概要
本作の世界に存在する大陸の二大強国の一つ(もう一つはサンクランド王国)。主人公のミーア・ルーナ・ティアムーンはこの国の第一皇女である。
ミーアが死に戻る以前の時間軸では、帝国の財政悪化に加え、疫病の発生や帝国内に存在する少数民族ルールー族の反乱、大陸全土を巻き込むほどの大飢饉の発生と言った社会混乱が立て続けに発生。その状況を少しでも改善すべく、ミーアは部下のルードヴィッヒ・ヒューイットと共に東奔西走したが焼け石に水であり、革命の聖女ティオーナ・ルドルフォンによって革命が勃発。最終的に皇帝マティアスと皇女ミーアは処刑された。
本編の時間軸では、死に戻ったミーアが斜陽を迎えつつある帝国を立て直すべく奔走し、その過程で様々な人物が彼女に協力していく。
とある理由から反農思想の強い国であり、それに由来して貴族の中でも中央貴族と辺境貴族の間には格差がある。例として、ルドルフォン辺土伯は農民達のリーダーであったティオーナの祖父が、盗賊退治の褒美によって帝国貴族に編入された「成り上がり」であることから、貴族の中でも格下扱いされることがほとんどである(貴族どころか帝国臣民とすらみなされず「農奴の末裔」「植民地人」呼ばわりされることもある)。
政治
帝室であるティアムーン家を筆頭に、その血縁で門閥貴族に当たる四大公爵家(グリーンムーン、ブルームーン、レッドムーン、イエロームーンの4家)が補佐する政治体制になっている。
帝都ルナティアに帝室の暮らす白月城(はくげつじょう、白月宮殿〈はくげつきゅうでん〉と、帝室を補佐する五つの月省(げっしょう)が置かれている。
- 青月省(せいげつしょう)
首都の行政を管轄する月省。
- 金月省(きんげつしょう)
税関係を管轄する月省。建物は5つの月省の中で白月城から最も近い位置に置かれている。ミーアが12歳当時の時点で、ルードヴィッヒはこの省の三等税務官だった。
- 赤月省(せきげつしょう)
地方の行政を管轄する月省。ミーアが死に戻る以前の時間軸ではミーアが12歳の時にルードヴィッヒがこの省への出向(地方への左遷)を命じられていた。
- 緑月省(りょくげつしょう)
他国との外交を管轄する月省。
- 黒月省(こくげつしょう)
軍事部門を管轄する月省。帝国七軍をまとめる。
地理
ルナティア
帝都。前述の白月宮殿と5つの月省が置かれている。
- 新月地区(しんげつちく)
帝都の中でも城壁の最も近くに位置する地区。
ミーアが死に戻る以前の時間軸では最下層の貧民が暮らすスラム街であり、小さな教会と孤児院を除いて人の営みがほぼ絶えている状態だった。食べ物もろくになく、病人は手当ても受けられないまま道端に放置される劣悪な環境であり、ここから発生した流行病が他の地区にも蔓延し、最終的に帝都の民衆の1割が命を落とす惨事となった。
本編の時間軸では、ミーアが流行病の蔓延を回避すべく病院の新設などの環境改善が行われる。
ルドルフォン辺土伯領
ティオーナの故郷。南の辺境地域で、一面農耕地が広がっている。
静海の森(セイレントのもり)
少数民族ルールー族が暮らす森林。ルドルフォン領とベルマン領の境界に位置し、この森の存在が時間軸を問わずにミーア、引いては帝国の未来を左右する重大な分岐点になる。
関連人物
帝室の関係者
主人公。現皇帝・マティアスの長女(第一皇女)。
現皇帝でミーアの父親。48歳。亡き妻を深く愛しており、先立たれた後も再婚はしていない。ミーアを溺愛していることで有名で、「パパと呼んで」などとしつこく言いよってくるため当のミーアからは鬱陶しがられている。以前の時間軸では、ミーアよりも先に処刑されている。
ミーアの孫娘。愛称は「ベル」。未来からやってきた存在であるため、本編の時間軸ではまだ誕生しておらず厳密には帝室関係者ではないが、表向きにはミーアの妹という扱いになっているためここに記載する。
宮廷関係者
- ムスタ・ワッグマン
ティアムーン帝国の宮廷料理長。名前は文庫版第4巻の電子特典が初出で、それ以前は単に料理長と呼ばれていた。
以前の時間軸では、「嫌いな野菜(特に黄月トマト)の入った料理ばかり出してくる」という理由で、ミーアが14歳の誕生日にクビにしている。
