概要
2004年の『ハウルの動く城』以来の宮崎駿監督作品で、原作・脚本・監督の3つ全てを宮崎駿が担当した作品としては、2001年の『千と千尋の神隠し』以来となる。人間になりたいと願うさかなの子・ポニョと5歳児の少年・宗介の物語。ストーリーには明確な起承転結が無く、宮崎のイマジネーションを優先した構成となっている。背景(特に遠景)や機械類はいくらかデフォルメが利いており、動く絵本のような風合いを醸し出しているのも見どころのひとつ。
本作はアメリカのアニメ監督、フライシャー兄弟の影響を色濃く受けており、アンデルセンの童話『人魚姫』をモチーフとしている。
ポニョのキャラクター造形は、諸星大二郎『栞と紙魚子』に登場するクトルーちゃんの影響が濃厚であると指摘されている。他にも、主人公の父であるフジモトは手塚治虫キャラを思わせ、フジモトがポニョに与えた名「ブリュンヒルデ」はワーグナーの歌劇から、母のグランマンマーレはディズニー調....といったように、先行する作品のオマージュと思しき要素がわりとストレートに盛り込まれているのが特徴である。
藤岡藤巻と大橋のぞみが歌った主題歌『崖の上のポニョ』も大ヒットし、その年の紅白歌合戦にも出場した。
主な登場人物
保育園「ひまわり園」に通っている5歳の少年。明るい性格で正義感が強く、崖の下で出会った風変わりな金魚・ポニョを、連れ戻そうとするフジモトから守ろうと奮闘する。社交的であまり物怖じせず、両親をフォローするなど精神年齢は少し高め。船乗りの父・耕一に英才教育でも受けたのか、5歳にして信号灯によるモールス信号の送受信が出来る。
フジモトとグランマンマーレの娘。困っていた所を宗介に助けられ、「ポニョ」と名付けられる。父からは「ブリュンヒルデ」という名を与えられていたが、宗介にもらった名前をいたく気に入り、以後は「ポニョ」を名乗る。宗介の血液を舐めたために、半魚人になる力を獲得、さらに珊瑚の塔の深奥部の井戸に溜まった「生命の水」を浴びて、人間への変身が可能となった。
宗介の母で、宗介からは「リサ」と呼ばれている。日中はデイケアサービスセンター「ひまわりの家」で働く。「リサ・カー」と呼ばれる軽自動車で、海沿いの狭いワインディングロードを華麗なドリフト走行で駆け抜ける肝っ玉母さん。突然やって来たポニョを迎え入れ、宗介と同等に扱う。
耕一(CV:長嶋一茂)
宗介の父。貨物船「小金井丸」の船長。家を留守にしていることが多い。宗介にとっては憧れの存在で、家の見える沿岸部を航行する際には信号灯でのやりとりを習慣としている。
ポニョの父。かつては人間だったが、その破壊性に愛想を尽かし、海の眷属(けんぞく)として生きる魔法使い。生命に満ち満ちた海を復活させるべく地道に「生命の水」を蓄えている。ポニョの力によって月と地球が接近し、混乱が生じたことから、解決に奔走する事になった。
ポニョの母。海全体の女神のような存在で、その姿を目撃した船員らから「観音様」と呼ばれていた。大きさを人間大から大型船超まで自由自在に変える事が出来る。神である為、美しい容貌のまま、何時までも年を取らない。神経質そうなフジモトとは好対照のおおらかさを持った女性。
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ギラティナと氷空の花束:同じ日に上映されたアニメ映画。