ハーディン
はーでぃん
概要
『暗黒竜と光の剣』および続編の『紋章の謎』(ともにリメイク版含む)、『アカネイア戦記』に登場。
オレルアン狼騎士団の隊長を務めており、人々からは「草原の狼」と呼ばれている。
身寄りのなかったウルフ・ザガロ・ロシェ・ビラクを騎士として取り立てるなど、人を思いやる王族の誇りや高潔さを持ちあわせており、民や部下からも慕われる人格者であった。
オレルアンがマケドニア軍によって占領され、王国奪還の機会を狙っていたところをマルス率いるアリティア軍と合流し、王国の奪還に成功する。以降、指揮する騎士団とともにアリティア軍に加わる。
暗黒戦争後、長らく想いを寄せていたアカネイアの王女・ニーナと婚約し、アカネイア第24代国王となる。
しかし、結婚後もニーナの心は戦死したとされたグルニアの騎士・カミュに向けられており、勘の鋭い彼は自分がニーナに愛されてない事に気付き、嫉妬と苦悩に苛まれる。
ボア曰く『そのため自室に閉じこもり、酒を飲む日々が続いた』とのこと
そこを復活したガーネフに目を付けられ、商人に化けた彼から「闇のオーブ」を渡され、オーブの力により負の感情が増幅し、残虐な暴君へと変貌する。アカネイア神聖帝国の建国を宣言すると共に自らを「皇帝」と名乗り、強力な軍事力を元に圧政を敷き、各国の人民を苦しめた。
マルス率いる反乱軍に次第に追い詰められていき、ついにパレス城内の攻防戦で討ち取られた。
死の間際に正気に返り、最期までニーナの身を案じながら息絶えた。
容姿
黒髪のオールバックで、口ヒゲを蓄えている。目付きはやや鋭い印象を受ける。
『暗黒竜』では白いマントを羽織り頭にターバンを巻いており、どことなくインド風味の服装。一部のファンからは「カレー屋」と呼ばれたりもした。
『紋章』では、皇帝を名乗ることもあって豪奢な赤い甲冑の上に、ファー付きの黒いマントを羽織っている。また闇のオーブの影響か、目が常に真っ赤に光った恐ろしい形相になっている。
性能
暗黒竜と光の剣
味方入りするオレルアン騎士団の中では最も強く、最も扱いやすい。どのステータスもカインやアベルに負けない成長率なため、十分使える。ただし、HPの成長率が大きく劣るのがネック。
紋章の謎
第一部では味方として登場。前作と全く同じ性能なため、使い勝手もほぼ同じ。武器レベルが高いため、最初から強い武器を使えるのは大きい。
「屋内戦では下馬すること」という騎兵全種への弱体化調整がされた事で若干使いにくくなっているが、武器レベルが高く初期段階から「銀の剣」が使えるのでまだマシ。
第二部では敵として登場。職業も変わり、武器は槍のみとなっているが幸運とHP以外カンストしている上、HPは最大値付近の50のため、苦戦を強いられる。
また、見た目はジェネラルだがアーマーキラーの特効対象外である。
倒すためには戦闘能力が高い兵士に光のオーブを持たせる必要がある。
新・暗黒竜と光の剣
初期値は変わらないが、成長率がわずかに変わっている上、武器レベル配分が変わってる。槍は最初からBなため、ほとんどの槍を扱える。そのため、ジェイガンの持っていた銀の槍はこっちに回したほうが実用的。
ちなみにリメイク元同様、4章クリアー時に村長がハーディンに銀の剣を届けてくれと言われるが、今作ではすぐに装備できない。
これは原作再現をしながらゲームバランスの調整という一面が大きいだろう。
もし仮に剣の武器レベルもBにしてしまうと序盤に限ればジェイガンどころかオグマの上位互換になってしまう。
そりゃ最初から銀の剣も使えたらオグマよりハーディンを使う人が増えてオグマの立場が危うくなる。なんだかんだ言って、序盤の銀武器は破格の性能である。
流石に期待値はカインとアベル、オグマに劣る上、幸運の低さが気になるが、それでも無理させなければハード5でも最後まで使っていける程度には成長するので、剣レベルもBだったなら万人に愛されるお助けキャラになっていただろう。
だとしてもこの矛盾をどうにかしてほしかったが・・・
新・紋章の謎
敵として登場。能力的には劣化メディウスではあるものの、幸運が0である事以外、総じて高水準のステータスとなっており、グラディウスによる強烈な一撃は脅威。特にルナティックでは幸運0、魔防25以外はオールカンストのHP80という、驚異の数値を誇る。お前本当に人間か?
