概要
あぐらの漢字表記。胡坐とも書くが、常用漢字であるこちらが一般的。
解説
「あ=足」「くら=座」から来ており、この「くら」とは「枕(まくら)」と同じで、貴人のために設けられた高い場所を意味する。
古くは貴族が使用する腰掛などが「あぐら」と呼ばれていた事から転じた。
あぐらの記事にも記述が有る様…古来、あぐらこそ男女ともに床に座る際の正式な座り方であった。
ところが…
江戸時代以降にそれまで武家の文化だった茶道が町人へ伝わり大きく普及、その結果として正座が幅を利かせてしまった。
今日では仏式の葬祭等では正座が正式な座り方とされるほど正座が儀式的マナーとして普及しており、足に負担を強いる事の少ない胡坐は「胡座をかく=何の努力もしない」等のネガティブな意味で使われてしまう事もある……
だが、しかし!
正座とは本来、女性の少し都合の悪い場所が着物の隙間から見える事を防ぐための座り方であり、本来は男性が用いる座り方では無かった…
そもそも、常に臨戦態勢であった頃の真の武士は、茶室の様な非日常空間以外では正座なんかしない!…のである。
茶室はその構造上、刀を持ち込めない、いわば中立地帯であった。それ故に正座は上記の臨戦に対し交渉を表す座り方とも言える。
正座のような…
人体工学的に大きな問題が有る座り方を強いる生活を普及させてしまった事は、栄養学的に最高の茶葉の摂取法である「抹茶」を日常から遠ざけた事とともに…茶道の大きな原罪であると言えよう…!
もっとも、政局不安な時代から転じて長期安定の時代が260年以上続いたことも、正座が普及してしまった一因ではあるのだが……
最後に…
イスラム圏においては足の裏を見せる事が失礼に当たる国も多いので、間違っても正座が万国共通などと錯覚してはいけない!!