ぶっ放せ。
作品解説
2009年12月19日に公開された日本のSF映画。主にアニメーション作品を制作してきた押井守監督にとって8年ぶりの実写長編作品である。
本作は『アヴァロン』と同一世界という設定ではあるが、OPの説明シーン以外はVRMMORPGである世界のみが描写され、登場人物は日本の役者が演じている。
バトルスーツに身を包んだ黒木メイサ、菊池凜子、佐伯日菜子の3人の女優がメインビジュアルとして宣伝され、特に押井と縁が無かった黒木が出演したことが話題となった。
今作では開発者たちが新たに生み出した「アヴァロン(f)」というフィールドを舞台にしており、装備等にミリタリー的な要素は残るが、SFファンタジー的な設定が加えられ、荒廃した大地で巨大な機械生命体スナクジラなどのモンスターを狩るという某ゲームを思わせる世界となっている。
この作品以前に公開された短編である『真・女立喰師列伝』の1篇「ASSAULT GIRL ケンタッキーの日菜子」と、『斬~KILL~』の第4話「ASSAULT GIRL2」は同一世界であるという設定であり、DVDの特典として同梱された。
押井は伊豆大島の三原山にある「裏砂漠」で撮りためられた素材を元に、VFXやCG加工と編集によって即興的に映画を作りだすという訓練もかねて制作したと語っている。
なお、以前は役者は素材の一つとして撮影していた押井だったが、役者と積極的にコミュニケーションを取るなど演出面に変化が見られてきた作品であるといわれている。
小説作品として『ASSAULT GIRLS AVALON(f)』が刊行されており、本編だけでは不明瞭だった登場人物のバックグラウンドや心情についてが語られた。
また同フィールドを舞台とした外伝漫画がCOMICリュウに掲載されたが、諸事情により未完となっている。
公開時、無料オンラインゲーム『クロスファイア』とタイアップも行われている。
2017年には北米でToonami20周年記念として、登場人物であるカーネルとイェーガーが出演する『Sand Whale and Me(スナクジラと私)』という短編が放映された。
物語
オンラインゲーム「アヴァロン(f)」の舞台である熱核戦争後という設定の荒野”デザート22”では、特徴的なプレイスタイルの4人のソロプレイヤー達がそれぞれのスキルや装備による限界から、クラスAの最終目標である巨大生物”スナクジラ”のボス”マダラ”を倒せずにいた。
4人のソロプレイヤー達はゲームマスターからパーティーを組むことを勧められるのだが…
登場人物
- グレイ
演:黒木メイサ
高価な光学迷彩戦闘機を所有する女「狙撃手」。戦闘機は出撃時間に比例してコストがかかりすぎるため神出鬼没のマダラに手を出せずにいた。
灰色という意味の名前の由来は、伝説のプレイヤーアッシュ(灰)にあやかったものである。
見た目は細めの女性だが、実は格闘スキルが非常に高い。
- ルシファ
演:菊池凜子
攻撃魔法を操りカラスに変身することができる、「アヴァロン(f)」で新設されたクラスである黒衣の女「魔導師」。
常に踊っており、カラスの鳴き声しか発さないために意思の疎通がうまく取れない。
初出は「ASSAULT GIRL2」で、菱型戦車の中に拘束衣姿で封印されており、白衣の剣士ミカエル(演:藤田陽子)と戦った。
- カーネル
演:佐伯日菜子
紅いバトルスーツに身を包み、アサルトライフルを持って馬を駆る「竜騎兵」。
名前の由来は大佐と、ケンタッキーフライドチキンの創始者カーネル・サンダースのダブルミーニング。
初出は「ASSAULT GIRL ケンタッキーの日菜子」で、宇宙空母「龍驤Ⅱ」から巨大降下猟兵「天人(テムジン)」で降下しスナクジラと戦っていた。
- イェーガー
演:藤木義勝
野球帽をかぶりゲテモノ対戦車砲を持ってさすらう大男。
その経験点を全振りした装備は”マダラ”を倒すだけのポテンシャルを持つが、移動と索敵に難があり手詰まりになっていた。
- ゲームマスター
声:イアン・ムーア
「アヴァロン(f)」のプレイヤーに助言を与えるゲームマスター。
4人のソロプレイヤー達にパーティーを組むことの利点を語り、組むことを勧めてくるが…
- スナクジラ
プレイヤー達が狩る半機械化された巨大生物。
砂漠を海のように泳ぐサンドワームのような存在で、頭部は蛇のようで複数の目をもつ。特に"マダラ"と呼ばれる個体は強力でソロプレイでは歯が立たない。
初出は短編「ケンタッキーの日菜子」。元々は若手CGスタッフが個人で作っていた作品で、それを見た押井が採用したものである。
名前はかつて押井がSFCで制作したRPGゲーム『サンサーラ・ナーガ2』に登場したモンスターからである。