「万象一切 灰燼と為せ」
「流刃若火」
CV:塚田正昭 → 高岡瓶々(ゲーム「Brave Souls」以降)
巻頭ポエム
伏して生きるな、
立ちて死すべし(45巻)
魂(こころ) 燃え立つ
天(あめ)の降るとも(58巻)
概要
護廷十三隊の一番隊隊長及び護廷十三隊の総隊長。
妖怪の頭領山本五郎左衛門や山の妖怪の山翁が名前やあだ名「山じい」のモデルではないかとする声もあるが、実情は不明。
身長168cm、体重52kg、1月2日生まれ。
顔に大きな十文字の傷を持ち、膝まで垂れる長い髭をたくわえ、肉体は老人とは思えぬほど鍛え抜かれている。かなりの老齢(少なくとも二千歳以上)だが、自分より強い死神がいないために千年以上も総隊長を務めてきた猛者で、護廷十三隊総隊長を名乗るにふさわしい実力を有している。
約二千年前、死神等の教育機関「死神統学院(現在の真央霊術院)」を創設。そこから初の隊長となった京楽春水と浮竹十四郎を我が子のように誇っている。
また、副隊長である雀部長次郎とはこの教育機関の設立以前からの付き合いである様で、ある意味では京楽と浮竹以上に深く信頼している。
人物像
作中では泰然とした態度と好々爺然とした振る舞いとは裏腹に、護廷十三隊隊士ならば正義の為に死すべし。と言う、どちらかと言えばタカ派の思想を持った人物であり、正義に反したと見做したならば、息子の様に思っている京楽と浮竹相手でも殺害を即断できる非情さを持つ。
死神図鑑では流刃若火を怒らせたり(原因は雑用に使用したため)、屋台で抹茶を推したり、やちるに甘かったりといったシーンがある。
破面篇の空座町決戦では、藍染と部下の隊長が戦っているその裏で、空座町に集めた隊長格諸共藍染達を葬るべく罠を張っており、敵を倒す為ならば部下ごと、もしくは自分ごと敵を倒す事にも躊躇の無い捨て身の戦法を弄して見せた。また藍染との対決で鬼道の1つである一刀火葬を使った事により左腕を失い以降は隻腕となる(井上織姫に頼めば彼女に左腕を治してもらうことも可能だが、人間である彼女をこれ以上命懸けの戦に巻き込むまいという理由で敢えて治さず放置している)。
等々この手の組織では珍しく、総じて「力」のみに全振りした思想のトップと言え、それ故に足りない"指導者としての器"さえも恐怖政治で補っていた。
しかしながら、これでも丸くなった方であり、ユーハバッハ曰く「千年前のお前は剣の鬼」「部下はおろか人間の命にすら灰ほどの重みも感じない」と言われており、過去の元柳斎の戦闘能力は、技術や霊圧と言った元からのスペック以上に、精神面こそが恐ろしいものだったようである。
そして実際の戦闘能力に関して言うと、基本的には霊圧の高さと斬魄刀の能力の高さで敵を圧倒するが、鬼道や素手での戦闘能力も非常に高く、刀剣解放した破面の攻撃を受けても平然としており、斬魄刀を完全に封じられた状態でも一方的に殴り殺す事ができる。
今もなお純粋な戦闘能力だけで言えば、更木剣八以上である。
千年血戦篇においては、前述の人格が丸くなった事で無敵にも繋がっていた苛烈さや非情さが薄れた、という理由から、ユーハバッハは特記戦力から外している。
逆に言えば、人格面以外では付け入る隙のほぼ無い戦闘能力を持っていると言う事であり、実際、破面篇ではあと一歩のところまで藍染を追い詰めながらも、人間を守る為に封じられた炎を抑えた事で敗北し、千年血戦篇では残火の太刀と言う他を隔絶した卍解を使いながらも、雀部を殺された怒りから終始し冷静さを失っていた事で卍解を奪われ、死亡した。
一部のファンからは脳筋扱いされているが、本来ならそれら欠点が全く問題にならないくらい強い。藍染やユーハバッハさえも彼だけは封殺する事を最優先事項にしており、初期におそらくまともにやっていれば間違いなく元柳斎が勝っただろうと予想できる。
つまり強すぎるがゆえ活躍させられなかった面が強いと思われる(逆に更木は力を無意識にセーブしていたという設定だったため活躍した)。
来歴
最終章『千年血戦篇』では、信頼のおける副官である雀部長次郎を殺された怒りに燃え、久方ぶりに最前線で戦う様子が描写された。その見えざる帝国の尖兵の一人で、雀部を殺して彼の卍解を奪ったドリスコール・ベルチが、彼を嘲弄しながら奪った卍解を山本に向けて使用した際に、山本と雀部の関係が回想されている。
