概要
メシ屋の仕事は旨いメシを出すことだ。
開業から50年ほど経っている商店街の老舗で、平日の客入りは上々。
30年前──先代店主の頃から毎週土曜日になると、店の扉がとある異世界にいくつも出現するという奇天烈な事情を持ち、そのため土曜日は店主が一人で店を切り盛りする「特別営業」を、店主2代にわたって続けている。
ビル1階の洋菓子店「フライング・パピー」や、2階にあるバー「レオンハート」、近所の商店街にあるパン屋「ベーカリー・キムラ」等の協力を得ながら、異世界からやって来る多様な客にごく普通の料理を提供しており、その味に魅了されて常連客となった者も多い。ビルの3階は食品倉庫。
代金の支払いには異世界で流通している金銀銅貨が用いられており、それぞれの価値は日本円換算にして、
銅貨1枚 → 100円相当
銀貨1枚 → 1,000円相当
帝国金貨1枚 → 10,000円相当
王国金貨1枚、古エルフ金貨1枚 → それぞれ100,000円相当
として扱われる。なお、メニューの価格設定は平日と同じで、会計は店主の担当。
ドヨウの日の売り上げは、店主が研究用の異世界食材の購入費や、たまたま扉を見かけて逃げ込んできた怪我人用の霊薬の購入にあてているため、儲けらしい儲けはない。
また先代の時から卸屋化する事を避ける為に、手土産品で持ち帰りができるものは必ず上限数を決めている。
先代店主の頃から店内での揉め事はご法度であり、異世界で対立する立場に属する人々もねこやでは平等に客同士。唯一許されている戦いは「いちばん美味い料理」論争(例:ご飯に合う料理、サンドウィッチの具に合う料理等)。
「扉」
ねこやの出入り口。猫の絵が描かれている、よく手入れされた黒い樫の扉で、取っ手は真鍮製。ドアベルが異世界で言うところの「エルフの遺産」にあたる古いマジックアイテムで、非常に複雑かつ高度な転移魔術を実現しているらしい。
人目につきにくい場所に現れることが多く、たまたま見つけたか、人から伝え聞くかしたごく一部の人々にしか知られていない。
一度開け閉めをすれば消えてしまい、次の週まで現れないため、常連客は自分だけが使える扉を確保していることが多い。種族単位で扉の情報を共有しているハーフリングの間では、頻繁に使用されている形跡のある扉には手を出さないのがマナー。
違う扉から入った客たちが同時に店を出たとしても、それぞれがきっちり元の場所に帰される。
また、店で食い逃げや暴力行為などの問題を起こした者には、すべての扉に永久に触れなくなるというペナルティが課される(店主の同意を得れば「ツケ」は有効)。
魔術の効果は土曜日の真夜中まで続くため、稀に閉店後の扉を潜る者も現れる。その場合帰るだけであれば日曜以降でも扉は使えるが、万が一の結界により店の敷地外へ出る事はできない。
何故店と異世界が繋がり始めたかの理由は不明で、誰かの意図したものかさえも分かっていない。
関係者
CV:諏訪部順一
食堂「洋食のねこや」2代目店主。30代半ばの男性。
先代店主であった亡き祖父から、店と土曜日の「特別営業」を受け継いだ。
山方大樹(やまがた だいき)
CV:井上和彦
「洋食のねこや」初代(先代)店主。
土曜日の「特別営業」を始めた張本人だが、孫に店を任せ、詳しい経緯を語らぬままぽっくりと亡くなってしまった。
「海の向こうの料理はたいてい洋食」というアバウトな価値観の持ち主で、日本食までメニューに加えていた大雑把な人物。とはいえ、やはり洋食料理が得意だったらしい。
異世界側の存在と初めて遭遇した人物であり、その知識を借りて現在の「異世界食堂」を作り上げた。この時期からの常連も多く、異世界側の住人に店のルールを守らせるなど現店主に力添えする事もある。
フライング・パピー
ねこやの上の階に構える洋菓子店。
若い頃に事故で半身不随になりかけたところを異世界の妙薬で回復した──という過去を持つ、ねこや店主の幼馴染が営んでおり、今ではねこやにデザート等の甘味を提供している。
特別営業の女性客にファンが多い。
レオンハート
脱サラしたマスターが開業した大人の社交場。
酒豪も多数訪れるねこやの相談に乗り、作りたての酒の肴と引き換えに、ねこやで注文された料理に合う酒を選んでいる。