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Tu-22Mの編集履歴

2018-10-22 20:09:42 バージョン

Tu-22M

とぅーどゔぁーっつぁちどゔぁーえーむ

Tu-22から発展した旧ソ連・ロシアの爆撃機。空気抵抗を抑え、エンジン停止時の機首上げを解消する為にエンジンを機内に移設している。また、可変翼を採用しており、離着陸性能も大きく改善されている。

概要

アメリカB-1と同じく、可変翼を採用した旧ソ連ロシア爆撃機

型番は「Tu-22改」という意味だが、発展元のTu-22とはすっかり別物になった。

原型機のTu-22からのあまりの変わりぶりに登場当初は「Tu-22Mは偽装で本当は別の型番なのだ」と信じられていた。

しかし、実際は偽装でも何でもなく、発展型と主張せざるを得なかった事情(主に資金の問題)があったのだ。


『Tu-22Mは偽装の型番だ!』

これは当時の西側の情報機関の深読みで、本当の型番はTu-26だと考えられていた。

実際は他にも記す通りである。


ブラインダー⇒バックファイア

正直言って、Tu-22から変わっていない所を挙げるのが難しい程に同一箇所が少なく、「爆弾倉と前車輪のドアだけ共通」と言われる位に別物であり、エンジンを新型のターボファンに換装し、更に機体そのものも可変翼を採用している。

この機がTu-22の改良型を名乗っているのは、単に予算を獲得しやすかった為である。


Tu-22M『バックファイア』

Tu-22M3

1967年後半、旧式化したTu-22の後継機の要求仕様が固まってきた。

・最大速度はマッハ2以上

・亜音速での航続距離は7000km以上

というのが目標である。


技術的な問題はともかく、一番の問題は予算である。

なにしろ、大金を掛けてようやく実戦化したTu-22なのだ。

そのうえ時代の流行は弾道ミサイルとなり、

削られた予算からはとてもじゃないが、『新型が欲しい』とは言えない状況だったのだ。

とりあえず予算は「Tu-22の更なる改良発展」として支出してもらえる事になり、こうして『似ても似つかぬ改良型』は開発にこぎ着けたのだった。


さて、こうして予算の問題は(とりあえず)解消できた。

次の問題は性能改善である。

これ以上の性能を実現する為には、更なる空力の向上が必須である。


回答は可変翼

Tu-22はマッハ1.5を目安に設計されていたが、

それ以上のマッハ2を実現するとなると、主翼の空気抵抗まで減らさなくてはいけない。

また、超音速飛行は燃費が悪いので航続距離はもっと短くなる。

その為には燃料タンクを拡大するしかないのだが、今度は機体が大きくなって空気抵抗の話に戻る。

もう一つ、小さい翼では亜音速での操縦が効かなくなる。

つまり、このままでは高速性能と航続性能を両立できないのだ。


そこで当時新発見の可変翼に白羽の矢が立ったのである。

1967年のモスクワ航空ショーではSu-17が登場しているので、研究は進んでいたのだ。

可変翼によって超音速・亜音速の空力を両立する。

亜音速では翼を開いて操縦しやすい程度の空力を稼ぎ、超音速では閉じて空気抵抗を減らす。

これで空力の問題はメドが立った。


新型エンジンの貢献

機体の新設計と共に、エンジンも刷新された。

Tu-144旅客機の為に開発された、新型のNK-22ターボファンエンジンである。

このエンジンは従来のエンジンより燃費・出力に優れており、Tu-22Mは高性能が期待された。

マッハ2の要求は、このエンジンの出力でクリアできる。

残る問題は搭載位置である。


今までのように、後部胴体・垂直尾翼付け根にエンジンナセルを外付けするのでは、空気抵抗が大き過ぎるのだ。

最大速度マッハ2を狙うなら、胴体内部に埋め込むしかない。


最初の問題は空気取り入れ口(エア・インテイク)だ。

これは気流の乱れない場所がいい。

そうなると、気流の乱れる機体後方は避けたほうが賢明だ。

ならば機体の前部、主翼の前がいい。

そこでも問題がある。

エンジンの位置が後方なのは動かせない。(後ろに向かって噴射するので)

