概要
X−MENユニバースは、MARVEL社(以下、マーベル社)のアメリカン・コミックスの一つである「X-MEN」を原作とした実写映画・テレビドラマ化作品のシリーズであり、
- 2000年の映画『X−メン』から開始した、『X−MEN』の本編シリーズ(以下、メインシリーズ)
- ウルヴァリンやデッドプールといった人気キャラクターを主人公とするスピンオフ作品群(例:『LOGAN/ローガン』、『デッドプール』など)
の二つから構成されている。
マーベル社のアメコミが原作である実写映画・テレビドラマ化作品のシリーズには、X−MENユニバースとは別にMCUがあるが、原作コミックのキャラクターの内、ミュータントのヒーローチームであるX-MENや彼らと対立するブラザー・フットなどはMCUではなく、こちらに登場している。また、配給・製作は全て20世紀FOXが行なっている。(詳しくは、MCUの該当箇所を参照されたい。)
特徴・沿革
概要にあるように、2000年に開始したX−MENユニバースはアメコミの実写映画化シリーズの中でも一番長く続いているシリーズだが、『X−MEN:アポカリプス』が批評・興行収入の両面で芳しくない結果を残したため、一時期はリブートも検討されていた。その後、メインシリーズの続編の製作が発表されたことにより、シリーズ自体は存続したものの、
- 2018年に公開予定だった3本(『ニュー・ミュータンツ(原題)』、『デッドプール2』、『X−MEN:ダーク・フェニックス(原題)』)の内、『ニュー・ミュータンツ』と『ダーク・フェニックス』では再撮影などの実施に伴う公開時期の延期が決定。この影響で、年内に公開するのは『デッドプール2』のみとなる。
- 2017年12月には、シリーズの製作・配給を担当している20世紀FOXがディズニーに買収される事が発表される
といった状況が続いており、何かと先の見通しが不透明になりがちなシリーズでもある。
完全なユニバースであるMCUやDC映画ユニバースと比較すると、基本的には、続編で構成されたシンプルなシリーズものに近い映画シリーズとなっている(特に、メインシリーズに限定した場合)。一方で、多くのスピンオフ作品の存在や、メインシリーズとスピンオフ作品群の間のリンク度の高さなどを考えると、(実質的に)ユニバースと呼べるぐらいの内容・規模となっている事も確かである。
X−MENユニバースの特徴かつ魅力といえるのは、個性豊かなキャラクター達が織りなす群像劇や様々な能力をもつミュータント同士のバトルであり、それらがそのまま作品の見せ場にもなっている。しかしながら、第一作から描き続けられてきたミュータントとしての苦悩や葛藤こそ概要なんといってもシリーズの肝であり、マイノリティに対する現実社会へのメタファーとして、作品を単なる勧善懲悪モノ以上のものにしている。
元々ユニバースを想定していた訳ではない分、ユニバースの各作品間の矛盾が大きく、ユニバース全体の複雑な時系列が物語を把握しづらくしている事は確かだが、過去と未来、そしてスピンオフ作品まで取り込んだ上で、ストーリーに一つの終わりを告げた『X−MEN:フューチャー&パスト』はそれまでの集大成としてだけでなく、MCUの『アベンジャーズ』やDC映画ユニバースの『ジャスティス・リーグ』とは違う形で、一つ一つの作品を超えたより大きなストーリーを結実させた成功例として評価されるべきであろう。(まあ、アメコミ的な世界観のリセットを、実写映画のシリーズでやったと言うこともできてしまうが…)
加えて、現在では『デッドプール』や『LOGAN/ローガン』などのR指定のヒーロー映画も成功を収めている。これらの作品は、R指定であるが故により自由な作風で製作でき、このことが、MCUやDC映画ユニバースにはないX−MENユニバースの強みの一つとなっている。
今後の展開
本編シリーズとスピンオフ作品群のそれぞれの新作4本以外では、『デッドプール2(仮題)』に登場するケーブルが率いるチームが主役の『Xフォース(仮題)』、『デッドプール』や『ニュー・ミュータンツ』のそれぞれの続編、『LOGAN/ローガン』に登場したローラ(X−23)や『ファイナル・ディシジョン』や『フューチャー&パスト』で活躍したキティ・プライドのスピンオフがそれぞれ進められている他、更には『ファンタスティック・フォー』の関連キャラクターであるドクター・ドゥームのスピンオフも、(元々の、ファンタスティック・フォーの映画シリーズが失敗したことで、)このX−MENユニバースに合流する可能性もある(が、詳細はまだ明らかになっていないので、現時点でX−MENユニバースとの関連性がどこまであるかは分からない。)
