プロフィール
(公式サイトより)
概要
漫画「ブルーロック」の登場人物。青い監獄(ブルーロック)の現トップランカー。
主人公の潔世一が強く意識している相手である。
黒髪と長めの下まつげが特徴。作中で世界的プレイヤーとして活躍する糸師冴を実の兄に持つ。
性格
クールな雰囲気を纏っているが性格は尊大かつ高圧的、とてつもなく我の強い超エゴイストである。強気なプレーや言動が目立ち、その傲岸不遜ぶりは作中の馬狼照英に勝るとも劣らない。
しかし認めた相手には(程度の差はあれど)実力や潜在能力を自分なりに評価し、チームメイトが余程のミスをしなければ頭ごなしに責めるような事はしない等、その立ち振る舞いは決して悪人のそれではない。むしろチームの役に立つプレーや働きをした味方には多少なりとも褒め言葉をかける等、エゴイストと言ってもチームプレーは比較的大切にしている。
また、必要とあれば余程気に入らない相手でない限りは他者ともきちんと連携する。時と場合によっては他者を鼓舞したり、指示を出す事も珍しくない。
また、尊大かつ高圧的な態度は自身のたゆまぬ努力と実力の自負から来るものであり、暇があれば自主練、試合や練習の後はクールダウンのヨガや瞑想をルーティンとする等、そのストイックさも作中随一であると考えられる。
加えて、たとえ自身よりも実力が遥かに格上の相手や不利な状況でも決して諦める事はなく、全力で戦い本気で勝とうとする姿勢を貫ける等、精神面もかなり強い。
当初は潔の事を何とも思ってすらいなかったものの、二次選考4thステージに駆け上がり再び相対した時は彼の成長と潜在能力を認めていく。その試合の終盤で、完全に出し抜かれてシュートを決められた時は潔に少なからぬ敗北感と屈辱感を受けるも、試合には勝利する。この際、潔を「一番近くで世界一になるのを見届けさせる」意味を込めて、自身のチームに引き抜いた。その後も潔とは仲良しとまでは流石にいかないものの、最低限以上のコミュニケーションを取り合ったりする等、それなりに認め合う関係となった。
能力
ブルーロックの頂点に相応しい、高い得点能力を持つ正統派ストライカー。
初登場時には2つのシュートを時間差で撃ち、空中でピンポイントで命中させるという離れ業をウォーミングアップと言う体で行い、他ブルーロックメンバーを驚愕させた。加えて、U-18日本代表戦のメンバー選考である適正試験では試合平均3ゴール(これはブルーロック全選手中トップの数値)と、その存在感を見せつけた。
千切豹馬や凪誠士郎のように、特定分野で明確な強みを持つというよりかは、サッカーに必要な技術・身体能力・戦術全てを高次元のレベルで兼ね備えている万能型の選手。
中でも先読みをはじめとした予測、戦術思考能力は凄まじいものがあり、作中でも屈指の空間認識能力と予測能力を持つ潔を相手に、その思考と予測を全て読み切った上で罠に嵌めるといった離れ技を披露している。
ただし完璧超人という訳ではなく、世界トップクラスの相手と比べると身体能力や技術においてはどうしても総合力で見劣りする。加えて潔相手には読み合いにおいて何度か裏をかかれており「屈辱」や「ムカつく」と零した事も。
また、ネイティブで英語を流暢に話せる語学力も持っている。そのため、三次選考前の語学研修の際はチームのメンバーに英語を教えていた。他にもブルーロック内でもダントツに粗暴で凶暴な士道龍聖と殴り合いになっても退かずにやり合えたりと、腕っ節も強い。
- 「FLOW」
基本的に自身の能力がそれまで以上に発揮される「FLOW」だが、凛の「FLOW」はプレイスタイルそのものが変貌する。集中力が極限まで高まっているせいか、目を常に刮目し、口を開けたまま舌を垂らした状態で固定化された、尋常ではない凶相になる。
それまでの合理的な戦術を捨て、相手の得意な分野を引き出しつつそれを真っ向勝負で潰しにかかることに歓喜する、冴の「美しく壊す」とは対極ともいえる「相手を醜く壊す」超攻撃型の戦術へと変わる。一方、ボールを溜めていた味方の氷織羊からボールを奪い、潔の呼びかけに一切応じないなど、「FLOW」時においてチームプレイは一切拒んでいた。
