜に当たる際、

星(鋲)を表面から無くすことで刃を滑らせて衝撃を減らす工夫とされている。


  • 形兜(ナリカブト)

室町時代後期の戦国期から作られた兜の一種で、

鉢が頭蓋のように丸く作られている“頭形兜(ズナリカブト)”、

左右1~2枚ずつの板金を繋ぎ、桃の果実のように

頭頂部が尖った“桃形兜(モモナリカブト)”などがある。

桃形兜は、舶来の西洋兜“モリオン”を参考に作られた説がある。

これらのタイプは作りやすい構造であるため、多く量産された。


  • 変わり兜

室町末期から江戸時代までの大名・武士が用いた兜。

戦場で自身の武功をアピールするため、戦国期に奇抜な変わり兜が大流行した。

この変わり兜というものは、兜の機能がありながら自由なデザインで作られているため、

存在した大名・武士の数と同じほど非常に種類が多く、全て数えることは至難。

分類を一部挙げるとするなら、能楽や宗教職の被り物を模した“被物形兜”、

髪型の形をした鉢の“髪形兜”、日用の器物を象った“器物形兜”、…等がある。


  • 畳兜(タタミカブト)

大坂の陣・島原の乱を過ぎ、当世具足が使われなくなった太平の世になると、

有事用の簡易甲冑“畳具足(タタミグソク)”が実用として残される(“鎖帷子”もその一種)。

その一種である“畳兜”は頭用の防具で、折りたたんで収納できる構造をしている。

鉢が伸縮し、使う際には鉢を伸ばし金具で留める“提灯兜(チョウチンカブト)”

小さい板金を鎖で繋いだ“頭巾兜(ズキンカブト)”などがある。


RPGにおける兜

RPGで「兜」系の防具アイテムは、重装備をする戦士タイプが用いる防具として登場することが多い。

(重装備ができない魔法使い盗賊タイプには「帽子」系アイテムが頭防具として登場)。


盾・頭・胴・腕といったように、装備部位に対応した防具があるタイプのRPGでは、

その防具アイテムに使われている「素材」によって防具のランクが違う場合があり、

市販ものならば青銅・ハードレザー・貴金属装飾の鋼鉄などの他、

上級・最強ランクでは幻想世界ならではの「幻獣の鱗・骨」や「魔法金属」などが

鎧の素材に使われており、兜もその例に当てはまる。

ドラゴンクエストファイナルファンタジーのシリーズが代表例だろう。

(ファイナルファンタジー5の例として、ブロンズヘルム、アイアンヘルム、

 ミスリルヘルム、ゴールドヘルム、ダイアの兜、クリスタルヘルム…)


ウィザードリィシリーズ、テイルズシリーズなど、

“バシネット”や“アーメット”等の実在した兜が登場する作品も少なくはない。


関連イラスト

ツインテールと聞いて誰もが思い浮かべそうなもの(のふ)センシティブな作品

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