概要
新書と同じサイズ(173mm×105mm)で刊行される小説のこと。
また、各出版社のノベルズレーベルから出版される書籍のこと。ノベルスとも。
ライトノベル等との最大の違いはレーベルが確立しているのと同時にサイズまで特異なため類別がしやすい点にある。
ペンギン・ブックス等の海外のペーパーバックをモデルにして、国内では1950年代からこのタイプの刊行が開始されたとされる。
ハードカバー版より小型で持ち運びやすく廉価でもあり、また松本清張や赤川次郎ら当時の新進気鋭の作家陣がそろい「攻めた」作品が次々に発表されたことで次第に社会人だけでなく学生ら若者から高い支持を得るようになっていった。
取り扱うジャンルは非常に広範囲に及ぶ。
本格ミステリーやトラベルミステリーあり、SFもあれば架空戦記もあり、果ては今日のライトノベル的な作風(当時でいえばジュブナイル?)まで揃えており、文字通り何でもありである。
特に80年代~90年代にかけてSFブームと架空戦記ブームに乗ってこのジャンルでの名作を続々と出版したことでノベルズブームも到来。各出版社が次々にレーベルを立て、田中芳樹や佐藤大輔、夢枕獏といった著名作家を世に送り出していった。
しかし、90年代初頭より電撃文庫などのラノベレーベルが次々に創立・発展していき「攻めた」作品群としてのシェアは徐々にこちらに奪われてしまう。また、2000年代以降はインターネット環境の整備やガラケーやスマートフォンなどの携帯端末の普及により「余暇のお供」としての需要が書籍からこちらに移っていく。そして2010年代以降はWEB小説からのヒット作品が話題の中心になる。
こうした流れの中で各ノベルズレーベルは新規ユーザーの獲得に苦慮するようになり、現在では多数のレーベルが廃刊や休刊を余儀なくされていて、横山信義や西村京太郎ら往年の作家による作品を年々に高齢化する読者が支えているのが現状のである。
かつて『銀河英雄伝説』や『レッドサン_ブラッククロス』を世に送り出した名門であるトクマ・ノベルズも『大正野球娘。』以降は話題作に恵まれず、唯一存在感を維持しているは『新本格魔法少女りすか』ら西尾維新作品を多数抱える講談社ノベルスくらいとなっている。
※注意
Pixivで単に「ノベルズ」と検索すると小説投稿サイト「ノクターンノベルズ」における挿絵…というかエ●画像ばかりが出てくるのでお気をつけください。
(ただし、全盛期のノベルズ作品も攻めた作風としての反動で非常に濡れ場が多いことでも有名であり、未成年者の保護者からの評判は決して良くなかったという逸話もある。)
関連タグ
ハードカバー…堅い板紙で綴じられた「きちんとした本」。値段がお高めなのがノベルズが支持された理由の一つ。