笑いの神様になった男とは、読んで字のごとくお笑いをとる芸で神がかり的な才能を発揮し、一時代を築き上げ……そして、去っていった漢(おとこ)たちである。
代表的な人物
いかりや長介
伝説的コミックバンドザ・ドリフターズの古参メンバーにして、メジャーレーベルでのデビュー後のリーダー。『8時だョ!全員集合』や『ドリフ大爆笑』などの昭和を代表するオバケ番組で牽引役を努めた。お笑いコントにはそのクォリティには飽くなき追求を注ぎ、その名を不動のものにした。『全員集合』終了後は俳優業などにも精を出したが、最後まで「ドリフのリーダー」であり続けた。2003年、急性リンパ腺腫瘍の為死去。
志村けん
そのドリフに憧れ、その意気込みと才覚をいかりやに見出され、高校在学中からドリフの付き人として入門した。メインメンバーであった荒井注が健康上の問題を主な理由としてドリフ脱退を申し出た時、新たなメインメンバーとして正式加入。『全員集合』終了後は最も歳の近い加藤茶とコンビを組んで後継番組の『カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ』に出演、一部の企画は自ら考え、所謂仕掛けコントが多かった『全員集合』とはまた違った笑いは師であるいかりやをして唸らせた。同番組の終了後もいかりやとは対象的にあくまでお笑いに重点を置いた活動をし、『志村けんのだいじょうぶだぁ』『志村けんのバカ殿様』など、数多くの冠番組を持つに至る。21世紀に入ってからは『天才!志村どうぶつ園』のようなお笑い直球以外のバラエティにも出演するようになるが、そこでも常に笑いを取ることを忘れなかった。2020年、新型コロナウイルスによる肺炎により死去。
桂歌丸
大きく高視聴率を叩き出した『8時だョ!全員集合』に対して、そこそこの高さの視聴率を安定して確保し続けている定番番組『笑点』。その前身番組『金曜夜席』時代からのレギュラー出演者で、短期間の降板期を挟むもののおよそ40年に渡って出演してきた看板出演者。特に三遊亭楽太郎(現・6代目三遊亭円楽)との「じじい・腹黒合戦」は「解っちゃいるけど笑っちゃう」名掛け合いであった。特に2006年からの司会者時代は大喜利メンバー全員を巻き込む掛け合い合戦となって笑いを誘った。その一方で、古典落語への飽くなき追求も怠らなかった。2018年、慢性閉塞性肺疾患のため死去。没後人間国宝・従五位に叙せられた。
負の共通点
この3人に共通することが「ヘビースモーカーであったこと」である。とりわけ志村と歌丸は肺疾患であり、恒例になって体調を崩した時点で禁煙に踏み切るが、それまでに肺が受けたダメージを回復するには遅すぎた。3人とも享年を考えると決して短命とは言い難いが、結果として煙草がその死期を早めることになった。
これは、芸能界という閉鎖的な社会において、伝統的な「男は飲む・打つ・寝るをやって一人前」という習慣が他の職業と比べてもかなり後年まで残っていたことが要因である。
生き神様
中には、生きながらにして笑いの神様と讃えられる男達もいる。