表記ゆれ:名誉棄損
名誉毀損(刑事)
刑法230条
事実を適示し、公然と、人の社会的評価を低下させた場合に成立する
法定刑は3年以下の懲役,禁錮若しくは50万円以下の罰金である
名誉毀損(刑事)の余談
法定刑は3年以下の懲役,禁錮若しくは50万円以下の罰金ということは執行猶予が付く可能性が高い。
今後、名誉毀損の法定刑が引き上げになる可能性もあるが
その場合は
5年以下の懲役,禁錮若しくは100万円以下の罰金に引き上げになるのであろう。(あくまで今後、法改正が行われる場合の可能性)
名誉毀損(民事)
民法723条(他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。)などで定められた不法行為(民事裁判で損害賠償の対象になりうる行為)。
「名誉毀損で裁判に訴える」という事案は大抵はこの民事上の名誉毀損を指す。刑事上の名誉毀損と違うのは、「事実の摘示」ではなく意見ないし論評であっても社会的評価が低下すれば名誉毀損に問われることがある点、過失による(悪気がない)場合にも名誉毀損が成立することがある点である。
損害賠償(賠償金の支払い)以外の「名誉を回復するのに適当な処分」としては、謝罪広告などがある。
被告が摘示した事実が「客観的に真実」であっても、その人の社会的評価が低下した場合、名誉毀損が認められることがあるのは、刑事上の名誉毀損と同様である。
ただし、週刊誌などが行う政治家や芸能人の不倫報道などに関しては、当人が名誉毀損で訴えたとしても「違法性阻却事由」が考慮され「真実であると信じるべき相当の根拠がある」と裁判所が判断した場合、棄却されることが多い。
刑事名誉毀損とは異なり、死者への民事名誉毀損は、まず認められない(あえて死者の名誉権を認めても実益がないので)。これが成り立つのは死者の社会的評価を低下させることが原告遺族への不利益と直結している場合のみである。
侮辱罪
刑法231条に定められている。名誉毀損と似ているが、名誉毀損と異なり具体的な事実を示さなくてよい。
例えば「泥棒!!」と罵っただけであれば具体的な事実とは言えず侮辱罪、「○○で××を盗んだ!!」と言えば具体的な事実を伴うので名誉毀損罪となる。
「ハゲ」「チビ」「デブ」など身体的特徴に対する言辞は侮辱罪にあたる。
具体的な事実がない分処罰も軽く、有罪となっても拘留(30日以下の身柄拘束)または科料(1万円以下の金銭)しか科せないことになっている。
インターネットの炎上が自殺者を出すほど深刻な社会問題になっている中、侮辱罪の処罰は軽すぎるのではないかという指摘があり、令和3年11月25日現在、法務省で侮辱罪の厳罰化を内容とする法改正に向けた検討が行われ
令和4年6月14日に刑法改正が成立、同17日に公布された。
この改正では侮辱罪に限って「公布の日から20日を経過した日から施行」とされた。
このため施行日は令和4年7月7日となる。
時効も1年から3年に延長されるが施行日までに時効が完成しないものについても時効は3年となる。