- ズッカ
演:浅見萌子
舞台版オリジナルキャラクター。帝室に仕えるメイド。無口だが仕事ができる。掃除が好きで、完璧主義者。
リトシュタイン家
演:窪田美沙
ミーアの専属メイド。平民(商家)出身で、リトシュタイン家の長女。17歳(ミーアより5歳年上)。ミーアの忠臣の1人。
アンヌの妹で、リトシュタイン家の次女。12歳(ミーアと同い年)。眼鏡をかけている。生まれつき病弱で、普段はベッドにいることが多い。小説を書くのが趣味で、前の時間軸においてアンヌが獄中のミーアに聞かせてくれていた物語の著者でもある。
ミーアが死に戻る以前の時間軸では、ミーアとの面識はなく、飢饉で満足な食事が取れなかったこともあり、ミーアの処刑以前に死亡している。獄中生活を送っていた当時のミーアにとって、エリスの物語は数少ない楽しみでもあったのだが、前述の理由でエリスが死亡したため未完に終わり、ミーアにとってはこの作品の結末を見届けられなかったことが未練の一つになっていた。
本編の時間軸では、アンヌがミーアの専属メイドになったことでアンヌの給金が上がり、栄養のあるものも食べられるようになったため体調も比較的良くなっている。ミーアがアンヌの実家を訪ねた際に、件の物語の作者が彼女であったことを知り、自身のお抱え芸術家にする。後に『聖女ミーア皇女伝』を執筆することになるが、これが文庫版第3巻以降の展開で重要な役割を担う。
四大門閥貴族の関係者
グリーンムーン公爵家の長女。16歳。
ミーアの一番の親友だと自認しているが、最初の時間軸では革命が起きるや否や真っ先に祖国を見捨て一族郎党揃って国外逃亡したため、本編のミーアからは全く信用されていない。
実は、彼女がミーアに対して抱いている友情は本心である。以前の時間軸においての逃亡は彼女の父親が行ったもので、彼女の意思によるものではなかった。
ブルームーン公爵家の長男。
月省の関係者
演:佑太
金月省の文官。ミーアの忠臣の1人。
軍事関係者
演:森下竣平
帝国軍の百人隊長。27歳。傭兵上がりでその腕を買われて士官した、自他ともに認める帝国最強の剣士。飄々とした態度とは裏腹に、敵対行動を取れば子供であっても殺すことのできる冷徹さと、仲間の為には命を張ることも厭わない情の厚さを併せ持った人物。
以前の時間軸においてミーアの処刑を執行した張本人であり、そのため本編の時間軸ではミーアが偶然彼と出会った際には恐怖のあまり卒倒してしまうほど、その存在がトラウマになっている。それは彼が味方するようになってからも変わらず、微妙に恐怖を抱かれ続けている。
以前の時間軸で革命が起こる前、ルールー族の反乱が起こるきっかけになったある事件において、部下が全滅し自分だけが生き残ることになり、この事件がミーアのわがままによって引き起こされたものであったことから、それが理由で真っ先に革命軍に翻意した。
本編の時間軸においては、元々出世に興味を持たなかったが、自身の抱えていた問題をあっさりと解決してみせたミーアの機智に触れた事で考えが変わり、ルードヴィッヒのスカウトに応えてミーアの側近として腕を振るう事になる。
帝国軍の百人隊副隊長で、ディオンの副官。大柄な体格と髭面が特徴で、熊のような風貌の豪快な男。
- マルス
演:渡辺誠也
舞台版オリジナルキャラクター。帝国軍の百人隊に所属する兵士で、ディオンの部下。同じ部隊のバッカスとは共に戦場を潜り抜けてきた仲間で、なにかとボケがちな彼に突っ込みを入れることが多い。
- バッカス
演:九十九康貴
舞台版オリジナルキャラクター。帝国軍の百人隊に所属する兵士で、ディオンの部下。同じ部隊のマルスとは共に戦場を潜り抜けてきた仲間。少し間抜けな一面があり、マルスやディオンによくツッコまれている。
- ダイヤ
演:美尾優気
舞台版オリジナルキャラクター。王宮に仕える騎士で、ミーアの護衛を担当する。知的でカッコイイ、頼れる騎士になるのが夢。
ルドルフォン辺土伯領
演:草場愛
ルドルフォン辺土伯の長女。
ルドルフォン辺土伯の長男で、ティオーナの弟。10歳。幼いながら研究好きな学者肌の人間で、主に植物学が得意。