そんな中、ディズニーによる20世紀FOXの映画・テレビ部門の買収が2017年12月に発表された。アベンジャーズとの共演が権利関係場で可能になる一方で、現時点で展開しているX−MENユニバースの作品がどうなるかはまだ不透明な状況だ。
作品一覧
作品 | 公開年(全米) | 説明 |
---|---|---|
メインシリーズ | ||
X-メン | 2000年 | |
X-MEN2 | 2003年 | |
X-MEN:ファイナル・ディシジョン | 2006年 | この作品までが初期三部作であり、シリーズとしては、当時、一応の完結だった。 |
X-MEN:ファースト・ジェネレーション | 2011年 | 『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のオープニングと、『ウルヴァリン:SAMURAI』の回想を除いた中では、作中の時系列では1番最初の作品である。初期三部作の前日譚に当たる1962年。 |
X-MEN:フューチャー&パスト | 2014年 | 『ウルヴァリン:SAMURAI』のラストから8年後の2023年及び『ファースト・ジェネレーション』から10年後の1973年。 |
X−MEN:アポカリプス | 2016年 | 前作『フューチャー&パスト』で歴史が変わり、新たな世界観を歩みだした1983年。 |
X−MEN:ダーク・フェニックス(原題) | 2018年11月2日 | 『アポカリプス』から続く、1992年が舞台。『ファイナル・ディジョン』とはまた違う、よりエモーショナルなフェニックスの暴走が描かれる。 |
スピンオフ作品群 | ||
ウルヴァリン:X-MEN ZERO | 2009年 | 第1作目『X-メン』の前日譚であり、1980年頃が舞台。散々な評価だった。 |
ウルヴァリン:SAMURAI | 2013年 | 時系列は『ファイナル・ディシジョン』の後。 |
LOGAN/ローガン | 2017年 | 『フューチャー&パスト』でリセットされた時間軸の方の、2029年が舞台。謎の少女を守るべく、ウルヴァリンが最後の戦いに挑む。第1作目の『X-メン』以来、ウルヴァリンを演じてきたヒュー・ジャックマンのウルヴァリンとしての最後の出演作 |
デッドプール | 2016年 | 『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のリベンジ。ギャグと下ネタと過激なアクションで、R指定のヒーロー映画だったのにも関わらず、それまでのX−MENユニバース作品では、一番のヒット作となった。 |
デッドプール2(仮題) | 2018年5月18日 | 『デッドプール』の続編。人気キャラのケーブルが登場。 |
ニュー・ミュータンツ(原題) | 2019年2月22日 | かなり振り切ったホラーテイストな作品。2018年4月に米国公開予定だったのが、「より怖くするため」延期になった。 |
ガンビット(原題) | 2019年6月7日 | ガンビット自体は、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』で登場済み。危うくお蔵入りとなる状態が長らく続いていたが、2017年中頃から再び製作が進むようになった……のだが、せっかく決まった監督が再び降板してしまい、公開時期が延期になった。 |
プロジェクト進行中作品 | ||
Xフォース(仮題) | 未定 | デッドプールやケーブル、ドミノが登場予定。 |
デッドプール3(仮題) | 未定 | |
ニュー・ミュータンツ2(仮題) | 未定 | |
ニュー・ミュータンツ3(仮題) | 未定 | |
マルチプル・マン(仮題) | 未定 | ジェームズ・フランコ主演。 |
X-23(仮題) | 未定 | 監督は、『LOGAN/ローガン』のジェームズ・マンゴールドであり、同作品に登場したX-23/ローラのスピンオフとなる予定。 |
キティ・プライド(仮題) | 未定 | 『デッドプール』のティム・ミラー監督が企画を進めている。 |
ドクター・ドゥーム(仮題) | 未定 |
尚、以下の公開日が既に決まっているので、上のプロジェクト進行中作品は、以下のどれかの公開日に決まることが分かっている。
- 『タイトル未定』(2019年11月22日 米国公開)
- 『タイトル未定』(2020年3月13日 米国公開)
- 『タイトル未定』(2020年6月26日 米国公開)
- 『タイトル未定』(2020年10月2日 米国公開)
- 『タイトル未定』(2021年3月5日 米国公開)
また、2015年に公開された『ファンタスティック・フォー』のリブート版は、この『X-MEN』シリーズと世界観を共有した作品になっているという。(…と言われてきたが、この2015年版が大コケした上に、酷評されたので、この設定はほぼほぼ日の目をみることにならないと思われる。)