概要
初作の正式名称は『裏レート麻雀闘牌録 凍牌』。
『ヤングチャンピオン』(秋田書店)において2006年No.14から連載し、『麻雀死闘黙死譚 凍牌 〜人柱篇〜』と続き、最終章『麻雀死闘黙死譚 凍牌 〜ミナゴロシ篇〜』が2021年No.13にて最終回を迎え、シリーズが完結している。
またその間には『牌王伝説ライオン』『牌王血戦ライオン』『麻闘伝〜ぬえ』の3つのスピンオフ作品を挟んでいる。
実写映画も2013年5月18日に公開されている。
あらすじ
金、女、臓器。欲望蠢く裏レート雀荘を荒らし回る男がいるという。その男、いまだ少年にして、冷徹なる思考、冷艶なる打牌、裏世界からは“氷のK”と呼ばれているが、自宅には少女を飼っていると噂される。
Kはその少女を守るため、そして己のスリルへの渇望のため、「名簿」「土曜会の記録」をめぐる様々な戦いに巻き込まれていく―
登場キャラクター
『裏レート麻雀闘牌録 凍牌』(1~12巻)
ケイ(K)
本作の主人公。初登場時は高校1年生。非凡な記憶力と冷徹な打ち筋から、裏麻雀界では「氷のK」とあだ名される。
本作のヒロインの1人。ケイに飼われている、色黒な異国の少女。英語交じりではあるが日本語も多少話せる。
堂嶋(どうじま)
裏世界でその名を知らないものはいない麻雀打ち。麻雀ではツキを読み切った豪快な打ち筋を誇ることから、通称「ライオン」と呼ばれる。ケイのライバルであり、時には相棒のような存在である。
スピンオフ作品『牌王伝説ライオン』では主人公を務める。
本作のヒロインの1人。ケイの幼馴染で高校のクラスメイト。ケイに密かに想いを寄せ、世話を焼こうとしているが、いつも軽くあしらわれている。
ただの一般人であるが、裏世界に入り浸るケイを連れ戻すため、自ら牌を握って命がけの裏麻雀へと幾度も参加する。
女性の麻雀打ち。「相手の目に映るものを見抜く能力」で、相手の待ち牌を読み勝ち抜いてきた。対局の際は相手に指をかけさせ、切り取った指をトイレに流した時の表情を見て愉しむという狂気性を持つ。ケイを慕う。
関東暴力団組織・『桜輪会』傘下である高津組組長。狂気じみた暴力性と冷徹さを秘めているが、組員の命懸けの行動には必ず応える、良くも悪くも根っからのヤクザ。ケイのオヒキとしてもライバルとしても闘える雀力と胆力を持つ。
スピンオフ『麻闘伝〜ぬえ』の主人公。
ケイが裏麻雀の世界に足を踏み入れるきっかけを作った、裏の何でも屋。タガログ語を流暢に操り、東南アジア圏の裏世界とのパイプが太い。ケイとは基本的に麻雀の紹介やアミナの病気の治療などの利害で繋がる関係で、敵になったり味方になったりする。
無印の途中まで眼鏡をかけたクールな分析を得意とするキャラクターであったが、途中ある事情により整形し、眼鏡も外している。
畑山
ズボラだが麻雀の腕は確かな大学生。缶コーヒーが好き。途中で容姿が別人のように変わる。破滅と隣合わせのスリルを味わいたがっていたが、その内実は追い込まれなければ破滅の際まで辿り着けない、理屈と計算の麻雀だと堂嶋に喝破されている。
一度はケイ・堂嶋と対峙するが、その後は仲良くしていた。
大辻巌
戦後ずっと牌を握り続け、40年とも60年とも言われる無敗伝説を誇る老人。背は低いが筋骨隆々で、人を食ったような態度を取り続ける。
倉橋
倉橋組の老齢の組長で、桜輪会の幹部の一人。下の名前は不明。高津をヤクザにした元親分で、今も孫のカズを高津組で見習いさせるなどして彼と懇意にしている。ヤクザらしく殺しに冷徹ではあるが、優が絶体絶命に陥ったときは助命を嘆願するような一面もあった。
松本
高津組の代打ち集団「一軍」の元エースである、高齢の紳士。高津とは組ができる前からの縁である。自分がどんなに窮地にあっても、後輩のKのことを思いやった。
『麻雀死闘黙死譚 凍牌 〜人柱篇』(1~16巻)
羽鳥
第27期竜凰位戦の副賞である『名簿』の持ち主であり、北海道の政治家の父を持つ御曹司。麻雀もネット麻雀『天下荘』全国1位を獲得するほどの実力者。両親の死後はありったけの金と暇に任せて多数の殺人を含む悪事を行ってきたが、さらなるスリルを求めて山扇会と組み、ケイへ麻雀勝負を挑む。
叶正一
山扇会若頭。『名簿』を狙いケイと堂嶋に勝負を持ちかけ、その後も桜輪会と何度も戦うことになる。
サングラスに無精ひげが特徴の怪しい男。その実態は真性のロリコンであり、人身売買と少女の"調教"を生業とする畜生である。ビジネスとして山扇会側に加勢する。
スーリヤ、リーニャ
南部の飼っている少女。南部の代打ちとしてケイ、堂嶋と対戦する。
