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GRヤリスの編集履歴

2020-10-04 01:44:02 バージョン

GRヤリス

じーあーるやりす

トヨタ自動車のラインナップの一つ。

BORN FROM WRC


概要

2020年1月に発表されると同時に予約を開始。同年9月から発売された。


ベースとなった5ドアのヤリスは後部座席の居住性を完全に捨てたり、6速MTをFF・1500ccの全グレードに用意するなどスポーツカーの要素が濃く出ているにもかかわらず、トヨタ側があくまでも「コンパクトカーです(。決してスポーツカーではありません)が、何か?」と主張しているのに対し、こちらは「BORN FROM WRC」というキャッチコピーの通り、WRCのホモロゲーションモデルとして開発されたガッチガチのスポーツカー。

その意気込みは特設サイトからも滲み出ており、『市販車を叩き台として競技車両を開発する』のが一般的なレーシングカーやラリーカーなのに対し、この車は『競技車両を基準として市販車を開発する』という全く逆のアプローチを取っている。


現行のWRカーやグループRally(旧称グループR)規定は大衆車を魔改造できる規定であるため、本来なら市販状態での戦闘力はほぼ関係ない。しかし骨格の丈夫さや重さ、重心の低さ、上部の空力など僅かながら市販車の素地が生きる部分が存在しており、GRヤリスはそれらを徹底的に追求したシャシーの作りになっている。

本来ならこれだけで十分なのだが、加えてトルクお化けの1600ccターボチャージャー付きエンジンとスポーツ4WD機構を新開発して乗せており、パワートレインだけなら市販車状態でもラリー2(旧名グループR5、WRカーの子分)と同等のスペックを誇る。


つまり大衆車魔改造全盛のこの時代に、かつてラリーのメインストリームだったグループAグループNのそれをやっているという時代錯誤(褒め言葉)っぷりなのである。20年以上インプレッサ(WRX)/ランエボだけが鳴らしていたこのカテゴリだが、ランエボが2015年に生産終了となった現在は滅びゆく一方に思えたところにこのマシンである。車好きたちが胸を躍らせないはずがなかった。


各地のローカルラリー(例えば全日本ラリー選手権)で総合優勝を争えるのはもちろん、軽量さを活かしてサーキットでも強さを発揮できる。2020年シーズンからスーパー耐久のST-2クラスにエントリーし、発売日に開催されていた富士24時間では大差でポールトゥウィンを果たしている。


しかし真に驚くべきは、2012年のスポーツカーへの再参入以来販売を行ってきた86GRスープラに関しては人様(スバルBMW)からエンジンやプラットホームを融通してもらった上で開発するという採算の鬼っぷりを見せたトヨタが、GRヤリスについては(ヤリスという素地があったとは言え)完全自社開発にするという豹変ぶりではないだろうか。

かつて2017年の「GR」ブランド発表時は「TRDと何が違うんだ」(実際レギュラーモデルの純正エアロパーツにTRDの名称が使われていた)「NISMOやMUGENの後追い」、GRスープラが登場したときは「結局BMW製」「トヨタにスポーツカーは作れない」というシラけた空気が常に車好き界隈に漂っていたが、このGRヤリスの登場でそうした陰鬱な空気は全部ぶっ飛ばされた。

そういう意味ではGRブランドを真に確立させた一台と言えるだろう。


ラインナップはメインストリームである『RZ』とアッパーバージョンの『RZ HighPerformance』、ヤリスとエンジン・駆動系を共有する『RS』と、競技用に一部装備を簡略化した『RC』の4グレードが用意される。


メカニズム

ボディは5ドアヤリスとは別物の専用設計となっており、3ドアに2+2シーター。

一応の原型であるヤリスより全高が60mm(4WDの数値)も低く、ブリスター化されたフェンダーアーチも相俟って攻撃力溢れるマッシブなスタイリングをしている。

ボンネットやドアパネルのアルミ合金化やカーボンルーフで軽量化を図っている。フロントマスクはGRブランド車でお馴染みの大きな口を開けた、ファンクショナル・マトリックス・グリルである。

内装のデザインは、GRパーツによる装飾はあるものの基本的には5ドアのヤリスと共通である。しかしセンターコンソールにはGRのロゴ・WRCの公式ロゴ・『Developed for FIA World Rally Championship』の文字が連なって書かれた小さなプレートが埋め込まれており、本車に興味を示す者でこれを見てテンションの上がらない者はいないだろう。


RZ・RZ HighPerformance

エンジンは272馬力を発生する1,600cc・3気筒シングルターボ『G16E-GTS』を搭載。これはTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の一つとして開発された新エンジン・ダイナミックフォースエンジンのスポーツモデル『ダイナミックフォーススポーツエンジン』であり、製造過程でどうしても発生してしまう部品重量の誤差を、同等の重量のパーツ同士を組み合わせてエンジンを組み立てることでエンジン単位での性能差を限りなくゼロにしている。