まだ若かった山本が(といっても人間でいうと初老ほどの年齢に見えるが)元流という流派を開き、それを教える元字塾という塾の師範を務めていたころ、まだ幼さの残る青年だった雀部が、頻繁に出入りしていた。
そのころの山本の額にはまだ十文字の傷はなく、戦でついた「丿」の字型の傷しかなかったため、仲間から「丿字斎(えいじさい)」というあだ名で呼ばれていた。山本本人はその呼び名をあまり喜んではいなかったが、雀部青年は「自分ごときが本名を呼ぶのは畏れ多い」と、しつこく丿字斎の名を使っていたため、当時山本は雀部を煙たがっていた。
そんなある日、雀部が「卍解を習得してきた」というので山本は興味を惹かれ、「その卍解で儂を倒してみよ」と試合を持ち掛ける。
結果的に当時の雀部の力では山本を倒すにまでには至らなかったが、山本はその試合を振り返って「素晴らしい卍解だった」と評している。その試合で山本の額にはもう一本傷が増え、現在の十字傷が出来上がった。
こうして仲間からは「十字斎(じゅうじさい)」という新たなあだ名で呼ばれることになったが、雀部だけは「自分ごときのつけた傷が丿字斎殿の名前を変えてよいわけがない」として、ただ一人頑として丿字斎と呼び続けた。
そんな彼の為に、山本は自身に「元柳斎」の名を冠したのだった。
その後、血の滲むような研鑽を重ねて磨き上げた雀部の卍解を奪ったのみならず、殺された彼を嘲弄しながらその卍解を使用するドリスコールに対して怒りを爆発させ、一撃で彼を灰にして、敵の首魁ユーハバッハの元へ赴き、自身の卍解「残火の太刀」を発動して彼を倒した。だが、倒したのはロイド・ロイドがコピーした偽物であった。本物のユーハバッハの策略によって卍解を奪われ、最期はユーハバッハが扱う「大聖弓」という巨大な弓から召喚された「滅却聖矢」で体を真っ二つに斬られ死亡した。死んでもなおかつて破面篇で藍染を相手に一刀火葬を決めたときのようにユーハバッハの足を右腕で掴んでいたが、その腕すらも斬られ遺体も跡形もなく消されてしまった。
斬魄刀
始解の名は「流刃若火(りゅうじんじゃっか)」。焱熱系最強にして、最古の斬魄刀である。
解号は「万象一切灰燼と為せ『流刃若火』」
解放と同時に刀身が炎に包まれ、自身の周り一帯を炎で包み込めるほどの攻撃力を発揮する。
作中でもほぼ最強の斬魄刀として扱われており、破面篇・千年血戦篇の両篇において、最初にこの斬魄刀への対策を行なっている。
その一方で、アニメオリジナルエピソード内の「死神図鑑」にて、焚き火代わりにしたりと、結構しょうもないことにも使用していた模様。
技
- 撫斬(なでぎり)
炎をまとった刀でそのまま敵を両断する。
- 城郭炎上(じょうかくえんじょう)
敵を炎の塊で押し包み身動きを封じる。
- 鬼火(おにび)
アヨンに穴を開けた技。杖状態で使用。
原作、アニメでは名称不明。
- 松明(たいまつ)
真っ二つにされてなお襲いかかってきたアヨンにトドメとして放った技。アヨンを一瞬で焼失させた。
原作、アニメでは名称不明。
- 焱熱地獄(えんねつじごく)
流刃若火の大技。時間をかけて施した仕掛けを発動させて火柱を広範囲に発生させ、最後は敵のみならず自身や仲間すらも燃やし尽くす。藍染との直接対決で使用して戦いに終止符を打とうとするが、ワンダーワイスの帰刃で封じられ不発に終わった。
- 双骨(そうこつ)
ワンダーワイスにトドメとして放った技。両手で放つ強烈な白打技。片手で放つ際は「一骨(いっこつ)」となる。
- 居眠り(いねむり)
相手の顔に手をかざし、意識を飛ばす。雛森に対して使用。恐らく縛道だと思われる。
原作、アニメでは名称不明。
鬼道
詳細は項目にて
卍解:残火の太刀(ざんかのたち)
始解の段階で刀身を覆っていた炎が消え、刀身が黒く焼け焦げたただの刀に変化する。
ユーハバッハ曰く、千年前の能力は「斬るものすべてを爆炎で焼き尽くす豪火の剣」だったが、実際は千年前の戦いで全ての力を発動して見せたわけではなく、東西南北の名が冠された四つの攻防形態を持っている。
尸魂界全土が異常乾燥に見舞われるだけでなく、日番谷冬獅郎の氷輪丸を代表する氷雪系の斬魄刀が使用不能になるほどの高熱を発し続ける卍解であるため、卯ノ花烈の言によれば、長時間解放し続ければ尸魂界自体をも滅ぼしかねないとのこと。
作中で千年血戦篇になるまで使わなかったのは恐らくこのリスクが大きいためと思われる。