概要
原作は片山恭一。
白血病により彼女が亡くなってから十数年後に、残った主人公の男子が回想するという物語型式をとっていて、現在と過去とが交互に描かれる。
略称は、セカチュー。
2001年に小学館から刊行。初版8,000部と発売当初はさほど話題にならなかったが、小学館の新入社員だった営業マンの目に留まり、彼が売り込んだことから口コミ等で話題になる。
2002年に女優の柴咲コウが、雑誌『ダ・ヴィンチ』に投稿した書評のコメント「泣きながら一気に読みました。私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました」が書籍の帯に採用され話題となった。
これが火種となり2003年に100万部を突破。2004年東宝にて長澤まさみ主演で映画化。映画版が大ヒットし、相乗効果で映画公開後に原作も300万部突破、大ベストセラーになる。映画版の成功によって「セカチューブーム」として社会現象になった。
ちなみに、題名の「世界の中心」とはオーストラリアのエアーズロックのこと。
評価
セカチューブームをもってゼロ年代の日本に純愛もの旋風がもたらされ、『いま、会いにゆきます』といった同じ路線の作品がいくつか続いた。各国言語に翻訳され、韓国と中国では現地で映画化もされた。
しかし、ブーム最盛期より『情緒の描き方や言動が主人公のエゴイズムに基づいている』として従来の純愛物・プラトニックラブと一線を画してみる動きも見られた。太田光や小林よしのり、茂木健一郎といった著名人からも「日本人全体が子供としてふるまうことをよしとしている」(by茂木)といった批判のコメントが見られ、宣伝がかなりセンセーショナルであったことから一部ではネタ扱いされたり、その(主に映画版の)見方によっては極端な内容を皮肉ってジコチューと揶揄されることもあった。
折も悪く、セカチューブームの時期はケータイ小説ブームと重なっていて、そのテーマが不治の病と純愛、そして宣伝内容がお涙頂戴ありきと似通っていたことから、ケータイ小説全般の欠点との共通項として本作も見られてしまった部分も多い。
関連タグ
平井堅…映画版の主題歌担当。
君の膵臓をたべたい:なろう発の青春小説。セカチューとプロットが似通っていると指摘されているが、一方で『セカチューの粗をとった作品』と見られてもいる。