概要
七種類の野菜(種類は決まっていないが、大根、茄子、ナタマメ、蓮根、胡瓜、紫蘇の実、椎茸または白胡麻など)を塩漬けし、塩を抜いてから刻んで醤油主体の調味液に漬け込んだもの。
かつては合成着色料で真っ赤に着色したものが多かったが、ウコンなどで着色した黄色いものや、無着色の茶色いものも多く出回っている。
現在ではカレーライスのお供としておなじみだが、チキンライスなどの洋食、炒飯などの中華料理のご飯ものとも相性がよい。また、「カレーライスには福神漬け」にこだわりを持つ人がいる一方で、家庭やお店によっては福神漬けを添えない場合も多い。
カレーとの縁
近年はもっぱらカレーの付け合わせとして活躍している福神漬けだが、本来はカレー用の漬物ではない。戦前の日本は毎食1合半〜2合の大量のご飯を、味噌汁とわずかなおかずでかき込む食文化で、たくあんや福神漬け(今よりずっと塩辛いもの)がご飯のお供として欠かせないものだった。明治の東京では福神漬けがお茶漬けのおかずとして大いに流行したという。
この習慣が洋食に持ち込まれ、ライスにたくあんや福神漬けが添えられるようになったわけだが、厚切りのたくあんはフォークやスプーンですくって食べにくかったので(当時は漬物をフォークで刺して食べるのはマナー違反と考えられていた)、最初から細かく刻んである福神漬けが重宝された。高度経済成長期に日本人の食生活が豊かになるに伴って洋食の皿から漬物が姿を消し、相性が良かったカレーのみ残ったという。
余談
福神漬けを食べてから水を飲むと、水が甘く感じられるというのは全国の子供が体験したことだろうと思われる。