中途半端にHPを残すと玉座の効果で大幅に回復するため、倒すときは一気に決めるべし。
リメイク元と同じように、攻撃するには光のオーブが必要なので、武器の三すくみも考慮して、絶対の信頼がおけるバーサーカーで対峙するのがいいだろう。
本作ではロシェ以外の狼騎士団員も仲間になるようになったが、展開上仕方ないとはいえ前作の味方ユニットの中でただ一人、最後まで敵のままであった。
新・アカネイア戦記でのみ味方として使うことができる。初期値は前作よりも若干高い程度だが、成長率は圧倒的に高い。また、最初から銀武器を使えるため、メイン火力として大暴れできる。
ステータス・成長率
初期ステータス
作品 | 兵種 | Lv | HP | 力 | 魔力 | 技 | 速さ | 幸運 | 守備 | 魔防 | 武器 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
暗黒竜 | Sナイト | 6 | 20 | 9 | - | 7 | 8 | 3 | 8 | 0 | 9 |
紋章(第一部) | ソシアルナイト | 6 | 25 | 9 | - | 7 | 7 | 3 | 8 | 0 | 9 |
紋章(第二部) | 皇帝 | 1 | 50 | 20 | - | 20 | 20 | - | 20 | 20 | - |
新・暗黒竜 | ソシアルナイト | 6 | 24 | 9 | 0 | 7 | 8 | 3 | 8 | 1 | 剣D槍B |
新・紋章(ノーマル) | 皇帝 | 30 | 50 | 20 | 0 | 20 | 20 | 0 | 20 | 15 | 槍A |
新・紋章(ルナティック) | 皇帝 | 30 | 80 | 30 | 0 | 30 | 30 | 0 | 30 | 25 | 槍A |
新・アカネイア戦記 | ソシアルナイト | 8 | 28 | 10 | 0 | 9 | 11 | 5 | 12 | 0 | 剣B槍B |
成長率
※新・暗黒竜、新・紋章に関してはソシアルナイト(パラディン)の時のもの。
作品 | HP | 力 | 魔力 | 技 | 速さ | 幸運 | 守備 | 魔防 | 武器 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
暗黒竜 | 50 | 30 | - | 50 | 60 | 30 | 20 | 0 | 70 |
紋章(第一部) | 50 | 30 | - | 50 | 60 | 30 | 20 | 3 | 70 |
紋章(第二部) | 味方ユニットにならない | ||||||||
新・暗黒竜 | 50 | 30 | 0 | 55 | 55 | 30 | 20 | 0 | - |
新・紋章 | 味方ユニットにならない | ||||||||
新・アカネイア戦記 | 90 | 75 | 0 | 65 | 65 | 30 | 45 | 0 | - |
ヒーローズ
暗黒皇帝 ハーディン
属性 | 青 |
---|---|
武器種別 | 槍 |
タイプ | 重装 |
武器 | グラディウス(専用) |
奥義 | 復讐 |
パッシブA | 守備魔防の大覚醒3 |
パッシブB | 攻撃隊形3 |
2018年2月から登場。紋章で登場する皇帝ver。
近接重装だが魔防も基準値で32と低くなく、守備魔防の大覚醒によって消耗しているとさらに固くなる。加えてグラディウスにより遠距離にも反撃可能である。
一方パッシブBは攻撃隊形を持っており、奥義を駆使して攻め込むのもあり、金剛や明鏡の呼吸や迎撃隊形といった受け特化型も強い。
弱点は重装特攻の武器には弱い。さらに重装なので一マスしか移動出来ないがステータスに関してはほぼ弱点はないため、使いやすい。
尚、公式4コマ漫画の42話では鎧を着たままドラムを叩くと言う、思わぬ方向でネタキャラ化され、「ノリノリすぎる」「ドラムセット壊しそう」「楽しそうで何よりです」とちょっとした話題になった。
ハーディンの政治的評価について
- 肯定的に見ると……
ハーディンは高い戦闘能力を誇るだけでなく、政治でも優れた手腕を持っている為、はっきり言って名君と言える程の器である。
その上ロシェ・ウルフ・ザガロ・ビラク達騎士や民にも慕われており、文武両道、人望も厚く英雄と呼ばれるに相応しい人物である。
暗黒戦争後に王位を就いだ後、ベストの状態の彼が手腕をしっかり奮う事が出来ていたなら、傾き切ったアカネイアは復興し、かつてない栄光を手にする事が出来ただろう。
では、何故そうならず暗黒皇帝と化し、暴君と成り果てたか。
先に結論を言うと、最大の理由はニーナを含むアカネイアの連中が、彼をぞんざいに扱いまくった事に尽きる。
まず、ハーディンはアカネイアに望まれて王位を継いだ背景が存在する。
これにはマルスにはシーダが居る為、消去法とは言え、候補に挙がっていたのだ。
にも拘らず、彼等はニーナばかり奉じて、ハーディンを蔑ろにしていたのだ。
肝心のニーナも今は亡き(と思い込んでいる)カミュに思いを馳せてばかりで、政治への貢献は愚か、ハーディンの夜の相手もしなかった。
ニーナがハーディンを想う行動をしていれば、幾分マシな状態ではあっただろうが、こんな状態ではいくらハーディンでも弱り切ってしまう。
