石仮面とは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するアイテム。
『ジョジョの奇妙な冒険』、その原点というべき最重要アイテムの一つ。
概要
かつて、アステカ文明で使用されていたと推測される石製の仮面。
第一部の物語冒頭にて、アステカの「血の儀式」によって使用されていたことが示唆されており、その後アステカの遺跡に埋もれていたものを考古学の調査に中米に赴いていた若き日のウィル・A・ツェペリが発掘し、これが長き歳月を経てジョースター夫妻によって骨董屋で掘り出され、旅行の手土産としてイギリスに渡ることとなった。
額部から鼻筋にかけてある縄状の装飾と、犬歯のはみ出した唇、涼しげな目つきが特徴。
また裏面には、8本の肋骨状の針『骨針』がある。
その秘密
その正体はアステカ文明の「血の儀式」で使用されていたもの。
ジョナサン・ジョースターはディオ・ブランドーとのケンカの際、彼を殴った際に飛び散った血が壁に飾っておいた石仮面に付着し、それに反応して石仮面から骨針が飛び出したのを見る。
ジョナサンは7年後、(19歳のとき)その正体を解き明かすためにこの仮面を研究し、大事に保管していた。
しかし、石仮面の骨針を見たのはディオもそうだった。ディオはジョナサンの研究書を盗み見て石仮面が人を殺し得る力を持つと知るや、これでジョナサンを『石仮面研究中に自分で被った際、骨針が作動して事故死』という形で殺す完全犯罪を画策。その実験として、貧民街のゴロツキに石仮面を使用したが、なんとそのゴロツキは死ぬどころか凄まじい腕力と腕から血を吸う力を持つ怪物と化して襲い掛かって来た。
怪物化したゴロツキは朝日を浴びると瞬く間に灰と化して消滅したため、ディオは九死に一生を得る。同時にディオは、石仮面の恐るべき秘密に気付くのであった。
この仮面の秘密、それは人間の未知の才能を開花させ吸血鬼にするというもの。
骨針が頭蓋骨を貫き、脳を強く刺激することで脳の未使用領域を活性化させ、不死身の超生命体にしてしまうのである!!
上記の「血の儀式」というのは当時のアステカの王達がその性質を利用して永遠の命を得るための行為であった。
ジョースター家の乗っ取り計画がばれたディオは、この仮面をつけて吸血鬼となり、人間をやめ悪の権化となる。
その後もディオはこの仮面を利用したが、最終的にはスピードワゴンらの手によって粉々に砕かれた。
その起源
ところが、第2部にて砕かれたはずの石仮面がSPW財団の調査によってメキシコの遺跡から大量に発見される。
これをシュトロハイム率いるナチス・ドイツ軍が柱の男(サンタナ)共々奪取し、それらを研究した結果、サンタナがこの石仮面によって生み出された吸血鬼を食料としたことも併せ、石仮面は柱の男たちが吸血鬼を生むために作った道具だと結論付けた。
それは「闇の一族」の天才・カーズが作り出したことが明かされる。
本来、石仮面はカーズが柱の男の弱点である太陽の光を克服し、完全な究極生命体になるために作った道具である。
…だが、その目論見は一度失敗した。
なぜなら、石仮面のパワーだけでは「闇の一族」の肉体を骨針で脳を貫くのは至らず、パワー不足だったのである(カーズ達の「流法(モード)」は不完全な石仮面で得たものである事がアニメ版で示唆されている)。
代わりに、吸血鬼と化した人間は普通の人間よりも遥かに高いパワーとカロリーを持つため、餌として見るならばそれは嬉しい誤算となった。
しかし「闇の一族」は今より強靭に自分たちがなれば、それに伴い多くの命を奪う必要性が生まれ、結果世界を滅ぼしかねないとカーズの思想を恐れ、殺しにかかってきたのである。
カーズは自らの思想に共感しない一族を自らの生みの親も含めて返り討ちにして滅ぼし、石仮面の力を完全にする「エイジャの赤石」を求め、唯一自身の思想に賛同したエシディシと共に当時まだ幼かったワムウとサンタナを連れていずこへか旅立った…。
そう…
ジョースター家とディオの一世紀以上に渡る因縁、そして今なお多くの人々に愛され続ける
人間讃歌の物語はこの石仮面から始まったのである…
余談
余談ではあるが、劇中で石仮面を使用した者のほとんどは、偶然か必然か、自分の身近な人物の血で石仮面を発動させる傾向がある(ディオ→ジョースター卿、ゴロツキの老人→友人のゴロツキ、ストレイツォ→スピードワゴンなど)。
「人間」としての未練が、本能的にそうさせるのだろうか…?