「ニズ…ゼルファ?」
ウルノーガが勇者の力を奪ったあと、地に落ちそうになった勇者の星にそう刻まれているのをロウが読み取ったが、過ぎ去りし時を求め、ウルノーガの野望を事前に阻止するまでこの名の意味は明かされることはない。
「わたしはニズゼルファ、闇の深淵より生まれし者」
「聖竜が残した大樹の魂、それさえ消せば全ては闇に包まれる、闇こそがわたしの喜び」
「来るがいい光の子孫たちよ、時間も記憶も空間も、存在する全てを闇に染めてくれよう」
CV:宮田幸季(『ドラゴンクエストⅪS』)ニズゼルファ語で話す(逆再生で翻訳できる)。
概要
その正体はおぞましき出来事として歴史から抹消された邪神。
命の大樹を狙う「大いなる暗黒の力」としてロトゼタシアで語られている存在。
かつて勇者ローシュの一行との戦いに敗れたものの、とどめを刺される直前でウラノスを闇に落とし、ローシュの殺害に成功。
勇者を失ったため邪神を完全に滅ぼすことが出来なくなり、止む無くセニカ・ネルセンらの手により肉体を封印され、封印された肉体は「勇者の星」と呼ばれることとなる。(このときの一部始終は、バグラバ砂丘の環状列石群の石柱に記されている)
また、ウラノスはのちに暗黒魔道士ウルノーガへと変貌する。
現代では精神体のみが黒いヨッチ族の姿となり、世界を彷徨っていた。
命の大樹の破壊という彼の目的はウルノーガによって果たされたが、後にニズゼルファの存在を疎んだウルノーガの手によって勇者の星ごと肉体を破壊されてしまう。
この際後一歩というところで悲願が立たれた彼が一人項垂れる姿が見れる。
完全復活の望みは絶たれたかに思われたが、過ぎ去りし時を求めた主人公の影に潜むことで、過去への転移に成功する。
新たな時間軸ではウルノーガが倒されたことで、誰にも妨害されることなく勇者の星に封印された本体と融合、完全復活を遂げる。
魔族や魔王ではなく、正真正銘の神。
ニンテンドー3DS版でのみ、時の守り神から「自身と同じ神に属する者」と発言されている。強さも時の守り神とほぼ同等とされており、時の守り神を倒した主人公たちなら邪神にも勝てるだろうと語られる。
とは言え、邪神が復活しただけでロトゼタシア各地の魔物が強化・復活を遂げる描写があることから、魔族や魔物と完全に別物ではなくその最上位種といったところか。
容姿・戦闘能力
HPは『ドラゴンクエストⅪ』にちなんで11000。
本体は宇宙服を着た巨人のような見た目であり、両腕は水陸両用モビルスーツを連想させるような形をしている。闇を纏っているため紫色に見えるが、本来の体色は緑色。その容姿は某人造人間を彷彿とさせる。
また顔はマスクで覆われており、その下に赤い目をした禿頭の青白い肌の素顔(冥王ゴルゴナの本当の顔に似ているとも言われる)を持つ。
体を覆っている闇は被ダメージを半減&代ダメージ上昇の効果を持つバリア「やみのころも」であり、圧倒的に不利な状況での戦いとなるが、闇の衣は先代勇者ローシュから受け継いだ「勇者のつるぎ・真」の光で払うことができる。
戦闘では複数の状態異常を付与する「けがれたきり」や「あやしいひとみ」などの状態異常系攻撃、ブレス系・イオグランデ・ニズゼフレア・邪神の子召喚→ダークミナデイン等の強力な全体攻撃を連発してくる。
体力が減ってマスクが壊れると、めいそうによるHP回復・両腕を掲げて全体に大ダメージを与える「終末の炎」・一人を除くメンバーをアストロン状態にする「時を奪う」等のパターンが追加される。
挑戦する時点によってはいい勝負になる可能性はあるものの、『ドラゴンクエストⅪ』では敵から貰える経験値が多すぎて道中に目につくシンボルとの戦いや世界各地のサブイベントの消化だけでも適正レベルを超過している公算が高い。
さらに、与ダメージもかつて無いほどインフレしている本作においては少し鍛えればバランスが崩壊するので、真のラスボスとして(若しくは裏ボスとして)イマイチ強くないと言われるのも仕方ないだろう。ネルセンの試練までかじっているパーティならばほぼ瞬殺状態。
カミュの分身攻撃等による瞬殺ショーはもはやこのゲームの語り草。
なお開始時に纏っているバリア「闇の衣」はあの大魔王同様、剥がさず倒すことも可能である。
Play Station 4版は剥がせることを知らずに倒してしまったプレイヤーも多い。これはダメージがカットが1/2程度に過ぎない事に加え、ストーリーにおいてニズゼルファを倒す力を得るために行う、ネルセンの試練の難易度が非常に高く、試練をすべて制覇するころには衣付きニズゼルファといい勝負ができるくらいまで育ってしまう為である。ダメージカットを能力に換算すれば、HP22000、めいそうによる回復量が2000と、レベルがカンストしていれば苦戦もしない領域である。
