少年は苦悩する。「何故、殺した!?」
溶け合う心が、私を、殺す。
概要
第1話~第24話を再編集した『DEATH』編と、第25話をリメイク(後の「Air」)した前半部の『REBIRTH』編の2部構成となる。なおサブタイトルの「シト新生」は、DEATH&REBIRTH の直訳「死と新生」と「使徒新生」とを掛けている。
略称は「デスリバ」、「春エヴァ」など。
TVシリーズ版の最終回「世界の中心でアイを叫んだけもの」で人類補完計画等の伏線や謎が完全に回収されていなかったことから、その伏線回収の為に作られたのがこの劇場版である。
1996年4月に完全新作の劇場版を公開することを発表し、1996年11月1日に東京都内においての記者会見ではTVシリーズ総集編+第25~26話のリメイク版をセットにした完結編「シト新生」の公開を発表。ちなみに前売り券は20万枚以上売れた。
だがREBIRTH編の制作が予定より難航し、1997年の春の公開に間に合わない事が判明。総監督の庵野秀明が謝罪を行い、REBIRTH編の完全版である「Air/まごころを、君に」の公開を発表する。
夏公開予定の完全新作の劇場版はお蔵入りになってしまったものの、10年後の2007年には完全新作ともいえる「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」公開された。
ちなみに現時点で「シト新生」としての映像そのものは、VHS、LD、リニューアル前のDVDにしか収録されておらず、入手困難で視聴するのは難しくなっている。
だが、2015年の夏に発売される「新世紀エヴァンゲリオン Blu-ray BOX」にシト新生のHDリマスター版が収録される事が判明。気になる方はこの機会に買って見よう。
『DEATH』編
TVシリーズ(第1話~第24話)を再構成・一部修正し、新作カットが追加された総集編。
しかし時系列を無視してまとめたものであるため、TVシリーズを見ていないと本編の理解は難しい。
これは制作側も初見の視聴者は念頭に置いておらず、「一見さんおことわり」とのこと。
WOWOWでは更に修正(リマスター、21話~24話の一部映像をカット)がされた「DEATH (TRUE)」が放映され、その後発売・レンタルされたVHSやLD、初期DVDではまた更に編集された「DEATH (TRUE)²」が収録されることとなり、近年発売されているDVD版ではこの「DEATH (TRUE)²」が収録されている。
ちなみにカットされた映像は「ビデオフォーマット版」としてLDやDVDに収録されている。
『REBIRTH』編
ストーリー内容はリメイク版第25話「Air」の前半部分まで。
具体的にはEVAシリーズが上空から旋回してくるところで、主題歌である魂のルフランが流れ、スタッフロールとなる。その為弐号機と量産機の戦いは描かれていない。
「量産機旋回のシーンから魂のルフランが流れ「完」となるまでの場面を劇場で観た瞬間がエヴァの盛り上がりのピーク」と評する古参のファンも少なくない。
備考
予告編1では、ベートーベンの第九の音楽に合わせてTVシリーズの映像をつなぎ合わせたものとなっている。
予告編2では、ジュゼッペ・ヴェルディの「レクイエム(怒りの日)」を使用。フラッシュカットを多用した演出となっており、また『REBIRTH』編のコンテや映像、台詞なども入っている。
ニコニコ動画では、本作の予告編2のMAD動画がいくつかアップされている。
今作の製作難航によってお蔵入りとなった「完全新作」は、プロットのみ完成していた。
2014年に庵野秀明が明かしたところによれば、
- 舞台は、人類のほとんどが死滅し、ヒトを捕食する使徒が跋扈するようになった地球
- 人類はATフィールドに守られたわずかな地域で生き延びており、外界とは一本の「橋」で結ばれているのみ
- 使徒に対抗できる唯一の存在がエヴァンゲリオン、という設定は本編同様
- チルドレンはエントリープラグを用いず、エヴァンゲリオンの体内に直接埋め込まれ、都度摘出手術が行われる
- 一定時間を超えてチルドレンがエヴァの体内にいた場合、外へ出られなくなり、自らも使徒と化す
といった内容で、特に地上波では扱えなかった「ヒトの捕食」描写にかなり力を入れるつもりだったらしく、氏いわく「『進撃の巨人』そっくりだった」とのこと。
超時空要塞マクロスの劇場版のような、TV本編とは切り離された新たな物語を目指していたが、体力的にも精神的にも限界が来て諦めたそうだ。