たくあん
たくあん
大根を、ぬか漬けしたもの。一般的には天日で干して水分を飛ばしたものを使うが、干さずに食塩で水分を抜いた後にぬか床に漬ける製法(塩押し)や屋内で燻して水分を抜いた後にぬか床に漬ける製法もある。
大根の辛み成分であるアリルイソチオシアネートが分解され、あの独特の鮮やかな黄色い色素へと変化する。
元は沢庵が独自に作っていた名もない漬物だったが、時の将軍である徳川家光が沢庵のいる東海寺を訪れ、茶請けとして具したところ大層に気に入り、「名前がないなら『沢庵漬け』と呼ぼう」としたことからこの名が付いたという。
ほか、「混じりけのないもの」という意味の【じゃくあん】が訛った説、「貯え漬け」が訛った説など、複数の発祥が存在する。
さらに平安時代に慈眼大師良源上人が、大根を藁と塩で重ねて漬ける「定心房(じょうしんぼう)」という漬物を考案しており、これがたくあんの原形ともいわれる。なお現在も比叡山で「定心房たくあん」として売られているものがあるが、こちらは現在のたくあんと同じものである。
江戸時代以降、庶民の食卓には欠かせないおかずとして親しまれ、漬物の代表選手の一つにまで昇進。
燻製で乾燥させる秋田県の「いぶりがっこ」、海苔巻きにする「新香巻き」、さらにはマヨネーズとあえてコッペパンで挟む「サラダパン」、刻んで混ぜる「ポテトサラダ」など、様々なスタイルで現在も日本の食卓を彩ってくれている。
福神漬けと同様に、たくあんを食べてから水を飲むと、水が甘く感じられることがある。
外国人が臭いと感じる日本食の一つでもあり、その匂いは納豆や鮒鮨にも引けを取らない臭いを持っている。
19世紀の女性旅行家イザベラ・バードは、「こんなスカンク(のおなら)みたいな臭いをよく平気で嗅げるわね!?(意訳)」とかなり辛口に著書『日本紀行』に記している。
一方で、食文化が似ている朝鮮や台湾では日本の支配下の間でたくあんはすんなり受け入れられており、特に韓国では「日帝が来てよかったものはたくあんだけ」という格言があるほど広く人々に愛される定番の漬物として根付いている。
あと、地方(近畿地方北部・庄内地方・香川県)によってはたくあんの煮物という郷土料理がある。現地では珍味としても知られる。
これは古漬けの(食えないレベルにまで塩分浸透と発酵が進んでしまった)たくあんを再利用したリサイクル料理で、水で塩抜きと匂い流しをしたたくあんを香り油(ごま油やオリーブオイル)と砂糖&醤油で甘辛く煮物(炒り煮・炒め煮)にしたもの。
百合好きな彼女が喜んでブックマークしそうな、けいおん系百合イラストにたくあんホイホイというタグがつくことがある。
なお、本来は上記の通りほとんど作者のジョークだったが、2010年2月にきゅうりのキューちゃんで有名な東海漬物から、コラボ商品~ムギちゃんの眉毛~ 「実はこれ、沢庵なの♪」の名称で本当に商品化された。
ちなみに味は甘口で、とてもごはんがススムくん状態だ。