「FLOW」に突入していたU-20日本代表最強のDFであるオリヴァ・愛空をして単独では勝てないと直感的に理解させられた凛の「FLOW」には、絵心甚八をして「イカれてんなぁ」と言わしめた。
活躍
一次選考
一次選考での試合の描写はなく、二次選考から本格的に登場。
二次選考
1stステージを1位で通過し蟻生十兵衛・時光青志とチームを組み、潔・蜂楽廻・凪チームと対戦。自身とチームメイトの実力を存分に発揮して圧勝した。試合終了後は蟻生と時光の希望で蜂楽を引き抜き、4thステージに昇級となる。
早い段階で4thステージに進出したは良いものの、自身と蟻生・時光がいる事で、相手がその実力に恐れをなしていたために中々試合成立が決まらない状況となっていた。そんな状況もお構いなしに黙々と自主練している中、蜂楽から1on1を持ち掛けられる。蜂楽は善戦するも、ことごとく止めたり抜いたりしたりと実力の差を見せつける。この時、凛は蜂楽に「お前のサッカーは誰かを求めているサッカーだ。」と厳しく指摘する。凛にとっては厳しい意見を言ったつもりであったが、蜂楽にとっては後に今までのやり方を考えさせるきっかけとなった。
ようやく決まった4thステージでは、再び上がってきた潔・凪・馬狼・千切チームと対戦。序盤は千切に先制点を取られるも、自身の能力を存分に発揮し始め、試合を掌握していく。しかし、潔を始め凪・馬狼・千切もレベルアップしており、時に自身の予想以上のプレーを展開されては互角の試合を演じていく。特に潔の事は、初めて戦った時は何も思わなかった彼が自身に近づきつつある事を感じるようになり、今度は全力で相手取っていた。
そして終盤、凛の戦術眼の鋭さを逆手に取った対応と足裏による直撃蹴弾(ダイレクトシュート)で潔に得点を許してしまう。
最終盤では蜂楽の超絶プレーを潔がギリギリで止めて見せたが、こぼれ球は凛の頭上に降りてきた所を見事に決め、決勝点を挙げた。
最終的には運の差でチームは勝ったものの、一瞬ではあるが自身の想像を超えるプレーと少なからぬ敗北感を味わわせた潔の潜在能力を評価した上で、自身が世界一になるのを一番近くで見届けさせようとする意味を込め、潔を自身のチームへ引き抜き、蟻生・時光・蜂楽・潔と共に三次選考進出となった。
三次選考
手始めに行われたのは、ブルーロックのために呼び集められた「世界選抜チーム」との5vs5。
最初は世界選抜のメンバーが少々甘く見ていたのもあって、潔・蜂楽と自身のコンビネーションで自ら先制点を決める。しかし、皮肉にも世界のトッププレイヤーである彼らを本気にさせてしまう事になり、その絶大な強さを肌で体感する事となる。残り1点で敗北となる中、唯一逆転しようと諦めずに戦うも、結果は惨敗。凜以外のメンバーは途中から胸を借りるつもりでプレーをしていたのに対し、凛だけは逆転を信じ戦い抜いただけに、これまでにないほどの悔しさを見せた。
そして、U-20日本代表戦に向けた適性試験(トライアウト)が開催される事になり、TOP6の一つであるNo.1に選ばれ、同じくNo.2に選ばれた士道龍聖と共にチームAを率いる事となった。
第一試合は同じくTOP6に選ばれた烏旅人と乙夜影汰率いるチームBと対戦。自身の非常にレベルの高いシュートやプレイと士道の活躍で点を重ねる中、烏や乙夜も相当な実力者である事や潔が烏に徹底的にマークされていた事もあって互角の勝負を演じる事になる。
試合最終盤で潔が更なる覚醒のきっかけを得た事によりゴールを挙げた事で、チームAは逆転勝利。勝利はするも、合理的なプレイで点を重ねる自身と自分が点を取る事にとことんこだわる士道とは性格や価値観的に馬が合わないのが浮き彫りになってしまい、試合中に言い争いしたり、試合後に二人で喧嘩したりと衝突する場面が目立っていく。結局この衝突は適性試験中に緩和されることはなかった。
適性試験終了後のメンバー選出では、青い監獄内で最も得点率が高かったため、チームの中心人物としてセンターフォワードのポジションを務めることになる。
U-20日本代表戦