ニンテンドー3DS版は史上最難関ボスの一体で、Play Station 4版とは比較にならないほどの難易度。こちらは闇の衣を剥さなければレベルカンスト程度では到底倒せず、闇の衣を剥せると知らずに倒してしまったという事例はまず起こらない。レベルや能力値カンストなどは言うまでもなく、明確な闇の衣ニズゼルファ対策、戦略性が必要となる。
最大の障壁は1/5という圧倒的なダメージカット率である。要するに耐久力や回復力が5倍と考えればわかりやすい。強力性能で知られるベロニカの「イオグランデ」でさえ、攻撃魔力999でも800前後のダメージである。800ダメージは3DS版の闇ニズゼルファにとってわずか160ダメージに過ぎない。「めいそう」による回復量が1000もある為、闇ニズゼルファの猛攻をかいくぐりつつも、数ターンごとにくるめいそうによる回復を上回る熾烈な攻撃を加え続けなければならない。
「けがれたきり」の呪いは最高耐性装備でも防げないため運の要素も大きく、とにもかくにもめいそうによる回復量が絶大過ぎる為、結果的に過去作でいう自動回復のようなダメージレースを強要される。その関係で絶対的とされているグレイグのにおうだち戦術も通用しない(「におうだち」させていてはダメージレースで勝てない上、時を奪うによる行動不能がグレイグに当たる場合も…)。
『ドラゴンクエストⅪS』では2Dモードと3Dモードで闇の衣の仕様が異なる。2Dモードではニンテンドー3DS版と同じ仕様だが、3Dモードではダメージ軽減率こそPlay Station 4版と同じだが攻撃力・素早さが強化されているためPlay Station 4版と同じ感覚で挑むと痛い目を見る。
シリーズ他作品との関連性
『ドラゴンクエストⅢ』のラスボスである大魔王ゾーマといくつか共通する部分が見受けられる(やみのころもを纏う、衣をはがされた際の台詞、戦闘曲まで同じ)。
EDにて『ドラゴンクエストⅪ』の主人公は聖竜から最初にロトの名を与えられた存在であり、『ドラゴンクエストⅠ』~『ドラゴンクエストⅢ』につながる物語である事が判明するが、ニズゼルファはいわば大魔王ゾーマの前身と言える存在なのかもしれない。
また、自身の肉体が封じられ、精神体と別れた活動している等、一部は漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』のラスボスである異魔神と共通する設定も見て取れる(後述)。
『ドラゴンクエストⅪS』で声を担当する宮田幸季は3DS版『ドラゴンクエストⅧ』でチャゴスの声を務めていたが、ウルノーガ役の黒田崇矢と同様、キャスト発表当時は役名未表記となっていた。
余談
いかにも世界に闇をもたらす悪神の様な語られ方をしているが、実態は真逆で
本来ロトゼタシアのあった地は彼の領域であり、元は闇に満ちた世界であった。
ところが突如現れた聖竜により闇の領域に光がもたらされ、乗っ取られてしまう。
それに怒った彼が世界を奪い返そうと襲ってきている…
というのが実際のところであるため、侵略者はどちらかというとこちら側
彼からしてみれば自分好みの世界の中でのんびりしていたらいきなり最悪の環境に塗り替えられた挙句居座られているのだからたまったものではないだろう。
そのためか、ニズゼルファ自身は人間自体になにかしらの特別な関心を抱いているわけでもなく、自身の目的を果たすために取った行動の結果でしかないとはいえ、主人公をウルノーガの魔の手から救うような真似もしている。
…とはいえ人間からしてみれば「そんなことを言われても困る」という話なので結局お互い相容れない点は変わらないのだが…。
関連タグ
シドー/ラプソーン/ナドラガ/闇竜シャムダ/ギスヴァーグ(邪神系ラスボス)
- エビルプリースト…隠しボス(リメイク版)にして真のラスボスという共通点がある。
- ブラックノーズ…経緯が似ている
- 鬼眼王バーン…『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のラスボス。最後の戦いの場所が宇宙空間であり、ラスボスの最終形態が凄まじい巨人という点からニズゼルファ戦のオマージュ元になったことが窺える。
- 異魔神…漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』のラスボス。「闇の衣をまとっている」「大魔王ゾーマの後進と言える存在(ゾーマが異魔神の脅威を予言している)」「過去に世界を守る者との戦いで肉体と精神を分離させられた(肉体はオーブに封印され、精神は『宇宙に飛ばされた』)」「魔族でも魔王でもなく異次元から呼び寄せられた正真正銘の魔神」「一人の人間を闇に落とすが存在を疎まれたことで肉体(が封印されたオーブ)を破壊される」など類似点が多数見られる。またこちらは世界樹を利用して宇宙のすべてを消し去ろうとしたが、主人公たちに大樹を消滅させられたことで阻止された。
- オルゴ・デミーラ…異魔神との類似点が散見される魔王。
- ヘイホー…仮面のデザインが酷似している。