概要
『金田一少年の事件簿』File:8。単行本9~10巻に収録。
「首吊り学園」の異名を持つスパルタ予備校・四ノ倉学園を舞台に巻き起こる連続首吊り殺人に金田一一が挑むという不気味な物語。
登場人物のうち何人かは後に準レギュラーとして登場する。
ドラマ版ではなんと不動高校が舞台となっており、重要人物である千家くんは登場せず、『学園七不思議殺人事件』でおなじみのイヤミ男・真壁誠が代役になっている。
サブタイトルが物騒・イジメ問題を扱っている・トリックの説明に尺を使う・事の真相があまりテレビ向きではないとの理由から、連載から20年を経ても未だにアニメ化は行われていない。
あらすじ
進級すら危うい程成績が低空飛行を続けているにもかかわらず危機感がまるで足りない一に、母は芝居を打って予備校に通わせようとする。『秘宝島殺人事件』同様にあっさりその気になった一は(学年トップの)美雪共々、都内有数の進学率を誇る四ノ倉学園に通うことになる。
通学初日、学園の校庭で幼馴染・千家貴司と再会した一と美雪は談笑に明け暮れるも、ふと教室に目をやった一は、学園内で女子生徒が首を吊っているのを発見。
「この予備校には何かあるに違いない…」
不穏な気配に身をこわばらせる一であったが、予感は悪い方に的中する。担任の浅野遥子先生から学園内で巻き起こる不気味な嫌がらせの解決を打診されたのである。この学校の故事に準え、鶏の首吊り死体が教室に吊るされているというのだ。美人の頼みは断れない一はこれを快諾するも、一の健闘むなしく次々と学園内で不審死が巻き起こる。恐怖と焦燥に駆られる中、一は半年前に起きた悲痛な事故の存在を知ることとなる。
登場人物
教師・スタッフ
- 久米裕一郎:学長。見た目は威厳ある老紳士だが事なかれ主義者。
- 浅野遥子:33歳。優しい人柄で親しまれているが、偏差値主義者という噂もある。
- 阿久津國男:常に白ランに身を包んだ硬派…を通り越して極右な熱血国語教師。古谷の事が大嫌い。
- 梶間軍治:校舎管理人の老人。浅野の祖父とは因縁がある。ドラマでは未登場。
生徒
- 千家貴司:一の幼馴染。
- 森宇多子:変態オカルトマニア。
- 宮園彰:園芸好きの少年。眼鏡をかけている。古谷一派にいじめられており、浅野先生に敬意を表している。
- 古谷直樹:いじめグループのヘッド。一見すると冷静沈着に見えるが、性根は蛇のように執拗なサディストで、教師にも反抗的。
- 室井矢一:古谷の手下。見るからに態度が悪く、浅野を嫌っている。
- 仁藤伸幸:マザコンで気が弱い。筆圧が異様に強く鉛筆をしょっちゅう折っているどんくさい男。
四ノ倉学園
都内有数の進学率を持つ優秀な予備校であるが、受験シーズンには決まって首吊り自殺が起こっているというろくでもない学校。
50年前は戦犯収容所が建っていたのだが、判決が下る前日に50人もの囚人が集団自殺した。その後も、建物が変わっても必ずと言っていいほど首吊り自殺が起こっている呪われた場所。
怪人『地獄の子守歌』
名前のみの登場。次々とターゲットの首に荒縄をかけ、天井からつるして絞め殺す殺人鬼。いずれも犯行現場には大量のテストの答案がばら撒かれた上で鶏の血が撒き散らされ、更に血文字が刻まれる。
ガイドブックにて一が最も解き明かすのに苦労したと発言している程巧妙なトリックを汲んでおり、実際、推理において証拠は外的要因ばかりで金田一も偶然に助けられた形でしか証拠を得ておらず、終盤のテストを除いて犯人はミスらしいミスをしていないため、金田一史上最も凝ったトリックと評する読者も多い。
(某外伝においても、金田一が得た確信がほぼマグレである点を『地獄の子守歌』も突っ込んでいる)
関連項目
異人館ホテル殺人事件 → 首吊り学園殺人事件 → 飛騨からくり屋敷殺人事件