前半戦では攻撃の中心となってプレーしながら、兄の冴とマッチアップしていくも、敵わず終いになってしまう。それでも前半戦が終了する直前で愛空を出し抜いた見事なゴールで逆転して見せ、チームメイトの懸命なディフェンスもあって、前半戦は1点リードで終わらせた。
後半戦において冴にボールが渡った際、「自信が冴だったらどうするか」と考えを張り巡らせ、自陣のペナルティ・エリアまで走り込み、士道にパスが渡る前にブロックに成功した。
後半戦終盤、冴のコーナーキックに対して読みを外し、さらにそれを潔に止められたことがきっかけで自身を取り巻く全てのものに対する敵意を覚え、今までの合理的な戦術を捨て、「相手を醜く壊す」戦術へと変わる「FLOW」へ突入。
同じチームの氷織からボールを奪うや、音留徹平、陀来弥勒、仁王和真をそれぞれの得意分野を引き出した上で、ラフなプレーを交えながら潰し、愛空と士道によるダブルプレスすら振り切ってシュートするも、これを外してしまう。
最終盤、冴と最後の一騎打ちになった際には互いに一歩も退かない攻防の末、動きを読み切ったディフェンスでボールを弾き飛ばした事で、一瞬ながら冴を超えて見せた。
絵心も最後の「FLOW」については「お前の覚醒が全てを飲み込んだ」と高く評価していた。
最終選考「新英雄大戦(ネオ・エゴイスト・リーグ)」
2週間の休息を経てブルーロックに戻り、ヨーロッパ5大リーグの中から大富豪達の投資によって一大市場と化し、非常に勢いのあるフランスを選ぶ。
初戦のイタリア戦ではレギュラーの座を勝ち取っており、決勝点を叩き込んでいる。
兄・冴との過去、そして・・・
- 兄弟の過去
冴は現在でも世界に名を馳せる日本人サッカー選手として有名だが、何と8歳から「天才サッカー少年」とメディアで取り上げられ当時からMVPに輝いたりチームを大会優勝に導いたりと華々しい実績を出してきた事が明らかとなった。
その時点で凛は、まだサッカーをしておらず、戦隊モノのフィギュアやおもちゃで遊ぶのが好きな普通の男の子だった。
同時に冴の活躍と実力に凛は心の底から誇らしく思っていた。現在でも傲岸不遜かつ不敵な発言が目立つ冴だが、そんな彼も幼い頃は冴を誰よりもサッカーが上手で優しい兄と信じてやまない、何をするにしても離れないほど仲睦まじかった。
その姿はどこにでもいる仲の良い兄弟そのものだった。
ある日冴が出ている試合を見ていた凛はふと身体が反射的に動き出して試合に割り込み、ゴールを決める瞬間を目撃する。突っかかろうとするチームメイトをよそに冴は凛に可能性を感じたのか、凛にサッカーをやろうと誘う。
弟・凛がサッカーをやり始めたのは、憧れの兄・冴から可能性と期待を見出され一緒に強いサッカー選手になろうと持ち掛けられたのが原点だった。
凛もサッカーをやり始め、冴と同じチームに入り試合をしては見事かつ的確なコンビネーションで活躍していき、二人の夢は冴が世界一のストライカーになる事、凛が世界二のストライカーになると夢を語り合う。
そんな中冴の活躍が世界に認められたのか、世界一のクラブチーム「レ・アール」の下部組織にスカウトされ、渡西する事となった。凛は寂しい気持ちなるも、それに対し冴は先に行くだけだから、凛も来るようにと伝えられた。そして冴が旅立つ当日、凛も冴を笑顔で見送った。
その後凛は兄と共に世界で戦い世界一になる目標と夢を胸に誰よりも練習し、誰よりも活躍して実績を重ね、凛もまたチームを勝利へと導くサッカー選手になっていった。
この時の凛は、冴と共に夢を追いかけていける事を信じ切っていた。・・・
ある雪が降る寒い冬の中、一人遅くまで練習している凛の下に突如として現れる冴。
4年ぶりに不意に現れた兄との再会に驚きを隠せない凛。(凛自身も冴が帰ってくる日が近いと話で聞いていたものの、冴によるとわけあって帰国が早まったとの事)
「世界は広くて、俺よりすごい人間がいるんだ」と話す冴に対してもTVで冴の活躍を確認している凛は嬉しそうに褒める。そして凛は冴に衝撃的な事を伝えられる。
「世界一のストライカーじゃなく 世界一のミッドフィルダーになる」
呆然としながらも異議を唱える凛をよそに冴は夢を変え、世界一のミッドフィルダーを目指すことにしたのだと伝えられた。
