概要
柴田錬三郎が晩年に執筆した時代小説。渡辺謙主演でテレビドラマ化された。
江戸時代末期を舞台に、徳川家と血筋を同じくする名門・大給松平家の家柄ながら、武士の最低の身分である御家人・松平残九郎家正(通称斬九郎)が、罪人の首切りなどを請け負う武士の副業『片手技』(要するになんでも屋)で悪を討つ痛快娯楽アクション。「明るい眠狂四郎」とも呼ばれる。
原作小説は1976年に講談社から単行本全1巻が刊行された。
フジテレビのテレビドラマは1995年から2002年まで全5期が放送。原作の話を使い切った後はオリジナル脚本を使用したがいずれも高い人気を誇る(同作者の別作品からネタを拾う場合もある)。
ギャグ要素が強いものの勧善懲悪からやや外れ、バッドエンドも少なくないが松平親子のユーモアある掛け合いが空気を和らげている。
時にゲストの大御所俳優を喰ってしまうほど主演の渡辺を始めとするレギュラー陣の演技力・存在感が強い。『独眼竜政宗』と並ぶ渡辺のドラマ代表作となり、第5期最終回は渡辺自身が演出を手がけた。
登場人物
松平残九郎家正(演:渡辺謙)
主人公。通称「斬九郎」。年の頃は30半ば。江戸っ子気質の遊び人で大酒飲み。特に鍛えたわけでもないのに剣の腕が異常に強い。江戸の人々には「斬九郎の旦那」と呼ばれる。
9人兄弟の末っ子で名前も「余り者」という意味だが、兄達が死んだり姉達が奉公に行くなどで松平家の当主に繰り上がった。
無役(無職の意)でわずか三十俵三人扶持の「御家人」に属し、母・麻佐女と極貧生活を送りながら片手技稼業で日銭を稼いでいる。ただし曲がったことが大嫌いで自由気ままを好む性格上、宮仕えには向かないとのこと。
根が優しく頭も切れて度胸もあるので、男にも女にも好かれる。昼間から酒をかっくらうなどのだらしない生活態度から、麻佐女には片手技で稼いで来いとせっつかれているが、なんだかんだで麻佐女を慕っているらしい。
松平麻佐女(演:岸田今日子)
斬九郎の母。79歳になるが元気で口達者。鼓と薙刀の達人。斬九郎が唯一頭が上がらない存在。
気性が激しく、親子喧嘩の最中(曲者が現れた時も)にいきなり薙刀で襲いかかっては斬九郎を驚愕させる。斬九郎の一枚も二枚も上手で、陰で「くそババア」と毒づかれていることも全て見通している。
目刺しとたくあんばかりの貧しい食卓事情を嘆き、斬九郎が片手技で大金を稼いでくると料亭の高級グルメにつぎ込んでしまう。親子揃って金遣いが荒いのである。
元は名家の才女で、明るく細やかな性格から人気者だった。この時代の人間では珍しくオランダ語を理解でき、英語辞書も所有していた。
蔦吉(演:若村麻由美)
深川の売れっ子芸者。江戸っ子気質で気風の良い姉御肌。小太刀の心得がある。ツンデレ。
斬九郎とは相思相愛だが素直になれず、憎まれ口ばかり叩いて痴話喧嘩している。
芸者の仕事で大名邸の座敷にも出入りする事情通で、斬九郎の片手技に有益な情報を提供してくれる。
実は武家の娘で本名は大沼妙子だが、訳あって武家を捨てた。斬九郎の座敷代を立て替えている。
西尾伝三郎(演:益岡徹)
斬九郎の幼馴染で北町奉行所の与力。斬九郎と麻佐女からのあだ名は「雷おこし」。
真面目な性格だが、小市民的で臆病。甘いもの好きでいつも菓子をつまんでいる。剣の腕はからっきし。
役目上の用事で斬九郎に片手技の仕事を依頼したり、トラブルによって奉行所に引っ立てられた斬九郎を庇ってくれる。
妻・るいには斬九郎との付き合いを叱られている。
ヒロイン的な役回りをすることが比較的多い。
南無八幡の佐治(演:塩見三省)
伝三郎配下の岡っ引き。斬九郎の悪友。
強面だが気は優しく、涙もろい。死体を見ると「南無八幡」と念仏を唱えることからあだ名がついた。
斬九郎を慕い、捕物仕事の合間に片手技の仕事を手伝ってくれる。麻佐女を苦手がっている。
女には長いことさっぱり縁がなかった。
西尾るい(演:唐沢潤)
伝三郎の妻。しっかり者で気性が激しく、夫の役目に支障をきたす斬九郎を目の敵にしている。
事によっては斬九郎を頼って片手技を依頼する場合もある。
松平須美(演:吉沢梨江)
斬九郎の許嫁。斬九郎に想いを寄せているが、斬九郎には妹扱いされている。
心優しく、麻佐女によく食べ物を持ってきてくれる。
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関連タグ
銀魂…設定・作風に似た部分がある。