概要
南海電気鉄道の通勤形車両。輸送力増強用と南海1000系(初代。特急「四国号」用)廃車にともなう車両補充用として、1985年(昭和60年)から1988年(昭和63年)にかけて4両固定編成5本(9501・03・05・07・09編成)・6両固定編成2本(9511・13編成)の計32両が製造された。南海本線向け。
車体は南海本線用として初めてのステンレス車となった。当時南海高野線で活躍していた南海8200系と同じく界磁チョッパ制御を採用、同系をベースにデザインを一新して前面窓のガラス面を上方まで拡大させた。また、南海の通勤形車両で初めて電気指令式ブレーキも採用されている。
登場当初はダークグリーンのライン(メイン画像上)の姿であったが、1992年から1994年にかけて現在の配色(メイン画像下)に改められている。
リニューアル改造
製造から30年以上が経過し、南海8200系(⇒6200系50番台へ改番)に続いて2018年(平成30年)からリニューアル工事を開始。VVVFインバータ制御への変更や内装の変更、行先表示器やヘッドライトのLED化などを順次施行している。
このうちトップナンバーである9501編成に限り、「車内の快適性を高めて通勤電車をもっと身近で快適に感じてもらう」ことを目的としたプロジェクト「NANKAI マイトレイン」の一環で、「家のリビングにいる」をコンセプトとした木目調の内装となった。改造を終えて運行を開始した2019年(平成31年)4月から1年間の期間限定で、オレンジ色を基調とした配色の車体になっている。
運用
南海本線の普通から急行・特急まで幅広い運用を担当している。
運行開始当初は電気連結器がなく、4両・6両固定編成とも単独運用に入るのが基本であったが、「重要機器(補助電源装置やコンプレッサーなど)は編成内に複数設置しなくてはならない」という運用規約が定められてからは、重要機器が1セットしかない4両固定編成(9501・03・05・07・09編成)については電気連結器を追加装備し、2編成をつないだ8両運用に入るのが基本であった。先述の通り4両固定編成は5本在籍していたため、そのうちの1本は必然的に予備車とならざるを得なかった(※ただし、編成のやりくりができない場合は4両単独運用が行われた)。
現在の南海1000系(2代目)以降の新製車両とは、ブレーキ方式が同じであるため連結運転が可能であるが、空調装置などサービス機器の取り扱いが両者で異なるため、実際に両者をつないだ連結・営業運転は行われていない(※試運転のみ)。
ただし特急「サザン」についてはその例外で、「サザン」は車掌2人乗務であるため、空調装置は編成別に制御することで12000系と9000系の連結・営業運転が可能になっている。南海12000系デビュー後の2015年(平成27年)12月より「サザン」自由席運用を開始しており、「1本が予備車になる」状態は解消された。
2018年夏の「サザン」における南海12000系と泉北高速12000系の交換運用では9000系が自由席車として抜擢された。検査の都合で運用期間中に1度だけ自由席車の交換が行われたが、交換後の編成も9000系だった。その為、泉北12000系と南海二代目8000系との併結は実現していない。
9000系4両固定編成・リニューアル車は、改造によって重要機器を2セット搭載しており、上記の運用規約からは外れている。
マイトレインは基本的に普通列車での運用だが、検査周期等の都合で稀に「サザン」自由席に使われる事がある。
6両固定編成(9511・13編成)は製造当初から電気連結器が搭載されておらず、現在も6両単独運用が行われている。
関連タグ
鉄道 南海電気鉄道 南海本線 東急車輛製造 9000系 8200系