概要
アメリカで発行している通貨で、現在の日本円との為替レートは1$=90円~130円の間で推移している。世界中の貿易決済で使われており現在では基軸通貨の地位を占めている。世界の国々の多くが外貨準備として米ドルを保有している。おそらく世界で一番信頼されている通貨である。
世界でも最も流通している通貨の為、ユーロと同じく偽造が多い点は注意してほしい。
通貨の一覧
アメリカでは通貨としてドルとセントが使われている。現在発行中の硬貨は1、5、10、25、50、100¢硬貨である。発行中の紙幣は1、2、5、10、20、50、100$紙幣である。またおもな硬貨に名前がついており、25¢=クォーター・10¢=ダイム・5¢=ニッケル・1¢=ペニーとなっている。
歴史
1791年には最初の中央銀行として第一合衆国銀行がフィラデルフィアで創設されたのが始まりである。1913年に連邦準備制度が成立して合衆国に近代的な中央銀行が成立するまでは各地の銀行が各々に米国債などを使ってドルを発行していた。中央銀行が成立したあとに発生した第一次世界大戦から戦間期にかけて強力なアメリカ経済を背景に英ポンドに代わって基軸通貨の地位を占めるようになりWW2の直後は世界最強の通貨となった。第二次大戦後は日本や欧州の復興のための資金援助やベトナム戦争の戦費によって準備金が流出したため変動相場制に移行した。
米ドルの「強さ」
米ドルは安定性が高いため小さな国では自国通貨を放棄して代わりにUSドルを使用する「ドル化政策」(ドラリゼーション、英: dollarization)を行う国が存在する。また為替相場では「有事のドル買い」と呼ばれ、有事(戦争・紛争など)が起こった場合「国際通貨であるアメリカ合衆国ドルを買っておけば安心である」という経験則があるほど。(しかし場合によっては日本円やユーロが高騰することもあるが)
「基軸通貨」ドルへの挑戦
1971年の金兌換停止後も長らく米ドルが基軸通貨になっているが米国とは政治体制の異なるロシアや中華人民共和国を始めとする国が$を外して、自国通貨同士での決済を始める動きを見せている。
特にロシアは対露制裁の影響からかユーロすらも外そうとする動きが活発化しており、独立国家共同体等で$とユーロを排除する動きが激しい。アメリカと対立するロシアが運営するラジオスプートニクでは皮肉を込めてガスコンロに米ドルやホッチキスで止められている米ドルと言った表現がある。
因みに日本やオーストラリアは対中国で米ドル貿易を排除している。
- 対ロシアで米ドル排除
北朝鮮 / イラン / タイ / ベトナム / エジプト / UAE / インド
- 対中国で米ドル排除。
オーストラリア / 日本 / ブラジル / アルゼンチン / イラン / UAE / インド
- 諸国連合で米ドル排除
BRICS / 上海協力機構 / ユーラシア経済連合 / メルスコール / 独立国家共同体(ユーロも同時排除) / 米州ボリバル同盟