宮地拓郎
仙台のヤクザ・宮地一家の跡継ぎ。設定上は15歳だが容姿は完全におっさんである。麻雀を覚えて3ヶ月にも関わらず天和を複数回和了る、恐るべき強運とクソ度胸で多くの裏の人間たちを刮目させた。
『麻雀死闘黙死譚 凍牌 〜ミナゴロシ篇〜』(1~10巻)
白翁(はくおう)
かつて「堂嶋」と呼ばれた男であり、現在の堂嶋の運命を変えた男。その経緯についてはスピンオフ作品『牌王伝説ライオン』と『牌王血戦ライオン』で語られている。
盲目にこそなったが実力と気力は衰えておらず、山扇会の叶と組み「『羽鳥の名簿』と『土曜会の記録』を入手し、自分の王国を造る」ことを目的にケイ・堂嶋たちに勝負を仕掛ける。
野村
白翁の右腕的存在で、白翁の設立したサイバーロック社→改名してサイバーMAX社の社長。ダンディな中年男性だが、人を傷つけたり殺したりすることに躊躇はない。白翁を崇拝しており、彼の跡を継げる者を探している。
石原輝(いしはら ひかる)
『牌王伝説ライオン』に登場したイッシーその人。堂嶋の生き様に感化されて竜凰位戦に参戦、ケイの前に立ちはだかる。「オレが堂嶋だ」の場面は必見。
小野岳(おの がく)
ケイを再度竜凰位戦に引き入れた謎の男。工作で大臣を辞任させたり、予選の8割の参加者を買収したりと謎の権力・財力を持っている。ケイを含めたチームを組織し、名簿を手に入れることを画策する。
真木英高
プロ団体『麻雀倶楽部』の代表。表舞台では久しく打っていないが、今に伝わるプロ麻雀界の武勇伝はだいたい彼が元ネタと言われている。裏稼業の人間と言っても通じるほどの自己中心性・暴力性・コネクションの持ち主で、勝つためなら文字通りなんでもする。表向きは面倒見良く、彼を慕う人間も多くいる。実は愛猫家。
川瀬りん
"女王"を始め数々のタイトルを獲得している、今最も勢いのあるプロ雀士。小野側の人間として竜凰位戦に参加。真木の愛人の一人でもある。
ユキ
アイの高校時代の後輩の女性。アイに似た特殊能力でケイを苦しめる。
松川
高津のビルを狙う半グレの男。一発でケイの待ちに正確に差し込む技量の持ち主。カズを人質にケイと変則麻雀で交戦するも敗北し、コップ一杯分の麻雀牌を呑まされる破目になった。その後、手下のリキを竜凰位戦に輩出しており、MIYAのマネージャーの後ろ盾・出資者にもなっていた。
柊純(ひいらぎ じゅん)
13歳ながらプロ雀士になった少年。日がな一日麻雀以外のことを考えられず、対局のときは六感を全開にしてあらゆる情報をかき集めるため、化け物と呼ばれるほどの実力を誇る。父いわく「麻雀以外の情報を脳に入れる余裕がないから、昨日の夕食も覚えていない」。
いつも一人反省会をするようなメンタルの弱さが唯一の弱点。
MIYA
竜凰位戦に参戦した票得数No.1の麻雀ネットアイドル。スクール水着で対局した。和了時の点数申告の際「○○てーん」と伸ばす癖がある。
数馬
関西の新人王位を獲得した若手プロ。堂嶋と同じ豪快な猛攻スタイルに挑発的な態度で、一度は堂嶋を破った。
用語
桜輪会
関東の大手ヤクザ。高津組、倉橋組などが所属し、後に宮地組も加わる。ケイ・堂嶋との繋がりが強い。組長は病で伏せっているため、幹部会が取り仕切っている。
山扇会
関西の大手ヤクザ。ケイのライバル役として、様々な大勝負で必ず絡んでくる。
羽鳥の名簿
通称『名簿』。リーマンショック時に日本政府は、国で保護する(=倒産させない)企業のリストを密かに作ったが、この際どの企業がどの政治家にどれだけ賄賂を送ったり接待をして、リストに載せるよう働きかけたのかが詳細に記されている。政治家の名前は与野党や大臣の新旧問わず幅広く記されており、これを手にすれば思い通りに政官財を動かせるとされる。
羽鳥の父はリスト作りを主導していた官僚との太いパイプを持ち、窓口のような存在であったため、『名簿』の作成が可能となった。
土曜会の記録
通称『記録』。大手ゼネコンと政治家の癒着の記録で、『名簿』同様これを手にすれば日本を支配できるとされる。土曜会はもともと親睦のための麻雀会に過ぎなかったが、若き日の白扇が暴れまわるにつれて高レート化し、癒着の温床になったという。
余談
同じ作者が描いた雀荘ギャグ漫画『すずめの唄』では、凍牌のワンシーン(ケイ&堂嶋vsスーリヤ&リーニャ戦)の写真が、アルバイトの採用試験として使われている。
関連作品
関連タグ
※腐向け作品は『志名坂作品女性向け』のタグを使用を推奨。
(例)【志名坂作品女性向け】+【CP名】など。
詳しくは腐向け記事を参照。