定義
他の動物を食べる習性を持つ動物のこと。狭義では動物を捕食する「プレデター」(捕食者)を指す。広義では既に死んだ動物を食べる「スカベンジャー」(腐肉食)も含む。
虫を食うアリクイやモグラ、魚を食うカワウソやカワセミなども肉食動物に含まれる。
特徴
動物体は自らの肉体に近い組成を持っているので消化しやすく、肉食動物は草食動物に比べれば消化器官は単純である。草食動物が欠乏しがちな塩分(血液に含まれる)やカルシウム(骨に含まれる)の摂取にも苦労しない。ただ、動物体はタンパク質と脂肪が多い反面糖分が少ないので、肉食動物はアミノ酸からブドウ糖を合成する糖新生の機構が発達している。また胆汁の分泌など脂肪の消化に必要な器官が発達している。
動物は植物に比べると地上に存在する絶対量が少ない上、なにがしかの運動能力をもち、闘争や反撃の手段を発達させているので、捕食するにはいろいろと知恵を働かせなければならない。このため一般論として、近縁種の草食動物よりも脳が発達しているとされる(もちろん個別種を取り上げると例外は多々ある)。捕食を視覚に頼るものは、立体視能力や動体視力に優れたものが多い。
日本列島のように狭い生息域では、純粋に肉食の生活を送るのは困難であり、絶滅したニホンオオカミより大きい哺乳類(ただし、爬虫類にしても気候の関係上困難であるが)では純粋に肉食のものはトドなどの海洋性動物に限られている。キツネやクマは本来肉食動物だが、日本のキツネは木の実や果物などもよく食べる。日本のヒグマ、ツキノワグマは基本的に植物食寄りの雑食である。
哺乳動物の場合、肉食動物の肉は草食動物のそれより臭みが強いと言われる。同種の動物であっても、植物性のものを食べている個体より肉食(昆虫食を含む)をしていた個体は非常に臭気が強いという。