概要
担当声優は鹿賀丈史氏。
空に浮かぶ巨大な飛行船に乗り、世界の珍しいものを集めるコレクターで何事にも動じない穏やかな物腰の紳士。
ここまでなら別に悪者には見えないのだが、その実態は周りを省みずに自分が欲しいものには手段を選ばず、あの手この手で手に入れようとする自己中心極まりない身勝手な人物で、実際に作中の異常気象も、原因は彼の手によって引き起こされたものである。
後の映画「水の都の護神 ラティアスとラティオス」のエンディングにも雑誌の写真に写っていた。
テーマソングは「我はコレクター」。
行動
新たなコレクションとして世界の危機に現れる海の神ルギアを手に入れるべく、アーシア島の伝承に従いファイヤー、サンダー、フリーザーの伝説の三匹の鳥ポケモンを狙って世界規模の異常気象を巻き起こした。
飛行船に備えられた優秀な設備で伝説のポケモンを次々と捕らえていき、怒り狂ったファイヤーとサンダーの猛攻に飛行船を破壊されながらも最後に再び現れてルギアを捕獲しようとしたが、結局は失敗に終わっている。
捕獲こそ失敗したが、このタイミングは氷の島で最後の宝を手に入れた後の全てが終わったはずのタイミングであり、この強襲でルギアは力尽きてしまう。
役割
ルギア爆誕は「それぞれの世界」をテーマとしているが、彼の存在は行きすぎた個人主義をテーマとしている。ジラルダン自身は悪党というわけでもなく、むしろただ欲しいものを追い求め続けているだけの紳士に過ぎないが、世界の危機などお構いなしと言わんばかりに自分の世界だけを追及し、他者の世界をためらうことなく破壊していく姿が彼の存在を悪役として成立させている。
ちなみにこのフリーダムな役割、前作のミュウツーによる「私は誰だ?」に対する「私は私だ!」の意味も兼ねているらしい。地球が壊れようと宇宙が消えようと、彼は彼なのである。
批評
ポケモン映画の悪役は大抵は改心するか何らかの制裁を受けるのだが、彼には特にそういった描写は無く、そもそもサトシたちと絡む場面が少ない。それでもラスボスのような威圧感を放ち、最後までその風格は損なわれていない。
彼の恐ろしさは世界を意識しないその考え方もあるが、一番はポケモンバトルを一切しないことである。ポケモンを捕まえるときには飛行船からの砲撃のみであり、捕獲にもモンスターボールを使わない。ポケモンの捕獲にはポケモン同士を戦わせてモンスターボールで捕まえるという、基本ルールを一切適用せず、伝説のポケモンを砲撃で一方的に蹂躙して手中に収めていく。
ルールを守らず兵器を用いて手段を達成する大人のやり方は、現実と虚構が対峙する幻のポケモン映画3作目をどこかイメージさせる。
基本的に悪意の下に行動していない人物なので、サンダー捕獲の際に誤って捕らえたサトシ達を素直に解放しており、さらには展示品に触れないよう機内のエチケットを提示の上、飛行船内の自身のコレクションを見学する許可を与えるなど、そもそも他人に危害を加えようという意識自体はない。
しかし公式によると、彼は今回の件に関してまったく反省していないらしく、むしろ過去のコレクションを失ったことで新たなコレクションを集める野望に燃え上がり、一人のコレクターとしての意識はより悪化したとのことである。
・・・ブレない・・・。
古代ミュウ
ちなみに飛行船が大破したことでコレクションを失い呆然とする彼が最後に拾い上げたカードは、彼のコレクションにあった古代ミュウという名のカードである。
このカードはルギア爆誕の映画パンフレットに付属されるとともに、後の劇場版第22作目ミュウツーの逆襲EVOLUTIONのパンフレットにて再配布が決定した。
実はこのカードこそがジラルダンのコレクションの原点であったという裏設定があるのだが、これは彼が次のコレクションに幻のポケモン、ミュウに興味を示したとのサインであり、もし彼が前作のミュウツーの存在を知れば、どんなことが起こるのか・・・なかなか恐ろしいものである。