概要
国鉄が鹿児島本線の門司港~久留米間の交流電化のために1961年から製造した電気機関車である。22両製造された。
ED72の兄弟機であり、同機の貨物機バージョンとして誕生した。
構造
基本的な構造はED72と同じであるが、貨物機として設計されたため客車暖房用のSG(蒸気発生装置)が搭載されていない。
そのため車体長がED72に比べて3mも短く、同じ理由で中間台車も装備していない。
水銀整流器を搭載する最後の電気機関車であった。
運用
全機が門司機関区に配属され、鹿児島本線で貨物列車や寝台列車の牽引に使われた。
1964年に特急「つばめ」と「はと」が博多駅乗り入れを行うため、九州内で自走できない直流電車である151系を牽引するようにもなった。
なお、151系の牽引は交直流電車である481系投入により1965年10月に終了した。
1965年には鹿児島本線の電化延伸により熊本まで入線するようになる。
それ以南には軸重制限に抵触するため入線できず、後継機ED76に譲ることとなった。
1968年10月のダイヤ改正により20系客車のブレーキ改造および10000系貨車(コキ10000・ワキ10000・レサ10000など)登場による高速運転対応のため、22両全車にブレーキ改造が行われ、1000番台に改番された。
同時に車番が黄色になり、ED72との識別の目安となった。
その後、水銀整流器の非効率さが目立つようになったため、1970年代に入り保守や取り扱いが容易なシリコン整流器に取り換える工事が施工された。この改造工事はED72にも行われた。
1976年からは電化された長崎本線でも運用されるようになった。
しかし、九州の電化が進むと軸重制限に抵触しないED76が重宝されるようになり、北陸本線から転入してきたEF70への交代もあり活躍の場を奪われ、1982年までに全機廃車となった。
保存機として1016号機が小倉工場で保管されていたが、その後解体されたため現存しない。
関連項目
ED72:兄弟機