以前の時間軸では研究が実り「寒さに強い小麦」を開発した事で領内の食糧難を救い、革命軍が人心を得る大きな役割を果たした。
本編においてミーアはティオーナとの交流の際にその事を思い出し、来たる未来への対抗手段とすべく、彼の能力を帝国で発揮させる為に「ある計画」を実行に移す。
ベルマン子爵領
- ベルマン
演:中山佳大
ルドルフォン辺土伯爵家の隣に領地を持つベルマン子爵家の当主。田舎貴族と見下していたルドルフォン辺土伯家よりも自分の領地の面積が小さいことを気にしており、ルールー族が住む「静海(セイレント)の森」を強引に開拓して我が物にしようと画策する。以前の時間軸ではこれが原因でルールー族の内乱が勃発し、結果的に帝国滅亡の遠因を作ってしまうことになる。
本編の時間軸においては、上述の問題をミーアが上手く処理した事で、ミーアへ多大な忠誠を捧げる忠臣となった。その忠誠ぶりは本編の時間軸から分岐した別の未来(ミーアベルが生まれた未来)においても、皇女派としてミーア亡き後も帝室を支えていたほど。
ルールー族
森を尊び生きる少数民族。帝国のルドルフォン辺土伯領・ベルマン子爵領の境界にある森「静海(セイレント)の森」に住んでいる。大陸の公用語に不慣れな者が多く、作中の会話では助詞を省いた片言のような喋り方として表現されている。
演:河地柚奈
ルールー族の少女で、ティオーナにメイドとして仕えている。
- ワグル
演:大野愛
新月地区に暮らす孤児の少年。母親を病で亡くし、自身も飢餓によって衰弱し倒れていたところを新月地区へ視察に訪れていたミーアによって助けられ、同地区の教会に保護されたことで一命を取り留めた。
後にミーアと再会した時に、ルールー族の族長の孫であったことが判明する。その際、命を助けてもらったお礼として母親の形見である「ユニコーンの簪」を渡すが、このことがルールー族とミーアの関係において大きな役割を果たし、これを機にワグル自身も一族の元に迎え入れられる。
エグル
演:咲田雄作
ルールー族の族長を務める老人。原作にも登場するが「族長」としか呼ばれておらず、名前は舞台版で設定された。10年以上前に、娘が他の部族の男と恋に落ちて森を出て行ってしまい、勘当したものの心配していた。
実はワグルの母方の祖父にあたる。ミーアがワグルにもらったユニコーンの簪はかつて彼が娘(ワグルの母親)に渡したものであり、それを身に付けていたミーアを通して娘の死と孫の生存を知る。
- ジルワ
演:田畑寧々
舞台版オリジナルキャラクター。ルールー族の1人。弓の名手で、「静海(セイレント)の森」と族長エグルを護ることを自らの使命としている。一方で帝国貴族に対する不信感が強い。
新月地区
- モレス
演:岩瀬和樹
新月地区にある教会の神父。原作にも登場するが、名前は舞台版で設定された。新月地区の貧困による窮状に常に心を痛めている。ヴェールガ公国の公爵令嬢ラフィーナ・オルカ・ヴェールガの大ファン。
- スザンナ
演:谷平沙友理
舞台版オリジナルキャラクター。新月地区の教会で働く女性。面倒をみている孤児達の行く末を心配している。
フォークロード商会
セントノエル学園におけるミーアの同級生の1人。以前の時間軸ではミーアとの接点は皆無だったが、本編の時間軸ではミーアが積極的に話しかけたことから良き学友となっている。
演:山田貴之
クロエの父親で、帝国の商人。一代でフォークロード商会を大商会へと育て上げた傑物で、商人としての深い見識と冷静沈着な判断のできる人物として、同業者から一目置かれている。
ミーアは本編の時間軸において、彼の商会が船舶を多数所有していることに目を付け、飢饉の際に国外からの小麦の流通経路を確保するため彼との接触を図る。
その他
ルードヴィッヒの師匠。「放浪の賢者」「老賢者ガルヴ」と呼ばれる老人。
- トルテ
演:芦澤梨沙
舞台版オリジナルキャラクター。典型的な帝国貴族の1人で、見栄っ張りで贅沢好きであるが、根は良いところがある。ケーキが好物。
- サバラン
演:SOH
舞台版オリジナルキャラクター。典型的な帝国貴族の1人で、見栄っ張りで贅沢好きであるが、根は良いところがある。酒好き。