少年は苦悩する。「何故、殺した!?」
溶け合う心が、私を、壊す。
予告
最後のシ者は倒した。だが現実に対処できないシンジは固く心を閉ざしてしまう。
そして約束の時が来る。迫りくるネルフ全滅の危機、死の淵へ追い詰められるアスカ、発動する人類補完計画。
阿鼻叫喚の様を直視した碇シンジ最後の決断。
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Death & Rebirth シト新生
さーて、劇場版もサービスサービスゥ!
もう一つの終局、もう一つの始まり。
人々の死は新たな命の誕生に過ぎないのか?
人々の夢はやるせない虚脱と共に朽ちるのか?
人々の希望は何も無い未来へと行き着くのか?
人々の夢は繰り返す過去へと続くのか?
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Death & Rebirth シト新生
溶け合う心が私を壊す
触れたいたわりは少年を傷つけ、委ね合う寂しさは少女を壊す
人を傷つけた悔いと共にエヴァシリーズが舞い降りる
自我崩壊したアスカは再び立ち上がる事ができるのか?
全てを拒絶したシンジは快楽と共に何を見るのか?
現存する人々に生きる意味はあるのか?
新世紀エヴァンゲリオン劇場版Death & Rebirth シト新生
残酷は優しさの中に
概要
第1話~第24話を再編集した『DEATH』編と、第25話をリメイク(後の「Air」)した前半部の『REBIRTH』編の2部構成となる。なおサブタイトルの「シト新生」は、DEATH&REBIRTH の直訳「死と新生」と「使徒新生」とを掛けている。
略称は「デスリバ」、「春エヴァ」など。
TVシリーズ版の最終回「世界の中心でアイを叫んだけもの」で人類補完計画等の伏線や謎が完全に回収されていなかったことから、その伏線回収の為に作られたのがこの劇場版である。
後述の通り、現在に至るまで何度も再編集されているため、公開された「シト新生」としての映像そのものを見られるメディアは、近年では非常に限られている。具体的には2015年の夏に発売された「新世紀エヴァンゲリオン Blu-ray BOX」にHDリマスター版が収録されているのみ。
それ以外ではVHS、LD、リニューアル前のDVDにしか収録されておらず、長らく入手困難な映像とされていた。
製作経緯
エヴァンゲリオンのTVシリーズの放送は1996年3月に終了したが、翌4月には早くも、弐拾伍話と最終話を当初の脚本通りに改めて作り直すことが発表された(この時点ではOVAとしての展開を予定していた)。
同年11月1日には東京都内において記者会見が行われ、TVシリーズ総集編である『DEATH』編と、第弐拾伍話・最終話のリメイク版である『REBIRTH』編をセットにした完結編として、正式タイトル「シト新生」と、OVAではなく映画作品として1997年春に劇場公開することを発表。さらに同年夏には、TVシリーズと全く別の内容である完全新作を劇場公開することも明らかにされた。
TVシリーズの異様な終わり方から、この時点で割と世間を揺るがしていたエヴァだったが、この壮大な発表によりブームは一層加熱。前売り券が20万枚以上売れる事態となった。
しかし、TVシリーズに続いて『REBIRTH』編の制作がまたしても難航し、当初の公開予定日にはとても間に合わないという状況まで遅延(具体的には、1997年春公開にもかかわらず1996年暮れの時点でまだ脚本すら完成していなかった)。
結局、これを受けてエヴァンゲリオン劇場版は
- 「シト新生」は『DEATH』編と『REBIRTH』編の前半まで(=出来た部分まで)
- 『REBIRTH』編の完成版は「Air/まごころを、君に」として1997年夏に公開
- 本来その夏に公開予定だった完全新作はお蔵入り
という内容へと修正された。これは1997年2月に総監督の庵野秀明が謝罪を行う形で発表され、最終的にこの形式で公開を迎えることとなった。
なお10年後の2007年からは、完全新作ともいえる「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」が公開されたが、上記のお蔵入りになった完全新作とは関わりがない。
『DEATH』編
TVシリーズ(第1話~第24話)を再構成・一部修正し、新作カットが追加された総集編。
といっても時系列を無視して纏められたものであるため、TVシリーズを見ていないと理解は難しい。制作側も初見の視聴者は念頭に置いておらず、「一見さんおことわり」とのこと。
WOWOWでは更に修正(リマスター、21話~24話の一部映像をカット)がされた「DEATH (TRUE)」が放映され、その後発売・レンタルされたVHSやLD、初期DVDではまた更に編集された「DEATH (TRUE)²」が収録されることとなり、近年発売されているDVD版ではこの「DEATH (TRUE)²」が収録されている。
ちなみにカットされた映像は「ビデオフォーマット版」としてLDやDVDに収録されている。
『REBIRTH』編
ストーリー内容はリメイク版第25話「Air」の前半部分まで。
戦略自衛隊を壊滅させた弐号機のもとへ、EVAシリーズが上空から取り囲んでくるところで、唐突に主題歌である魂のルフランが流れ、スタッフロールとなる。弐号機と量産機の戦いはまだ描かれていない。
あまりにもぶつ切りすぎる終わり方が観客に衝撃を与えたが、「量産機旋回のシーンから魂のルフランが流れ「完」となるまでの場面を劇場で観た瞬間がエヴァの盛り上がりのピーク」と評する古参のファンも少なくない。
備考
予告編1では、ベートーベンの第九の音楽に合わせてTVシリーズの映像をつなぎ合わせたものとなっている。
予告編2では、ジュゼッペ・ヴェルディの「レクイエム(怒りの日)」を使用。フラッシュカットを多用した演出となっており、また『REBIRTH』編のコンテや映像、台詞なども入っている。
ニコニコ動画では、本作の予告編2のMAD動画がいくつかアップされている。
今作の製作難航によってお蔵入りとなった「完全新作」は、プロットのみ完成していた。
2014年に庵野秀明が明かしたところによれば、
- 舞台は、人類のほとんどが死滅し、ヒトを捕食する使徒が跋扈するようになった地球
- 人類はATフィールドに守られたわずかな地域で生き延びており、外界とは一本の「橋」で結ばれているのみ
- 使徒に対抗できる唯一の存在がエヴァンゲリオン、という設定は本編同様
- チルドレンはエントリープラグを用いず、エヴァンゲリオンの体内に直接埋め込まれ、都度摘出手術が行われる
- 一定時間を超えてチルドレンがエヴァの体内にいた場合、外へ出られなくなり、自らも使徒と化す
といった内容で、特に地上波では扱えなかった「ヒトの捕食」描写にかなり力を入れるつもりだったらしく、氏いわく「『進撃の巨人』そっくりだった」とのこと。
超時空要塞マクロスの劇場版のような、TV本編とは切り離された新たな物語を目指していたが、体力的にも精神的にも限界が来て諦めたそうだ。
しかし後に、これらの設定の一部が、舞台「エヴァンゲリオンビヨンド」に取り入れられることとなった。