望まれて王位を継いだにも関わらず、味方が居ないのでは、誰だって心が弱る。
そこでタイミングよく(恐らくは狙いすまして)ガーネフが商人に化けて、闇のオーブを売った事で暴君と化した。
ハーディンの精神状態が万全ならば、闇のオーブに打ち勝つ可能性は高かったが、弱り切っていた彼が勝てるはずもなく……。
英雄戦争の表向きの評価は『アカネイアを崩壊させた暴君』で、決して赦される事ではない。
しかし、彼の実情を知っている者にとっては、彼を責める事は出来ないだろう……。
と言うより、最大の理由にも述べた通り、英雄戦争勃発の(ガーネフの暗躍を除いた)最大の原因は、ニーナとアカネイアの取り巻き達であって、ハーディンは(実情を知る者にとっては)被害者としての面が強い。
そう考えればミディア達含む、アカネイアの者達は彼を責める資格はない。何故なら自分達が原因で、彼はこの凶行を引き起こしたのだから……
早い話、アカネイアが滅びの末路をたどったのは「自分達が望んだにも関わらず一同でハーディンと言う人物に対して舐めてかかった結果、ハーディンがブチ切れて逆襲し、自業自得の末路を迎えた。」と言えなくもない。
ミディアが「つまらぬ嫉妬」と言う発言をしている辺り、自分達がハーディンを追い詰めた一端である自覚はなく、また、アカネイア人の人柄と彼へのぞんざいな扱いは明らかである。
余談だが暗黒皇帝時に尋常じゃないステータスで立ちふさがっており、闇のオーブの影響かと言われる事もあるが、闇のオーブは敵味方の精神面に影響下を与えるものに過ぎない為、単純にハーディンの実力である。
すなわち、あの数値がハーディンと言う、武人の最高コンディションのステータスである。
1人の人間が本気で自信と勇気を固めた時、そしてそれがハーディンと言う大器であった時、どれほど恐ろしいかが数字になったのが、アレなのだと言えよう。
- 否定的に見ると……
そもそもニーナだけで反対派の貴族や何かを抑え込めるのなら、ハーディンを王として迎える必要性自体がなかったのである。
彼女だけではそれができなかったからこそ彼との婚姻が結ばれたのであるが、王族でありそのような政略面の事情には詳しくて然るべきであるにもかかわらず、ハーディンは当初純粋にニーナに愛されたものと信じ込んでいたので、その自覚があったかどうか疑わしい。
ニーナがハーディンを支えなかったとして責める声もあるが、彼女は心に想う人がいても国のために婚姻を受け容れた。
それに対してハーディンは、王として迎えられた以上は当然国のため国民のために力を尽くすべきであるにもかかわらず、ニーナに愛されていなかったという国民にはまったく関係のない個人的な苦痛を理由に政務を投げ出し、引き籠って酒浸りになってしまったのである。
ニーナがハーディンをサポートしようにも、彼は途中から部屋に閉じこもって誰とも合わなくなり、酒浸りになってしまったのでどうしようもない。
あるいは彼女も、ボアに強く口止めされていたのでカミュとのことは伝えられないにもせよ、彼をできる限り支えようとし、臣下たちにもそうしてやってほしいと頼んではいたのかもしれない。
だが、ハーディンは余所者にもかかわらず自分たちの主君であるニーナを妻とし、宗主国の王という誰もがうらやむような地位につけたにもかかわらず、早々に政務を投げ出して酒浸りになったような男である。
そんな相手を王として認め、心から敬意を払い忠誠を誓えというのは、ニーナにカミュを忘れてハーディンを愛せというのが不可能であるのと同じく、臣下たちにとっては土台無理な相談である。
時系列を見ると、ハーディンがニーナと結婚してから暴君化して「紋章の謎」の物語が始まるまでの時間はたった一年ほどであり、彼は一年足らず、おそらくは半年かそこらしか政務をやっていないと思われる。
いくら自分の思っていたような境遇ではなかったにしても、そんな短期間で引き籠って酒浸りになるようなハーディンは、(本人もいまわの際に認めた通り)精神的にあまりに弱かったと言われても仕方がないだろう。
ニーナは後に、心を失ってもなおハーディンへの悔悟の言葉を呟き続けていた。
男女の愛情ではないにせよ、恩人である彼への感謝の念や親愛の気持ちなど、違う形での好意は大いに持っていたはずなのだ。
また、ボアに結婚を迫られた際には「もう少し待ってほしい」と言っており、彼女は別に一生夫を迎えないつもりだったわけではなく、ただ気持ちの整理をする時間がほしかっただけである。
望んだとおりの環境でなかったからと言って腐らず、数年もがんばれば、ハーディンは彼女の心を自分に向けさせることができたかもしれない。
また、ゲーム内では民家に住む住民も、「ハーディンさまは優しい方だった(なのに、急に暴君になった)」と言っており、決して臣民からの人望が無かったわけでもない。
暴君化はガーネフと闇のオーブのせいであるにせよ、以前からニーナの愛しか眼中になく、それが得られなかったというごく個人的な事情だけで政務を投げ出して酒浸りになったハーディンは、そのように自分を慕ってくれていた民衆たちを裏切ってしまったのだ。
いかに能力が高くとも、王の資格はない男だったと言わざるを得ないだろう。