概要
本来紙幣とは単なる紙切れであり、国家が銀行券としての価値を認めているためにそれを商取引で利用できる。したがって自分でどんなにソックリに紙幣を作成したとしても、それには何の価値もなく、偽札(偽造紙幣)と呼ばれる(逆を言えば、国家が破綻して銀行券が価値を為さなくなった場合、その国の紙幣はただの紙切れ同然となる)。
偽札の製作は経済の混乱を招くため、日本では刑法148条の通貨偽造罪は3年以上の懲役と言う重い罪になっている。ちなみに「経済の混乱」とは、大量に偽札が流通した場合で言えば紙幣に対する信用と価値を失墜させる上にハイパーインフレを起こしかねない事である。
そのため戦争などの際に、敵対する国家に対して経済の混乱と打撃を与えるため国家が他国の偽札を製造と使用による資金洗浄をするケースがある。紙幣の製造技術を持つ国家による偽札は、精巧さという点では個人もしくは犯罪組織が製造するものと比べて高精度な偽札になる。
日本国内で摘発された偽札は、カラーコピー製のすぐバレるようなものだったり、あるいはジョークグッズとして市販されているおもちゃを悪用したケースが多い(このテの偽造犯は、生活苦でやむなくやってしまったり、バカな若者がおふざけ半分でやらかしたケースが大半である)が、手の込んだものは本物と同じインクを使っていたという、さながらゴート札まがいの代物も稀に存在する。
偽札対策
現行の紙幣には様々な偽札に対する対策が施されているが、簡易的な複製に対してはコピー機やスキャナが紙幣を印刷しようとすると警告音を発して印刷を拒否する機能が搭載されているものが多くなっている。
本当にそうなのか試そうとする人もいるかもしれないが、コピー機やスキャナに紙幣を読ませるのは対策がされているとしても絶対にやってはならない。
ちなみに自動販売機の紙幣投入機構部は、自販機を廃棄する際に悪い奴に転用されたり、あるいは分解されて内部機構を解析されたりしないよう、必ず物理的に破壊しなければいけないようになっている。
偽硬貨
また、偽札に限らず硬貨でも贋金(偽造・変造硬貨)が現れた事があり、比較的新しいケースで言えば、旧500円硬貨から現行の500円硬貨に変わったのは韓国の500ウォン硬貨(ほぼ500円硬貨とサイズが変わらない)をドリル等で削るなどして厚みや重量を旧500円硬貨のそれに合わせ、自販機の認証を騙したものが一時期日本国内で大量に使われた事が社会問題になった為である。
また、100ウォン硬貨(これまた100円硬貨とサイズがほぼ変わらない)が、繁忙時のスーパーマーケットやコンビニ等、慌ただしい金銭のやりとりの場でどさくさに紛れて使われるケースもあり(本物の100円硬貨の中に混ぜて出す小賢しい犯行も多い)、韓国からの移民や旅行者が多い東京や大阪といった大都市圏を中心に問題となっている。
このほか、大規模同人誌即売会であるコミックマーケット(コミケ)でも、こうした偽札の使用や海外の硬貨を混入させて支払いを誤魔化す事態が近年相次いでおり、コミケの開催前および開催中は運営側や警察の注意喚起がしばしば行われている。