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柏葉英二郎の編集履歴

2018-05-17 11:34:07 バージョン

柏葉英二郎

かしわばえいじろう

柏葉英二郎とは、あだち充原作『タッチ』のキャラクターである。

「忘れたのか、オレはおまえ(上杉達也)が嫌いだ!(徹底的に嫌われたいのなら)だったら、甲子園に行くんだな」


CV:田中秀幸


概要

野球漫画『タッチ』における最重要人物のひとり。2年生まで主人公たちを指導し続けてきた西尾茂則監督が体調不良を起こした事を理由に、彼に代わり明青学園野球部に赴任してきた監督代行。高校3年生編から登場する、同作最終章のキーキャラクターのひとり。


タッチにおける影の主人公として位置付けられている、同作のアンチテーゼを体現しているキャラクター。そのため読者から見れば主人公たちを頭から否定して試練を与えるという、いわば憎まれ役


その一方で、野球では明青学園高等部を甲子園初出場に導いた指導者兼功労者であり、恋愛では上杉達也上杉和也浅倉南の複雑な三角関係の心理面を把握するなど、タッチを語る上では絶対に外すことができない人物でもある


復讐に燃える鬼監督

明青野球部OBにして西尾茂則が病気療養中の明青野球部代理監督。五分刈りな頭髪に口ヒゲ、サングラス、練習中は竹刀とビールを常に手放さず、指導者というよりはヤクザチンピラといった風体である。過去のいきさつから明青野球部に恨みを有しており、「自分が果たせなかった夢」を「復讐」と位置づけ、達也・孝太郎ら現野球部員にスパルタと呼ばれるほどの過酷な練習を課す。眼に重い病を抱えている。明青野球部員からは又は鬼監督と呼ばれ、新体操部員からはヤクザ監督と呼ばれている。達也の親友・原田正平の叔父とは同級生だった。


達也らが高等部3年時の春、過労で倒れた西尾の推挙により代理監督に就任。しかし西尾が実際に推挙したのは英二郎の兄・柏葉英一郎の方であり、手違いでの就任であった。


3歳年上な兄・英一郎が才能に大変優れ親の愛情を受けているせいで、嫉妬からグレて中学時代は不良として素行が悪かった。しかし「明青学園甲子園初出場」を、あと一歩で果たせなかった英一郎の夢を叶えるために、中学3年生のときにはワル仲間と手を切り、心を入れ替えて野球に打ち込むようになっていた。

しかし中学時代の悪行、特に英一郎が高3・英二郎が中3の時に、英二郎がが起こしたとされる「バイク事故」を原因として英二郎が明青学園高等部に入学したあとに野球部部員から陰湿なイジメを受け、ついに我慢できず当時の3年生エースを殴ったことが原因で退部に追い込まれる。

さらに、この一件を原因として幼馴染であったガールフレンドも兄にとられてしまう。(現在、この元カノは兄嫁となっている)そうした経緯から自暴自棄な性格となり、明青野球部に恨みを持つようになる。


就任後は、西尾が入院中で不在であり、就任の条件として学校側に口出しを一切しないことを必須条件にさせていたため、『他校のエース(西村勇)を竹刀で殴り負傷させる』、『拷問に近いシゴキを加える』、『昼間なグランドでも平然と飲酒する』、『西尾監督の承認を得て新体操部と掛け持ちしていたマネイジャーの南を独断で退部させる』、『卒業生から寄贈されたピッチングマシンや道具を自らの手で焼却する』、『甲子園予選で体力・野球技能共に部内で最も劣っている佐々木を先発投手に起用し、コールド負け寸前まで追い込む』『キャッチャーフライの捕球練習で、孝太郎の肩を負傷させる』など、明青野球部に対する復讐のためその横暴さを次第にエスカレイトさせていく。


だがその一方で、西村勇のカーブを見切ったり、達也と対戦した際には見事なバッティングやピッチングを見せるなど、こと野球に関しては確かな技術と才能を誇る。また部員に課した過酷な練習は、かつて自分を冷遇した野球部への復讐という目的があったものの、同時に野球に対する情熱の屈折した表れでもあり、英二郎にとって皮肉ではあるが、部員たちの飛躍的な成長を結果的に促すこととなった。


鬼監督の真実

のちに準決勝で明青の快進撃に駆け付けた明青野球部OBの島と森田(英一郎の2つ年下、英二郎の1つ年上)の登場によって、とんでもない真相が明かされる。


実は英二郎が中学3年生の時に起こした事故とは兄の英一郎が高校3年生の時に起こした事故だったのである。さらにその当時、英一郎は地域において「有力選手のひとりにして優等生」として注目されていた。このスキャンダルが英一郎の人生の傷になる事を恐れた柏葉兄弟の両親は、よりにもよって事故を揉み消すために当時は既に真面目になっていた弟の英二郎をどうせ今までさんざん家族に迷惑をかけてきたのだから、英二郎なら今更、傷のひとつふたつ増えたってどうってことはないだろう 」と身代わりに据えたのであった。