凛は納得していなかったが、「それは世界を知らないから言えるんだ」と冴は言った。
勝手に諦めた冴に、凛は一緒に戦おうと言ってくれたのにと思いをぶつける。冴は自分がミッドフィルダーになるから、凛が世界一のストライカーにと言うも凛は「俺は世界一のストライカーの弟なんだ」と叫び、夢を諦めるような事を話す冴は見たくなかったと言われる。
凛 「俺が一緒に夢を見たのは そんな兄ちゃんじゃない」
冴は少なからず目を見開くも、ぬるいと言っては凛にまだ分かっていないと話す。そして冴は突如として1on1で勝負を持ちかける。その内容も
凛が勝てばもう一度一緒に夢を見ると言った冴。でも冴が勝ったら、兄弟の夢は終わりであると言い放たれる。
そう言って突然始まった勝負に凛は受けて立つ。しかし、元々の実力差に加え世界に揉まれレベルの高さを知って更に強くなった冴に敵う筈もなく、呆気なく敗れてしまう。その足で去ろうとする冴に対し凛は自分も日本一になって、兄の代わりになって、そしてチームを日本一に導いたのに冴が夢を諦めたらサッカーをやる意味ない事よと悲しさと辛さを吐露する凛に対し冴は衝撃的な事を言い放つ。
「だったら辞めろ」
「ぬりぃんだよ 慰めてもらえるとでも思ったか? 低能が」
「何が”日本一”だ 何が”兄ちゃんの代わり”だ クッソ反吐が出るぜ。 もう二度と俺を理由にサッカーなんかすんじゃねぇよ」
「だいたい、お前にとって俺は特別かもしんねぇが、俺にとっちゃお前はもう、ただの目障りで面倒臭い弟だ」
「たまたま俺の弟に生まれただけで勘違いすんな サッカーのできないお前に価値なんかねぇんだよ」
「消えろ凛 俺の人生にもうお前はいらない」
幼い頃は本当に仲の良かった兄弟のはずが兄・冴は弟・凛に対してとても一緒に世界一を目指そうと誓い合った、ましてや実の弟に向かってこれまで重ねてきた凛の努力や思いを全て踏みにじるかのような冷酷極まりない言葉をぶつけられて呆然とする。冴は凛に目をやる事なくその場を去った。
兄弟で世界一を目指すために凛は多くの大会でチームを優勝に導き実績・練習を重ねてきた筈が、冴にとっての凛は冴が世界一になるために必要だっただけの練習相手でしかなかったのだと理解してしまう。凛自身は冴にとってはもう利用価値のない人間、いらない人間だったと悟り、冴の心無い言葉によってやる意味を失った凛の心は正に「ぐちゃぐちゃ」となってしまった。言い表せない怒りで部屋に飾られたトロフィーや賞状等を全て破壊し、サッカーすら辞めようとしかけたが、同時に一つの大きな想いがこみ上げた。
「俺は・・・俺の人生を狂わせた糸師冴を・・・ぐちゃぐちゃにしてやる」
「殺す・・・許さない!!」
糸師冴の夢を破壊するためにサッカーを続け、同時にその怒りと憎悪と復讐心を原動力となった。
こうして凛は冴を倒すため、唯一にして絶対の信念と怨念を抱え、二人の確執を決定的なものにした。
- U-20日本代表戦を経て
青い監獄(ブルーロック)とU-20日本代表戦の終了直後、青い監獄(ブルーロック)の勝利でメンバーが歓喜に湧く中、健闘を称えて握手する潔と愛空を見つめて歯を食いしばる凛。
そこに冴が凜に声をかける。
「俺が見誤ってたよ」
「日本にはロクなストライカーは生まれないと思ってた」
自身の過去の発言を撤回する冴に対し、思わず「兄ちゃ…」と声が漏れる凛。だが、次に続く言葉は。
「お前の本能を呼び起こし、日本のサッカーを変えるのは」
「潔世一」
「あのエゴイストなのかもしれない」
自身ではなく潔を認める言葉に凛は言葉を失い、怒りとも絶望とも取れる表情を見せる。
その後、ロッカールームで潔と二人きりになった時、項垂れている凜に対して潔から最後のゴールについて「あれは俺とお前のゴールだ」と感謝を告げられるも、
「……うっせぇ」
「死ねよ潔…」
「もうお前だけは許さねぇから…」
「今この瞬間から潔(おまえ)は凛(おれ)の宿敵(ライバル)だ」
「忘れるな 『絶対殺す』って意味だ」
冴が興味を抱いた潔に対し、禍々しいオーラを放ちながら、凜は言い放つ。
冴との確執は戻らず、これまで潔に対してそれなりに認め合う関係だった過去すら投げ捨てて敵対することになった。