「初めまして 禪院の子 道真の血 呪胎九相図 そして 宿儺の器」
概要
呪術高専東京校地下最深部、「薨星宮」本殿にて隠遁する呪術師。日本の呪術界の基底ともいえる存在であり、日本国内の結界の強化・行使を行っている。多くの術師からは敬意を込めてか「天元様」と呼称されている。
その働きから現行の呪術界にとって欠かせない存在であるが、しばしば「現(うつつ)に干渉しない」と表現されるように、結界術の行使や星漿体との同化を除き外界とはほぼ接触しない。結界術の効果によってか日本国内のほぼ全ての事象を把握しているようでありながら、呪詛師の動静などを高専側に伝えることはない模様。これが何らかの「縛り」などなのかは不明。ただし特殊な状況下では直接言葉を交わし提案などを行うこともある。
本編登場時には後述の術式の効果により人間から「進化」しており、「個としての自我は消え天地そのものが私の自我となった」存在であるという。そんな状況で形と理性を保つことが出来ているのは天元の結界術によるもの。その組成としては人間より呪霊に近しい。
虎杖たちの前に現れた姿はアバターに近いものであるらしく、本体は別に存在しているという。
容姿
円柱状の頭部に二対の眼、幅広の口を備えた特異な面相。髪・耳はない。これは人間から「進化」した姿であり、12年前に星漿体との同化に失敗してから老化が加速したという天元の言葉から、12年前より以前は人間らしい容姿であった模様。首から下は人間のものと大差はない。
本人曰く、「500年老いれば君(虎杖)もこうなる」らしい。
能力
- 「不死」の術式
天元が千年以上生きている理由であり、少なくとも寿命により死を迎えることはなくなる。ただし、「不死であって不老ではない」術式であり、一定以上(500年)老化すると術式の効果により肉体が「進化」してしまう。人間から「より高次の存在」へと進化すると意思は失われ、「天元様が天元様でなくなってしまう」。その結果として天元による結界強化が失われる可能性・人間の敵となる可能性も存在している。それを防ぐために500年に一度、適合する肉体を持つ「星漿体」と呼ばれる「器」と同化することで肉体の初期化(老化カウントを戻す)を行っている。
また、「星漿体」とその護衛となる「六眼」とは因果で繋がっている存在であり、同化の周期には両者が確実に揃う。同化に失敗するということは基本的にありえないことである。
- 結界術
いくつも強力な結界を発動し続け、また遠く離れている結界を強化することができるほど高度なもの。高専・呪術界拠点の結界や補助監督の結界術(「帳」など)の強度の底上げを行っており、夏油いわく「あの方(天元)がいないと防護(セキュリティ)や任務の消化すらままならない」ほど。
その言葉通りに、たとえば薨星宮・忌庫へのセキュリティも担っており、この場合はシャッフルが繰り返される1000以上の扉から一つだけが薨星宮・忌庫へと通じるようになっている。このように、天元の結界は「守る」ことよりも「隠す」ことに特化しているという。
日本国内には天元の結界が張り巡らされており、結界術によるものかは不明だが日本国内のことはほぼ把握している。
軌跡
天元の名前が作中で最初に登場したのは、交流会編の最終盤。
特級呪霊によって襲撃され、呪霊に対する結界が破られたことを振り返った際、五条によって天元の結界の性質について言及された。
より深くその性質が明らかにされたのが、五条悟と夏油傑の過去篇。
五条と夏油に星漿体、天内理子の「護衛」と天元との同化遂行による「抹消」が命じられるが、結果として「時の器の会」の依頼による伏黒甚爾の介入により同化は失敗。天元の性質についてはこのエピソードにより多く語られた。天元自身は同じく登場しなかった。
死滅回游発生後、事態の解決の糸口を求め高専最深部の薨星宮に赴いた虎杖、伏黒、乙骨、真希、九十九、脹相の前に姿を現す。
黒幕、羂索の目的となる「天元と人類との同化」を知らせ、進化した天元はもはや夏油傑の呪霊操術の対象であり、星漿体以外との同化も可能ではあると伝えた(つまり、羂索に接触されれば呪霊操術により操作され人類と同化させられる可能性がある)。五条の解放の方法についても述べ、今後の指針を提供した。天元は引き続き薨星宮にて全ての拒絶を行い羂索による接触を防ぐ予定であるが、羂索によって薨星宮の封印が解かれる可能性があるとし、交渉の結果として天元の護衛を九十九、脹相が行う運びとなった。
過去
少なくとも千数百年前の奈良時代から活動しており、日本仏教の広がりと同時期、術師(少数派)に対する道徳を説いていたという。これは天元を信仰・崇拝する宗教「盤星教」の始まりでもあり、のちに絶対的一神教と化した盤星教の「時の器の会」は天元が星漿体という穢れと融合(同化)することを妨害するようになった。
過去の術師、レジィは、伏黒の問いかけに対し「そりゃ生きてるか あの引きこもり」という返答を返しており、過去のどこかの段階で薨星宮に隠遁していたことが伺える。
余談
四つの目を持つ怪人風の姿からウルトラ怪獣、ダダ等を彷彿させられたファンも多かったという(ダダは多眼ではないが)。
他の過去編の登場人物の多くと同じく、物語に与える影響は大きい。
具体的には、天元と天内理子を巡る事件があったことで、五条悟が最強の呪術師として覚醒しており、同時に伏黒恵と五条悟の出会いの原因になっている。また、夏油傑が呪詛師になる原因のひとつでもあり、これが無ければ0巻の内容である『夏油傑と呪術高専、および乙骨憂太との戦い』は起こらなかった。
関連タグ
九十九由基…天元に少なくとも死滅回游以前に接触していた。薨星宮を訪ねた当初に接触できなかった理由のひとつとして「私(九十九)が拒絶されている」ことを候補として考えていた。天元を呼び捨てにしている数少ない人物のひとりでもある。
天内理子…天元の変質を食い止めるため天元と「同化」することのできる「星漿体」の少女。天元は、同化までの残された時間出来る限り彼女の希望に沿うように指令を下していた。
羂索…天元と同じく千年以上前から存在する術師。己の目的を達成する手段として天元と人類の同化を狙っているとされる。過去に二度、星漿体との同化の阻止を画策しては失敗していた。しかし、伏黒甚爾の介入により本人も予期せぬ形で同化の阻止は叶うこととなる。
天元に「あの子」と呼称される場面があり、かつて何らかの関係があった可能性もある。