概要
1962年に北陸本線の電化区間延伸に際して平坦区間での運用を目的に開発されたD形機関車。
ベースはF形機関車のEF70。
機器面もEF70とほぼ同じだが、主変圧器、整流器、パンタグラフ、台車がEF70とは異なる。
台車はボルスタレス台車に構造が近い新規開発されたDT129形を採用。国鉄交流電気機関車のデファクトスタンダードとして、D形だけでなくF形のEF71などにも採用された。
車体のデザインは、同年に製造開始されたEF80初期型に似ており、陥没したヘッドライトを持つ。
当初は福井以南ではEF70、福井以北の平坦区間ではED74と使い分けて運用することを見越していたが、機関車を付け替えるよりもEF70を通しで運転させる方が牽引定数の増加を見込めて効率的という結論に落ち着いてしまったため、たった6両で製造打ち切りとなった。
運用開始後も牽引定数の小ささが仇となり、北陸本線の列車単位引き上げによりお役御免となり、1968年に九州の日豊本線への転用が決定。寝台列車牽引のため、死重の搭載と20系客車牽引対応元空気ダメ管の取り付けを行った。
日豊本線転用後は寝台列車や貨物列車の牽引に使用された。
しかし大分以南へは軸重制限に抵触するため入線できず、軸重制限をクリアしたED76の増備が進むと用途を喪失し、1978年に運用を離脱。
6両全車が高城駅に長期間留置された末、1982年に全廃された。
余談
- 北陸本線に残ったEF70も、EF81に追われる形で一部が本機と同様に九州に転属している。その後、ED76の増備により不要とされ廃車という顛末も同じであり、結果的に双方ともに長生きしなかった。
- 少数しか生産されなかった上に活躍期間が短く、運用も限定的だった生涯から国鉄電気機関車の中でもとりわけ影が薄く、認知度が低い。