概要
『聖闘士星矢 海皇再起 RERISE OF POSEIDON』とは、車田正美原作でメディアミックスもされた作品『聖闘士星矢』のスピンオフ作品である。
作者は須田綱鑑。チャンピオンREDで不定期掲載されている。(2023年7月号で第四話まで進行中)
なぜかPixiv百科事典には項目がない(十二宮編とハーデス編はあるのに)ポセイドン編の敵役である海皇ポセイドンとその配下海闘士の活躍を描く。
時系列としてはハーデス編終了直後。冒頭で冥王ハーデスと海皇ポセイドンが交わした会話によると、アテナとその聖闘士たちはエリシオンでの戦いから(次元の狭間を漂っている状態で)まだ帰還できておらず、アテナ不在の地上は外敵に対してまったくの無防備な状態であり、その隙を突いて人間に神罰を下さんとする女神の企みが進行中…という状況下である。(なおアニメ「黄金魂」でも、こちらは北欧アスガルドにて「アテナのいない隙に」邪神が策動する状況が舞台になっており、図らずも「アテナがいない状況」が世界にとってどれほど危ういか、聖闘士たちがなぜあれほどアテナを命懸けで守ろうとするのかが、両作品によって傍証的に証明されている)。
エリシオンの戦いでアテナに真の肉体を滅ぼされたハーデスの魂が、やはりアテナによって壺に封印されたポセイドンに力を貸し、世界が消し飛ぶ危機を救ってくれと苦し紛れの依頼するところからストーリーが始まる。
敵の首領は義憤と神罰の女神ネメシス(記事作成時点でのトップ絵の女の子)。そして彼女に仕える戦士・英魂士(スピリット)たち。攻め入るべきその本拠地はギリシア・アッティカ半島北部ラムヌス遺跡に復活したネメシス神殿と設定されている。
女神ネメシスは冥界において双子神タナトスとヒュプノス、冥王ハーデスの三柱の神が人間(アテナの聖闘士)によって殺められた状況に怒り、自身の分身である小惑星アドラステアを軌道上で砕き、その破片を地球上に降り注がせて人間を絶滅させようとしている。
彼女の理屈では「人間が地上を守るために神々を殺めたのなら、守るべき地上そのものを消し去るのがもっともふさわしい神罰」とのことだが、人間を全滅させられては冥界を維持できないハーデスと、神罰が実行されては地上の巻き添えで海界も滅ぼされてしまうポセイドンが一時的に手を結び、冥界から海闘士「ポセイドン七将軍」を甦らせ、惑星衝突までの十時間以内に神殿にいるネメシスを討つ戦いに挑むこととなる。
ちなみに、ポセイドン・ハーデスの両神はどちらも(消滅まではしていないものの)アテナに討ち果たされて肉体を失ったり封印されたりしている状態であり、その自分たちがアテナに代わって世界を守ろうとしていることに皮肉を感じているが、ポセイドンいわく「あのじゃじゃ馬(ネメシスのこと)は加減というものをいっさい知らぬ」らしく、「まあアテナのほうがなんぼかマシ」くらいの認識でいるらしい(このへん、神々の世界の価値観が垣間見えるところである)。
上記の理由により、海魔女(セイレーン)のソレントを除いて全滅していた七将軍たちは地上に復活することになるのだが、「生まれて初めて見る幽霊が自分のお仲間とは」とか「せっかく生き返ったのにお仕事かぃ」とかブツクサ言いつつ、きっちりポセイドンの命令一下、スニオン岬からラムヌス遺跡までの60キロを進軍し始めるあたり、彼らの忠誠心はなかなか大したものである。(ちなみに海闘士たちの足なら、妨害さえなければ30分程度の行程らしい。分速2キロである。聖闘士星矢世界に登場する戦士たちの具体的な身体能力数値がわかって面白い)。
ただ、甦った七将軍の中には、かつて私利私欲でポセイドンを誑かして聖闘士たちと戦わせ、海底神殿の崩壊と海将軍(ジェネラル)たちの戦死を招いた海龍のカノンがおり、(まあ無理もないのだが)案の定他の七将軍メンバーから「外道がどのツラ下げて」「恨んでも恨みきれねぇ」などと怒りをぶつけられおり、彼らが最後まで力を合わせてネメシスと戦うことができるのか、カノンの態度によってはどちらにでも転びそうな不安要素を含んでいる。
第四話までの時点で、スニオン岬にいるポセイドンを守るクリュサオルのクリシュナVS銀翼のベレロポーン、進撃中の海魔女のソレントvs幻奏(ムジカ)のテレプシコラというふたつの戦いが決着しているが、クリシュナもソレントも苦戦の中でそれまでの自分を省み、また聖闘士たちとの戦いの経験を糧に戦士として大きく成長を遂げており、どうやらこれが「海皇再起」の大きなテーマとなりそうである。
現在ラムヌス遺跡めがけて進撃中の他の海将軍(ジェネラル)たちの、それぞれの戦いと成長も期待される。
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冥王神話 / ロストキャンバス / ネクストディメンション