概要
様々な利権問題で長らく開発が途絶えていたクラッシュ・バンディクーシリーズの最新作。
時系列は『3』の直後ということであり、約十年の沈黙を経て復活した完全新作である。
原題の『It's About Time』は「時間だぜ」という意味で、「新作の時間だぜ」という意図で名付けられた。
システム
従来のアクションに加え、壁ダッシュ、ロープスイング、レールグラインドなどや下記のマスクを用いたステージギミックが特徴。
今作はこれまで通りの残機制の「レトロモード」の他、残機制を排した「モダンモード」が実装(そのためか全体的に難易度は非常に高い)。
どちらでもそのステージで何回死んだかが表示されるようになり、ノーミスでステージを進むと高難易度ステージに挑戦するためのアイテムが手に入る。
更には同じステージでも仕様の異なる「あべこべモード」という裏ステージや、クラッシュorココがステージ攻略中他のキャラたちの視点で進む「タイムライン」、初代クラッシュが始まる前のコルテックスの実験記録「きおくのカケラ」が追加。
様々なチャレンジやダイヤ、タイムアタックなどのやり込み要素も健在。
今作はクラッシュたちの外見を変えられるスキン機能が実装され、ダイヤの取得数などに応じてスキンが増えていく。
おはなし
前作『3』でタイム・ネジネジマシーンの自壊に巻き込まれ、時間の牢獄に囚われていたコルテックスたちでしたが、長い年月をかけて時空に穴を開ける方法を編み出し脱出に成功しました。
更にはその方法を使ってクラッシュたちへの復讐を図り、地球を征服しようとします。
過去へと飛ばされたクラッシュたちは、世界を救うのに必要な4つのマスクの力を借りるために冒険に出たのでした。
登場人物たち
CVは日本語版のものだが、クラッシュのみ全世界で共通した声が採用されたため配役がなく、ウカウカもセリフが掛け声のみのため、原語流用になっている。
また、キャストの多くはオリジナル版を意識しつつ主にリマスター版からの続投である。ただコルテックスは飯塚昭三→板取政明にキャストが変更されている。
本作はマルチバースを題材としてることから、ボスキャラは科学者のみの構成となっている。
お馴染み脳ミソ筋肉な主人公。コルテックスたちの策略で異時空へ飛ばされ、彼らの野望を止めるために旅立つ。新たに自撮りが趣味となっており、ボス戦の真っ最中でも行える呑気さを見せる。
トリロジーでは毛並みがふさふさでリアル寄りのデザインだったが、今作はどちらかというとアニメチックなデザインになっており、頭の毛の色も変わっている。
元々作中ではコースクリア時で掛け声をあげるだけなどほとんど喋らないキャラだったので、トリロジーにて今後は英語版の声優に完全統一する方針が決定され、本作でも山口勝平による新規吹き替えボイスは収録されていない。
頭脳明晰なクラッシュの妹。これまでは使えるステージやアクションの少なさから劣化と呼ばれることもあったが、今作では最初から最後まで彼女を操作することが出来る。
トレードマークのノートパソコンはタブレット端末に。
イベントシーンでは喋らない兄の代わりによく喋る。
兄同様、デザインが変更されたことでより可愛くなった。
初代からお馴染みの守護神のマスク。歴代シリーズではプレイヤーに追随していたが、本作はプレイヤーの周囲を回るようにして守ってくれる。
歴代シリーズから続くお馴染みの悪党。一部ステージでプレイアブルとして使用可能で、敵を足場に変える特殊な光線銃や、空中ダッシュを用いたギミックで攻略していくことになる。
『3』で初登場した犬(ディンゴ)とワニの合成獣。
まさかのプレイアブル化。火炎放射器ではなくバキュームを用いたアクションを使う。
悪事から足を洗っていたが、コルテックスたちの行いが原因でマルチバースに巻き込まれる。
- タウナ・バンディクー(CV:戸田亜紀子)
初代クラッシュのヒロイン。
まさかまさかのプレイアブル化。厳密には過去作のタウナとは別の存在で、地球がマルチバース化したことでやってきた「異時空のタウナ」。
スピンの代わりにローリングソバットを行い、壁キックやグラップリングフックを用いた身軽なアクションを使用する。
自分の次元のクラッシュやココとも何かあったらしい。
『3』で初登場した科学者で、英語交じりの話し方も復活。異空間からの脱出を諦めず、ウカウカを利用して時空の穴を開けさせた。その後はまるで親玉のような態度で次元征服を狙う。
コルテックスとはウカウカという共通の上司がいた同僚という関係でしかなく、ウカウカが力尽きてからはコルテックスも下に見ている。
