タトラ
たとら
曖昧さ回避
自動車メーカー
このメーカーはオーストリア=ハンガリー帝国領土(現在はチェコ)にて1850年に創設された馬車製造会社、Nesseldorf Wagenbau Fabriks Gesellschaftが元となっている。
現在は大型トラック及び軍用車両の製造で有名であるものの、過去には鉄道車両(鉄道車両は1956年まで、また路面電車部門は1998年まで会社が存在)、高級乗用車(戦後の中断もあるが1998年まで製造)、航空機(ドイツ併合時に終了)の製造等も行っていた。
路面電車
この会社の製造した通称タトラカーは、アメリカ合衆国が1930年代に開発した路面電車PCCカーのライセンス生産を行っており、それを改良した形のタトラT3である。
この車両はチェコスロバキアだけではなく、ロシアやその衛星国でも使用され、朝鮮民主主義人民共和国でも使用された。なお、日本では外国製路面電車の導入に熱心な土佐電氣鐵道が輸入したものの、老朽化等により結局運用できなかった模様である。
自動車
自動車においては、スウィングアクスル式サスペンション(サスペンションの車台側の支点軸が車台中心線と平行で、車輪の中心部が固定の形式で、駆動軸の独立懸架では初歩的な技術とされる)や空冷エンジン、バックボーンフレーム(前後軸間の車体中心線上に「背骨」を配し、動力やサスペンションをそれに取り付ける形式)、流線形のボディ等の個性的な設計が特徴で、これは戦前の同社の名設計者「ハンス・レドヴィンカ」の思想を色濃く反映していたものであった。
しかしヨーロッパの状況悪化によりナチスに併合され、第二次世界大戦ののちソ連の衛星国となったチェコスロバキアにおいて、自動車は例外的に西側諸国に輸出されていたものの、次第にこの会社の乗用車は技術革新から取残され、自由化後は西側諸国からみると「生きた化石」のような状態となっており、市場も失ったことにより1998年に乗用車分野から撤退した。
現在ではアメリカ最大の中型・大型トラックのメーカーであるナビスター・インターナショナル社と合同で軍用車両を生産している模様である。