そして当時の明青野球部で行われた英二郎へのイジメは、英一郎より有能であった英二郎が万が一にも甲子園に出る事によって彼自身に注目が集まり、この事実が物見高いマスコミに暴かれて露呈することを怖れた兄・英一郎が体育会系によくある上意下達とOBの権威により直属の後輩であった島や森田たちに直接指示でやらせた事であった。

つまり「誰からも慕われる最高の人格者にして有能なエース・柏葉英一郎」とは、実は「弟の人生を喰い物にし、その犠牲のもとに人格者の仮面をかぶり、それを当然として良心の呵責も感じる事無くのうのうと栄誉を手にして、その人面の良さから来る対人関係の器用さを悪用して弟の全てを奪いつくして、それを苗床に更なる栄誉と名声を得続けたという正真正銘の人間のクズ」だったのである。


なお、アニメ版ではおかしな大人の事情でも働いたか「イジメは英二郎の才能を妬み、英一郎より有能な英二郎が一年生でエースに君臨させないようにするために、英一郎の存在で控え投手に回された英一郎の1つ年下なエース候補生の指示で行われたこと」に設定変更されている。


島と森田との再会によって、その事実を彼らに改めて突きつけた英二郎は『的外れな心配するんじゃねえ!このオレが何のためにあんなガキども(達也たち)と付き合っていると思っているんだ?貴様らが明青野球部OBなどと人前でとても恥ずかしくて言えないようにしてやるためさ!わかったか?』と明青野球部監督を引き受けた偽らざる事実本音を洗いざらいブチまけた。

その恨み節を鉄拳と共に聞かされた島と森田は「でもあの子たち(達也たち)に罪はないだろう!悔いが残らない試合を(彼らに)精一杯やらせてくれよ!」と英二郎に懇願したが、『そのセリフは(オレの)高校時代に聞きたかったぜ』と冷たくあしらう。自分を冷遇した先輩たちに対する英二郎の憎悪が露になった瞬間でもあった。


復讐と夢の狭間で葛藤するジレンマ

予選決勝戦前日、体調不良から復帰して退院した西尾監督から「ワシは高校野球が大好きじゃ、明青野球部を心底から愛している……、そしてただそれだけな監督じゃ!この馬鹿監督のおかげで、その才能を開花させることなく去っていった部員たちも数え切れないほどおるじゃろう!」と語られる。せっかく退院したのに自分に任せていいのかと尋ねた英二郎に、西尾監督は「人を本当に見抜く力などワシにはない。だから信じるだけじゃ。須見工に勝つためにはワシではない、本物な監督が必要なのじゃ!」と決勝戦の指揮を正式に任される。


そして西尾監督は「後は任せたぞ、柏葉英二郎!」と、柏葉英一郎ではなく柏葉英二郎に監督として高校時代に置いてきた自らの正しい夢と向き合いこれを叶えるように促した。それは島と森田から事情を聞かされた西尾監督の遠回しな謝罪であり、そしてかつて英二郎に苦難を強いた明青野球部の監督としての心からの謝罪と償いであった。他ならぬ西尾監督による懺悔と謝罪という事実に直面して英二郎は衝撃を受ける。


さらに病による視力の低下の進行で本人の意識が変化したことに加え、数々なしごきにも負けない部員たちの成長と確かな手応え、孝太郎ら部員たちの全幅な信頼、柏葉兄弟の複雑な事情を知っても英二郎になお期する達也と南。なにより土の匂いと白球の快音によりわだかまりを少しずつ解き、指導者としての意識が徐々に芽生える。前述の事情も手伝い、須見工業高校戦では失明状態にもかかわらず、選手の特徴を把握し相手の隙をつく見事な采配を終盤で見せ、地区予選西東京大会優勝に導いた。


そして「夏の舞台」へ

『出来が良い弟(兄)』と『出来が悪い兄(弟)』の相克という本作品のテーマにおいては、達也のアンティテーゼともいうべき人物であり、和也に対して少々複雑な感情を抱きながらも親愛な情を有する達也を一貫して敵視し、和也に対する達也の想いに問題を負な面から度々投げかけた。そんなやりとりもあって、皮肉なことではあるが、英二郎の内面を最もよく理解していたのは彼が一番敵視していた達也であった。それは逆も然りで、達也の内面を最もよく理解していたのは、南ではなく英二郎であった。


決勝戦後は南によって病院に担ぎ込まれる。「和也」という目に見えない呪縛に囚われていた達也と明青学園ナインにとって余計なことを考える暇も与えない英二郎のシゴキは揺るぎない自信へと繋がっていった。そのことへの感謝を込めて、「リンゴ」と称して須見工業高校戦のウィニングボールを手渡される。また、手術直前には達也の粋な計らいで明青ナインからエールが送られる。それからは視力を取り戻し、無事退院した。その後、彼は明青野球部を応援するためと「自身の夢と復讐」にケリをつけるために甲子園へ旅立った。


関連タグ

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