『2』で初登場した侍言葉で話すサイボーグの科学者。コルテックスに忠実で自らの功績を示すため、ニトラス・ブリオと競い合う。トリロジーではかなり人相の悪い顔をしていたが、本作でポップに作り直された。
『1』で初登場した科学者。『1』ではコルテックスの忠実な部下として働いていたが『2』でコルテックスのもとを離れ、クラッシュにダイヤを集めるよう依頼し協力していた。『3』では未登場だったが本作で元鞘に。コルテックスのために尽力してるように見えるが、あくまで科学者として研究が出来ればなんでもいいような本音を漏らしており、エヌ・ジンのような忠誠心は殆どない。
同じくポップにアレンジされているが、こちらはほとんど違和感のないモデリングになっている。
『3』で初登場したコルテックス達の黒幕たる悪のマスク。だが、時空の穴を開けるために力を使い果たし、本作では部下達に裏切られて実質退場となっている。しかしコルテックス使用時にアクアクの代わりに召喚されており、どういう扱いなのか今一わかっていない。
クォンタム・マスク
今作の鍵を握る、特別な力を持つ4つのマスクたち。アクアクとも旧知の仲。
これまでのアクアク・マスクやウカウカ・マスクは箱から取得することで一部ダメージを肩代わりしてくれたが、彼らはステージの道中に設置されるステージギミックの一部。
ちなみに彼等を取得するとアクアクのように掛け声、あるいは呪文のような声が聞こえる。
先へ進むには彼らの協力が必要不可欠で、その力を得たクラッシュとココは独特なアーマーを纏い、マスクは背面に装着される。
ラニロリ(CV:伊藤節生)
最初に出会う青白く光るマスク。困った顔をしているのが印象的だが、喋ると喜怒哀楽の激しくかなりのお喋り。
次元を操る能力を持っており、青い枠しか見えない足場や箱、邪魔なギミックを出現させたり消したりできる。いわゆるスイッチギミック。
アカノ(CV:中村大志)
黒い岩を削って作られたような外見の重厚なマスク。ダークマター製らしくとても重い。口数は少なく態度もどっしり。
ダークマターのパワーでスピンアタックを強化する能力を持ち、『竜巻スピンアタック』以上の持続時間と滞空だけでなく、ボディプレスでしか壊せなかった鉄ワク箱の破壊や、敵の弾の反射等が可能となる。ただし爆発には無力なので回り過ぎに注意が必要。
カプナワ(CV:土門敬子)
時計の針と、月の満ち欠けが描かれた縁取りが特徴のマスク。陽気で悪戯好きなお婆ちゃん。
身に着けた者以外の時間を鈍化する能力を持ち、一瞬しかタイミングのない足場を踏んで渡ったり、障害物を遅くして避けたりできる。実機プレイデモでは触れたらアウトのニトロ箱を踏んでも、即座に飛び立つことで実質無効にできるギミックも見せた。
イカイカ(CV:杉山紀彰)
上下の矢印を合わせた形状をした緑色のマスク。顔が二つあり、穏やかな老人とネガティブな少年の二重人格。
重力を反転させる能力で天井を走ることが可能。ただし当然ながら天井のない所で反転するとミス扱いになる他、跳んでいる最中に何度も反転させて滞空し続けるようなことはできない。
余談
日本では2001年にPS2で『さくれつ! 魔神パワー(海外版はThe Wrath of Cortex)』という副題でクラッシュ・バンディクー4が発売されているが、海外ではこの作品は外伝的な扱いとなっておりナンバリングが振られていない。
当時利権を持っていたコナミが独断でナンバリングを振ったためとされている。が、一応『3』でもナンバリングは存在しない(示す要素はある)こと、システムは概ねシリーズを踏襲していたこと、下記の通り本作でも意識したところもあるため、『魔神パワー』も決して無理なナンバリングというわけでもない。汚い言い方をすれば評判が悪かったために外伝にしたともとれる。
偶然か意図的かは不明だが、一応どちらも4つのマスクが物語の主軸である。しかし『魔神パワー』では恐ろしい敵として、『マルチバース』では頼もしい味方として登場しており、真逆の立ち位置になっている。
旧4を意識しているところとしては、序盤にクランチに関するメモが貼ってあるなどもあるため、海外で実質『魔神パワー』が4とみなされていたきらいはあるようである。
紆余曲折あったが、結果的に日本では全く違う「クラッシュ4」が二つ存在することになってしまった。混同を避けるため『魔神パワー』の方を「旧4」、こちらの『マルチバース』を「新4」と呼び分ける人もいる。
関連動画
日本語版アナウンストレーラー
実機プレイデモ
日本語版ローンチトレーラー
Playstation4のCM「IT’S TIME TO PLAY 遊んでる場合だ」
カプナワがちらっと先行登場している。