概要
封建の世に、転びバテレン(拷問等によって改宗したキリシタン)のサタン信仰「黒ミサ」の儀式により、生贄として捧げられた武士の娘との間に生まれた混血の浪人で、平然と人を斬り捨てる残虐性を持つ。
その生い立ちを背負い、虚無感を持ちつつ「円月殺法」という剣術を用いて無敵の活躍をし、以後剣豪ブームを巻き起こした。
ちなみに眠狂四郎という名は、入水自殺した後で偶然助けられた時、咄嗟に名乗ったデタラメな偽名である。
腰に差した愛刀の名は『無想正宗』。あの豊臣秀頼の佩刀で希代の名刀と謳われるが、手入れをした江戸の名工曰く「斬り癖が付いていて剣呑な刀で、好きになれない」。(なお、現実には存在しない架空の刀である。)
1956年5月から『週刊新潮』にて「眠狂四郎無頼控」の毎週読み切りという形の連載で初登場し、新潮文庫で出版されていたが近年長編全点が改版され、後半3作品は1巻本だったが上下巻になった。
円月殺法
眠狂四郎が師匠にも隠れて編み出した技。剣の切っ先で「まる」を描く動作を行って相手を挑発し、焦りのある相手をカウンターで仕留める『後の先を取る』必殺技である(必ず相手を殺す技)。円を描き切るまでの間に必ず敵を討つ、と言われており、作中で円を描き切ったことは数少ない。(2周目に入ったことや、円を描き切った後に「双方無事では済まない」として刀を収めた事が合計で2度ほどある。)
弱点として「元から盲目で、心眼で戦う剣豪」には全く通用しなかった。狂四郎自身に薬が盛られて精神統一が出来なかった時にも、円月殺法を仕掛ける事は出来なかった。他、強靭な精神と類稀なる集中力を持つ剣の達人であれば、口を噛むなどの気付けを行うことで耐え切る事もできる。
映画化された時に、この設定がアレンジされた殺陣が採用された。その後現代でも「まるを描いてから斬る技」を円月殺法と呼ぶ事もある。
映像化作品主演
テレビドラマ:江見俊太郎、平幹二朗、田村正和、片岡孝夫(現・片岡仁左衛門)