すると長い通り道を作って、空気を後方に導かなくてはいけない。

この長い通路は整備や機体構造の邪魔になり、また通路内の空気抵抗もゼロにはできない。

(つまり無駄が出る)

どうしようもならない事になってしまったが、これは「仕方のない事」とされた。


試作機のTu-22M0と量産型のTu-22M1~Tu-22M2迄は、アメリカ軍F-4F-106に似た形のエアインテークだったが、Tu-22M3からはエンジンを更に強力なクリーモフNK-25 ターボファンエンジンに換装しエアインテークがMiG-25に似た形となった。


とにかく、このエンジンのおかげで性能は大きく改善され、特に問題だった航続距離も、1.5倍程度となって解決された。(もちろん空中給油も利用できる)


以上のような改良により、アメリカ空母機動部隊に巡航ミサイルを撃ち込む事が可能となったのだ。

これはミサイルの性能向上もさることながら、何よりも母機の航続距離が大きい。

このような状況変化はアメリカに懸念を抱かせ、空母戦闘群の防空戦闘機の開発を急がせた。

F-14の開発要件はここでも生まれているのである。


爆撃機!?

ますます爆撃機離れしていくような気もするTu-22Mだったが、初陣となった アフガン侵攻では爆撃機として使われた。


しかし、あまり役に立ったと言えない。

と言うのもアフガンではゲリラ戦が主であった為、相手国の経済を破壊する戦略爆撃は意味を成さないのだ。(もともと工業国でもなかったのも大きいだろう)


Tu-22Mを寄越すくらいなら、より小型のSu-24の方が小回りがきく。

どうせなら戦闘爆撃機のSu-24よりも、対地攻撃専門のSu-25の方が役に立つ。

更に言うなら、小回りだったら戦闘ヘリMi-24が一番だ。


そんなわけで、アフガン侵攻におけるTu-22Mの評価はあまり高くないようだ。

しかし、冷戦ではアメリカに本格的な対抗を要求させるなど、戦略的な意義は大きかったと言えるだろう。


ソ連崩壊後は、ロシア連邦を含む旧ソ連構成国に継承されたものの、ロシア連邦軍以外では持て余してしまったため徐々に戦列を離れて解体された。

ロシア連邦では、1995年の第一次チェチェン紛争、2008年の南オセチア紛争に投入された。

2015年からはシリア動乱に投入され、アサド政権の支援とダーイッシュの殲滅に当たっている。

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21世紀に再び羽ばたくもの

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Tu-22M3は、80年代後半になって初飛行を遂げた新型機であった。

しかし配備が始まろうとした矢先にソ連が崩壊し、1個飛行隊を編成するだけで終わってしまう。

軍部としても、装備更新や改良のアテはいくらでもあったが、資金がないのでは全く手の付けようもなかったのである。


そうして世紀をまたいだ2018年8月16日、ロシア連邦タタールスタン共和国のカザン工場にて、ついに待望のTu-22M3Mがロールアウトした。これは「Tu-22改3改」の意味にあたる。今回の機は既存のTu-22M3を改修したもので、新規に生産されたものではない。また生産ラインも1993年以降解体されているので、正式採用を勝ち取っても全機改修にとどまるだろう。


しかし電子機器は、全体の80%がTu-160Mと互換性のある、最新鋭の装備に更新されたとされる。コクピット等もグラスコクピット化され、全く生まれ変わったというべき変貌を遂げたようである。目立ったところでは、とうとう尾部銃座も廃止されてカバーで覆われていた。


元々の構想では、エンジンもNK-32系統に換装するつもりだったようだが、今回は電子機器の更新だけの模様。


関連タグ

ソ連 ロシア 爆撃機 可変翼 Tu-22

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