「要求性能に達しないエンジンは組み直す」工程がある量産車としては日産GT-R等があるが、それらのエンジンが埃など限りなく除去されたクリーンルームで組み立てられるのに対し、G16Eは(コンタミネーション防止策を施してはいるものの)汎用エンジンと全く同じライン上で組み立てられていることも特筆すべきことであり、その成果は開発ドライバー(※現役のレーシングドライバー)曰く「試作車10台の性能をバラつき試験をしたが『クルマを取り替えた』と言われなければ分からなかった」と言わしめるほどの誤差に収まっている。


駆動系はトヨタがセリカGT-FOUR以来20数年ぶりに開発したスポーツ4WDの『GR-FOUR』で、四輪のトルク配分をスイッチで3種類から選んで走ることができる。トランスミッションは国内ではカローラスポーツ以来採用が続いているエンジン回転数自動調節機能付きの『iMT(6速)』を採用しており、これにはノーマルグレードのRZの他、モータースポーツでの使用を前提としたRCも用意されている。なお同機能はセンターコンソールのスイッチ一つでオフにできる。


「専用設計のモノコックと高付加価値パーツの搭載」「極めて高精度な部品構成」と従来のトヨタ量産車と比較しても途轍もない程のコストが掛けられているにも関わらず、製造コストは『社会情勢に左右されることなく黒字にできる』レベルに到達しており、「社長のキモ入りだから」とコストオーバーを許容しない点も興味深い。

そしてこの手のスポーツ4WDマシンなのに燃費が良く、実燃費に近いWLTCモードで13.6km/Lを公称する。軽量ボディの恩恵という面はあるものの、ライバルのWRX STIが実燃費との乖離が大きいJC08モードでリッター9.4km/Lということを考えるとこれは驚異的である。


RS

その一方でベースのヤリスと同じ1,500ccノーマルガソリンエンジン搭載・FF・CVTモデルの"RS"も用意されている。気軽にGRヤリスの走りを楽しんでもらうためのモデルとしてはいるのだが、ベースのヤリスには先述の通りFF・1,500ccガソリンエンジン搭載グレード全てにMT車(しかも全て6速)が設定されているうえ、こちらもラリーカーへの改造を前提に開発されているなどポテンシャルは十分ある。

故に、「何のためにあるの?」と言いたくなるが、要は後述の生産台数確保のための措置である。一応電動パーキングブレーキ+オートホールド機能や全日本ラリーで好成績を収めている10速シーケンシャルMTモードが奢られて差別化はされているが、車重が5ドアよりも重くなっているため価格に対して見合っているとは言い難い。しかもヴィッツGR SPORTにはあったハイブリッド搭載車がないだけに、どこまでその役割が果たせるか・・・・。


しかし軽を除くと国産3ドアホットハッチという存在自体が本車しかない(スイフトスポーツマツダ2、ヤリスなどはいずれも5ドア)なため、そこに惚れ込んでるがどうしても懐が厳しいという人にとって、RSというグレードは一考の余地はある。

堅牢なモノコックボディに起因する操縦安定性の高さに加えパドルシフトや電動パーキング、セミバケットシートなど5ドアヤリスには無い装備も多く、マフラーも1.5Lに合わせて専用で開発されているため、プレミアムコンパクトとしての価値はあるはずだ。


なおベースのヤリスのGA-Bプラットフォームはフロント部分のみの採用で、リヤ部分は12代目カローラや4代目プリウスに採用されたGA-Cプラットフォームを使用している。

ちなみに、WRCのグループAの公認を得るためにはこの車両を単独で年間25000台生産しなければならない。前後ともGA-Bで、かつヤリスベースのエボリューションモデルでさえあれば2,500台で済んだのだが、ヤリスのプラットホームのままでは性能面の問題などで不都合な点があったのか、そうしなかった(あるいは出来なかったのかも知れない)。これは推測だが、モータースポーツでの使用を考えて後部座席を倒してタイヤを4つ積める設計にする必要があったことや、GA-Bのままでは『GR-FOUR』の機構を収めるスペースが足りなかったことが理由としては考えられる。


RC

競技用途に設定されたRCは走行性能に関わる装備類をRZと同一の物を採用する一方、オーディオ類を始めとする快適装備を一部省略することで車両価格を300万に抑えているグレードである。

当然ながら快適装備の1つであるエアコンは非装備(ヒーターのみ)になっているが、流石に86の前期型でやり過ぎたという認識があったのかメーカーオプションでエアコンを搭載できるようになっている


技術面以上に開発手法においてTOYOTA_GAZOO_Racingの活動のフィードバックが生きており、従来の市販車であればテストコースでの結果を一旦持ち帰って解析していたものを、その場でレーシングドライバーの評価を受けて、その場で改善してコース上に送り返すという、レーシングカーさながらのやり方で開発されている。ちなみに開発には早い段階から社長自らがテストドライバーとして関わっている。


関連タグ

TOYOTA_GAZOO_Racing


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