概要
思弁進化 (しべんしんか、Speculative evolution) は、思弁生物学 (しべんせいぶつがく、speculative biology) や、動物に限定した場合は思弁動物学 (しべんどうぶつがく、speculative zoology) とも呼ばれる。思弁創作の派生形の一つで、生命の進化に焦点を当てた芸術活動のジャンルである。 思弁進化を取り入れた作品には、地球外の惑星で進化を遂げた完全な架空の生物である場合や、地球生命の代替進化に焦点を当てた「別の地球史」上の生物である場合などがある。科学、特に生物学との強いつながりと基礎により、思弁進化はしばしばハードSFと見なされる(外部リンクより引用)。
表現媒体
書籍などではその生物達が実在しているという体で架空の生物図鑑として書かれることが多い。
映像作品では自然ドキュメンタリー番組として作られること多い。架空の生物達の生態と、地球の生物の生態を比較しながら交互に紹介していくという形式などがある。
代表的な作品
書籍
百万年の人間
1893年掲載。H・G・ウェルズによるエッセイ。ダーウィン進化論に基づいて人類の未来を予想するという架空の論文を紹介している。同エッセイに登場する未来の人類像は、『宇宙戦争』の火星人に流用されており、『宇宙戦争』内でも言及されている。
1895年出版。H・G・ウェルズによって書かれた時間旅行の代表的な小説。主人公の時間航行家が80万年後の未来で変貌を遂げた人類の末裔と出会う。
リングワールドシリーズ
1970年出版。SF作家ラリイ・ニーヴンによるSF小説。恒星の周囲をぐるっと一回りする超巨大建造物リングワールドに棲む30兆以上の亜人類が描かれている。広大だが生物多様性が殆どない人工建造物で進化した結果、空白の生態的地位(ニッチ)を埋めるように様々な種類の亜人類が生まれている。
1981年出版。地質学者ドゥーガル・ディクソンの書籍。人類滅亡後の5000万年後の地球における動物達を描く。本書以外にも『新恐竜』、『マンアフターマン』などを書いている。
Expedition: Being an Account in Words and Artwork of the 2358 A.D. Voyage to Darwin IV
1990年出版。パシフィック・リムやヘル・ボーイなどのコンセプトアートも手がけているアメリカのアーティストのウェイン・バロウによる書籍。ダーウィンⅣという架空の惑星に棲む生物達を生々しく描写している。2005年にディスカバリーチャンネルで映像化された。
驚異の未来生物:人類が消えた1000万年後の世界
2015年出版。CGアーティストのマルク・ブレーと古生物学者セバスティアン・ステイエによる書籍。人類滅亡後の1000万年後の世界を描く。
‟もしも″絶滅した生物が進化し続けたなら ifの地球生命史
https://gihyo.jp/book/2021/978-4-297-11920-1
2021年出版。古生物学サイエンスライターの土屋健と古生物イラストレーターの服部雅人による書籍。もし絶滅生物が絶滅せずに進化を続けていたら…?という発想で描かれた架空生物図鑑。
映像作品
2002年放送。全13回。イギリスの番組。人類を含めて殆どの動物が絶滅した地球で、500万年後、1億年後、2億年後の生物たちを描く。
2005年放送。ディスカバリーチャンネルの科学ドキュメンタリー番組。ウェイン・バロウの書籍『Expedition』の映像化。
2005年放送。アメリカとイギリス合作のドキュメンタリー番組。潮汐固定によって常に同じ面を恒星に向けている惑星オーレリアと、巨大ガス惑星の衛星ブルームーンの生命を描いている。
2007年放送。イギリスのSFドラマ。時空の亀裂を通じて現れた古生物や未来生物が描かれる。
地球外生物の世界
2020年公開。Netflixの自然ドキュメンタリー番組(全4回)。架空の惑星に棲む生物達の生態と、地球の生物の生態を交互に紹介していく。
webサイト
古世界の住人(未来編)
2005年ごろ開設。恐竜、古生物、生物イラストレーターの川崎悟司による生物データベース。地球のカンブリア時代から未来の生物までが分類されている。
LEGEND OF FUTURE
2006年頃。
Nereus
2009年初出。EvanBlackによる架空の惑星Nereusの生物を描いた100種以上のデータベース。
Birrin
2010年代以降。『Subnautica:Below Zero』などでコンセプトアートを手がけたAlex Riesによるイラストシリーズ。架空の惑星Chriirahの生態系と、そこに棲む6本足の種族Birrinの文明の興亡を描いている。
外部サイト
思弁進化(Wikipedia)