概要
インド・ヨーロッパ語族のインド語派に属する近代インド語で、インドの連邦公用語である。言うまでもなくインドで最も多くの人に話されている言語であり、インドの主に中部や北部で話されている。また、インド系移民の多いフィジーでも(インドの標準語とはだいぶ異なるものの)公用語のひとつに指定されている。
使用人口は母語話者だけでも約3億2千万、第二言語話者も含めると5億人近くいるといわれる。デーヴァナーガリー文字を使用する。
ウルドゥー語との関係
歴史的にはパキスタンの国語であるウルドゥー語とは同一の言語であり、ムガル帝国時代までは「インダス川以東の言葉」という意味で「ヒンディー語」、「帝都デリーの軍営の言葉」という意味で「ウルドゥー語」の呼称が用いられているに過ぎなかった。
その後、イギリス領インド帝国時代に「ヒンドゥスターニー語」としてある程度整理がなされるも、後にこの言葉を統一インドの公用語としようとする運動の中で、このヒンドゥスターニー語をそのまま公用語としようとしたイスラム教勢力と、ペルシア語・アラビア語由来の語彙・語法をサンスクリット語由来のものに置き換えて「純インド化」しようとするヒンドゥー教勢力との間で対立が発生。最終的にはイスラム教勢力による標準を「ウルドゥー語」、ヒンドゥー教勢力による標準を「ヒンディー語」と呼ぶ現在の状況に至っている。
とはいえ、口語レベルではいまだにヒンディー語とウルドゥー語は共通点が多く、日本語で例えるなら、「横文字を多用する話者と漢語を多用する話者との会話」レベルには通訳なしで会話が通じる程であると言える。