データ
別名 | 身長 | 体重 | 出身地 |
---|---|---|---|
宇宙大怪獣 | 62m | 3万9千t | ムルロア星 |
第24話「これがウルトラの国だ!」、第25話「燃えろ! ウルトラ6兄弟」に登場。
概要
元々は宇宙にある「ムルロア星」という星に住んでいた宇宙生物。
地球の某国が開発した終末兵器「トロン爆弾」の実験によって、故郷の星を破壊された上、その影響で突然変異して巨大怪獣となった。
口から放つ強力な溶解液に加え、体から放出する「アトミック・フォッグ」と呼ばれる黒煙を武器にする。光源を嫌い、取り分け太陽光を非常に苦手としている。また地球ではほとんど視力がないことから尖兵として宇宙蛾スペースモスを引き連れており、このスペースモスの群がる場所を目標にして攻撃する。
本編では「ちょっと強い」程度の扱いだったが、実際はタロウに出てきた怪獣の中でもトップクラスの実力者。一度はタロウ相手に圧勝し、アトミック・フォッグで地球全体を暗黒に陥れている点から、その強さのほどがうかがえる。
そこでタロウは光の国に帰り、かつて「ウルトラ大戦争」で使用された伝説の秘宝“ウルトラベル”を持ち出すことを決意する。その後も地球で大暴れしていたが、そこにウルトラベルを携えたタロウが帰還、他のウルトラ兄弟達の協力の下で打ち鳴らされたウルトラベルの力で黒雲を取り去られ、出現した太陽の光に苦しんでいる所をタロウと再戦。激戦の末に最期は空中高く放り投げられ、そこにZATが前もって身体に仕掛けることに成功していたAZ1974爆弾が爆発し、塵となって消えた。
余談
この母星を人間の手で破壊されてその復讐のために地球に来るという点は『ウルトラセブン』に登場するギエロン星獣と境遇が似ている。ウルトラシリーズには一概に悪とは言えない怪獣が度々登場するが、彼(?)もそんな一匹だと言える。
昭和・平成シリーズを通じ、「地球全体を暗黒に閉ざす」という戦果を挙げたのは、超古代の邪神や破滅をもたらす天使の眷属、さらに宇宙の大皇帝などのラスボス級に限られる。
事態の収拾に星の秘宝であるウルトラベルまで必要だったことを考えると、「闇」を作り出すという点にはおいては平成シリーズのラスボスすらも超えていたかも知れないといえ、後に出てきた者達の場合は元凶を倒せば勝手に消滅するか、あるいはウルトラ兄弟だけで対処できたことを考えると、ムルロアの闇は相当凄まじいことになる。
もっともムルロアの場合は「核の冬」という現実に起こりうる脅威を題材としているため、完全に架空の存在である上記の「闇」より恐ろしいのは当然なのだろうが。
名前の元ネタは南太平洋のフランス領ポリネシアに実在するムルロア環礁(珊瑚礁でできた島)。
この環礁は1996年までフランスの核実験場だった島で、怪獣ムルロアには核兵器に対するメッセージが込められている。またトロン爆弾の発射実験を行った某国はフランスを暗に揶揄しており、さらに劇中では「フランスは今回の実験に反対だった」と言う皮肉めいた台詞も出てくる。
デザインモチーフは「蛾」
ムルロアが「アトミック・フォグ」で、関東地方が覆われるシーンは、『ウルトラマン80』第36話にて寒気団の南下を説明するシーンに流用された。
デザインを担当した鈴木儀雄はバードンと同様に執筆に苦労したが、造型に手間と予算がかかったため経理担当から苦情が来たという。