日本の現行刑法では自由刑の一種で、受刑者を刑事施設に拘置する刑罰。懲役と同じように有期禁錮、無期禁錮が存在する。
無期禁錮
死刑、無期懲役に次いで重い刑。刑事法においては内乱罪、並びに爆発物使用罪及び爆発物使用未遂罪にのみ定められており、それ以外の犯罪でいきなり降されることはない。(罪刑法定主義)
非常にまれな刑罰で、1947年以降無期禁錮を言い渡された者はいないが死刑が定められている犯罪については、死刑を選択した後で酌量減軽することで、無期禁錮刑を言い渡すことができる。
有期禁錮
原則として1ヶ月以上20年以下が言い渡される。仮に罪の内容が重く、刑を加重する場合には30年までと決められており、ある条文において「2年以上の有期禁錮に処する」などと書かれている場合、天井知らずの刑が言い渡される可能性はない。
刑法第10条で有期懲役と刑の軽重を比較する時は、「有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるとき」は禁錮のほうが重い刑であるとされている。
懲役との違い
懲役との大きな違いは刑務所などでの強制労働が存在しないことである。
労働しなくていいので懲役刑よりも幾分楽な刑罰…と思う人もいるかもしれない。しかし、実際は独房内を受刑者が自由に動き回ることは許されておらず、就寝時と食事時以外一日中座って(胡座か正座)いなければならない、(肉体的にもそうだが、それ以上に精神面で)なかなかに厳しい刑罰である。
一応、テレビを見たり読書をしたり、あるいは机に向っての書き物(手紙を書いたり、各種資格試験の勉強をしたり)をする事などは許されているものの、常に看守に監視され、不用意に立って動いたり、寝転んだりすると厳しく指導される。
なお、日本の刑務所では禁錮刑の受刑者であっても願い出により刑務作業をすることが出来る(請願作業)ので、資格試験の勉強をしたいなどという人を除く、ほとんどの受刑者が請願作業に従事しているというのが実態(参考までに、2023年3月31日時点の禁錮受刑者のうち、実に86.5%が請願作業に従事していることが判明している)であり、結果として多くの禁錮刑受刑者は懲役刑の受刑者とあまり変わらない生活を送っている。
逆を言えば、禁錮刑の「日がな一日中、ひたすら座っていなくてはならない」という刑罰内容はそれだけキツイということであり、受刑者にしてみれば「座りっぱなしよりも何かしら作業をしていたほうがまだマシ」ということなのだろう。
このような現状のためか、刑法の改正により懲役と禁錮を統合・一本化した「拘禁刑」が2025年6月より施行されることが決定した(後述)
科刑状況
禁錮判決が実刑として降る例は少なく、多くは執行猶予が付けられている。実刑判決でも大半は3年以下であり、3年超は年間数件程度とやはり少ない。
廃止
上記の禁錮刑の実態が懲役刑とほとんど差が無い現状を鑑みて、懲役と禁錮を統合した拘禁刑が導入されることが決定した(2025年6月1日より施行予定)。
それに伴って「懲役」「禁錮」という刑罰名は廃止されることになる。