東方求聞口授
とうほうぐもんくじゅ
概要
一迅社より、2012年4月27日にA5判 1,800円(税込)で発売。
当初は2012年1月26日に発売を予定されていたが、数回にわたり延期された。
東方Projectの新作書籍が新たに登場。『東方文花帖』『東方求聞史紀』『グリモワールオブマリサ』に続き、今回も1冊丸ごとZUN氏による完全新規書き下ろし!
対談集? 設定資料集? 新しい“東方Project”のカタチ
また、『東方風神録』から最新作『東方神霊廟』までのキャラクターを完全紹介。
というように、東方求聞史紀の第二弾的資料集となっている。
ただしキャラクター資料に関しては下記の対談を中心に掲載しているため、対談に関係のない比那名居天子、永江衣玖、姫海棠はたて、綿月豊姫、綿月依姫、レイセン、茨華仙(茨木華扇)については記載されていない。
また、犬走椛、キスメについても新聞記事での登場のみで正確なキャラクター紹介のページは設けられていない。
ただし、姫海棠はたては自身の執筆による「花果子念報」が作中及び巻末に資料として登場(詳細は後述)しており、比那名居天子、永江衣玖、茨木華扇、犬走椛、キスメは同じく資料として登場する「文々。新聞」記事中や先述の「花果子念報」記事中にそれぞれ登場する。
幻想郷の信仰と妖怪退治をめぐって、3つの勢力が主張を戦わせあう!
神道、仏教、道教……彼らの話し合いが行きつく先とは!?
人間の安全は大丈夫なのか? そもそも結論は出るのか? 最初にキレるのは誰か?
全六部に渡る対談で幻想郷の未来が決まる!
ZUN氏曰く、東方求聞史紀と同じような資料集ではつまらないため、新たに豊聡耳神子、聖白蓮、八坂神奈子が稗田阿求により招待され、司会:霧雨魔理沙と書記:稗田阿求で5人が幻想郷の価値観や概念、制度や実情に関して話し合う(確認し合う)話が追加された。
特に主張を戦わせるようなことはないが、人間側の豊聡耳神子と妖怪側の聖白蓮とは意見がよく対立する。
もちろん、最初にキレるのは例のあの人である。
『幻想郷縁起』『文々。新聞』『花果子念報』などの豊富な資料を交えて議論に花を添える。
巻末では最近の幻想郷の事件として『文々。新聞』『花果子念報』が記載されている。特に本編と深い関係はない。しかし幻想郷における異変や日常、文化、歴史などが一部ながら紹介されているため、作品内部の登場キャラクターから見た東方Projectの世界観を先述の対談と合わせて知ることが出来る貴重な資料でもある。
掲載資料も年代が幅広く、新しいものでは第百二十六季(126季)に刷られたクリスマスと霍青娥にまつわる記事(文々。新聞)、古いものでは第七十八季(78季)に刷られた軍人将棋と犬走椛が登場する記事や、第九十五季(95季)に刷られた妖怪の山と茨木華扇にまつわる記事(いずれも文々。新聞)など、過去から現在に至る幻想郷の歴史の一端を垣間見ることが出来る。
(なおWin版第一作である『東方紅魔郷』における紅霧異変は、『東方文花帖』に掲載された文々。新聞の記事によれば第百十八季/118季での出来事である)
実際の書籍としての『求聞口授』に関連して、その後発表された『東方外來韋編』ではZUNによる『求聞口授』作成段階でのプロットやアイデアなどが公開されており、ZUNも回想を寄せている。
これによれば、実際の『求聞口授』本編中では上記の通り座談会は神奈子、白蓮、神子の三名に司会の魔理沙と書記の阿求の五名で行われたが、『外來韋編』掲載の「 試作版 」では東風谷早苗が参加するというパターンも考えられていた。
さらに早苗と共に「 ケロちゃん 」(洩矢諏訪子)も登場しているなど、実際に発表された『求聞口授』の座談会とはまた違った展開も想像されていた。
さらに白蓮のセリフ回しがより中性的で熱がこもっており、例えば『求聞口授』本編中では神子について「 神子さん 」と穏やかに呼びかけているが、こちらの試作版ではシーンによって「 豊聡耳! 」と呼びかけるなど『東方星蓮船』初登場時にもみられたような圧のある言葉を使用する一面も覗かせている。
試作版では座談会自体もかなり長時間続いており、早苗や諏訪子らが登場した時点(試作版では「 第6部 」)で18時間が経過している。書記の阿求の体調が大変心配される。
またZUNは『求聞口授』のコンセプトについて、当時発表されていた上海アリス幻樂団のゲーム作品に「 信仰 」がテーマになるものが続いたため、『求聞史紀』とはまた異なる趣にチャレンジする意味も込めて「 宗教家たちの対談 」という形式を採ることとなったとも回想している(『外來韋編』参)。
この他、『求聞口授』で初めて語られた幻想郷の動向がその後別の作品で大成する様子が語られるといったケースもあり、例えば守矢神社が設置を進めていた同神社と里をつなぐロープウェイ(「 索道 」)が、『東方茨歌仙』中のエピソードで完成し、実用化される様子が描かれている。『茨歌仙』作中では「 索動 」とも。
この完成と本格運用開始以前にも『茨歌仙』作中ではロープウェイの話題が上ったこともあったが、その後同作でその完成までが描かれることとなった。『求聞口授』掲載の文々。新聞で語られていた設置の上での山の他勢力との摩擦も、各方面良しでうまく取りまとめられている。
複数の作品を通して物事のスタートや問題提起と進展、解決が描かれる様子もまた、東方Projectがその歴史を含め一つの世界観として連結していることを表すものと言えるだろう。
書籍情報
- 発行元:一迅社
- 発売日:2012年4月27日
- 主著者:ZUN
- イラスト:阿桜、あずまあや、キツネ、TOKIAME、匡吉
- ISBN:978-4-7580-1231-7
目次
第一部 | 新勢力は幻想郷に何をもたらすか | 6 |
---|---|---|
第二部 | 幻想郷の外の世界の現状とは | 38 |
第三部 | 妖怪の今と昔、本当に新しい妖怪とは | 62 |
第四部 | 嫌われ者の現状と行く末 | 94 |
第五部 | 宗教と信仰は幻想郷に必要なのか | 124 |
第六部 | これからの妖怪退治の話をしよう | 154 |