CV:竹本英史
人物像
第3部(キオ編)から登場。
地球連邦軍のパイロットで、階級は少佐。32歳。
キオ・アスノが住む都市、オリバーノーツのMS隊隊長。機体はクランシェカスタムに搭乗する。
オリバーノーツでの戦いの後、彼率いるアビス隊は、戦艦ディーヴァの所属となる。
ディーヴァ艦長に就任したばかりのナトーラ・エイナスの心理状態を服装から読み取ったり、ヴェイガンのMSの開発系譜に興味を持つなど、独自の観察眼を持つ。そのため、シャナルアなどからは「戦場のホームズ」などと呼ばれていた。
常に戦況を判断し、部下や艦長達を励まし、キオを攫われて苦悩するフリットに冷静になるよう諭すなど、「出来た」人物。
また、軍人としても優秀であり、自らの命よりも作戦の達成を優先するような描写も見て取れる。
ヴェイガンとの最終決戦ではゴドム・タイナムが操縦するグルドリンと交戦し、その単調な戦闘パターンを見切って撃破するが、それにより自身の機体も大破し、敵艦の上で行動不能となってしまう。しかも、その敵艦はフォトンブラスターの射線上に位置しており、機体もフレームが歪んでしまい脱出不能となってしまっていた。
最期の通信で自分には構わずに撃てとナトーラに呼びかけ、彼女の発射命令で放たれたフォトンブラスターの光に包まれ、「長い休暇が取れそうだ…」と呟き最期を迎えた。
『スーパーロボット大戦BX』でも上述イベントが再現されており、永久離脱する。一方で、特定の条件を達成すると離脱する事なく、そのまま生き残るのだが……その条件達成が初回プレイの段階では非常に難しい(特に撃墜数関係)ことに注意。
キオとの関係について
キオに対してはMSパイロットとしてだけでなく、大人としても彼を導いているが、劇中の彼との関係を通してみると、明らかに良好とは言い難いものであり、寧ろシャナルアと同様、キオに対する配慮に欠けている部分が多い。
特に46話において、敵を助ける戦い方をするキオに対して「敵だって必死なんだ!」注意を促しているシーン。33話において、キオに「敵を倒すだけが全てじゃない!」と一喝しておきながら、今度はこれである。
他者から見れば、「事実戦場において不殺は効率が悪く、13歳と幼いキオにとっての負担も決して少なくは無いうえ、場合によってはその行動が作戦進行などに支障を来たす場合もあり、彼の意見も間違いではない」。…と言いたいところだが、明らかにシャナルアの教えに反している。
そもそもセリックは、正規の軍人でもないキオを今まで戦いから降ろそうとせず、完全に無視していた癖に、今更になって彼を説教するのは理不尽である(シャナルアがキオに投げつけた「敵にだって家族はいるんだ!」というエゴが間違っているのなら、なぜ最初から彼女を注意しなかったのか…?)。
その後も二人の関係は改善されず、前述の通り、セリックはキオと喧嘩別れ同然にこの世を去ってしまった。
しかも、彼の死因は意外にも、相手を見くびっていた事による油断であり、とても戦場のホームズとは思えないミスである。言いたい事だけ言って間抜けにも去っていくセリック隊長。大口叩いておいて、一体何なんですかアナタは。
かつてのエースパイロットかつ部隊長のウルフ・エニアクルはフリットやアセムの良き兄貴分かつ良き上官(小説版では鬼軍曹だったが)としていい関係を築いていたのにもかかわらず、キオとセリックの関係ときたら…。
どうしてキオはこうも人間関係に恵まれないんだ。
ただし、これはあくまでアニメ版としての関係であり、書籍版ではこの様な不快な関係は改善されることになる(詳しくは後述を参照)。
小説版
「痛くもない腹? 一度は合法性の欠片もないクーデターで政権を掌握し、政敵のことごとくをギロチンに送ったあなたの腹が痛くない?」
戦場のホームズという肩書に恥じない才能ぶりは健在だが、シャナルアがヴェイガンと内通するスパイだと発覚し、「痛くも無い腹を探られたくない」というフリットに対し、上記の台詞を内心で愚痴ったり、そんなフリットに逆らえないフレデリック・アルグレアスを「小心者」と見下すなど、沈着無礼な一面も見られる(小説版におけるフリットのやり方を考えれば当然ではあるが)。
また、アニメ版と同様、こちらもキオの不殺を否定する描写がある。
「キミが敵を殺さなかったせいで、その敵が僕らを殺すこともある…いや、キミの腕ならば心配はない、と僕も思っている。だが――キミは自身はどうなんだ、キオ。キミは自分が殺すぐらいなら死んだ方ほうがマシだ、と思っているのか?」
ただし、これはアニメ版とは違い、キオの実力を認めているうえでの忠告であり、アニメ版の様な矛盾点はないので、まだ説得力はあると言える(実際にキオはいずれ答えをださなけらばならないと自覚はしており、ルナベース戦でも、不殺をしなかったらジラード・スプリガンによって殺されなかった命もあったと悔やんでいた)。
その後、セリックはキオを殺そうとしたゴドム・タイナムを見て、「彼のモビルスーツが脱出装置を備えておらず、キオでは止められない」と判断し(そもそもゴドムはキオに仲間を殺されていて、その復讐に囚われていたため)、自ら相手を代わり、最後はゴドムを道連れにして共にフォトンブラスターで消滅した。
クライマックスヒーロー
原作(アニメ版)から180度大きく変わり、ウルフと同様、キオの良き兄貴分となっている。
また、外見はかなり若々しく、どう見ても10~20代にしか見えない。
しかも、キオの不殺を否定するどころか、寧ろ称賛している。
「そのうえ敵パイロットまでかばうとは、キオには強さと優しさ、その両方がある!!」
また、ヴェイガンとの最終決戦の前、セリックはキオにこう言い残している。
「キオ、この戦いが終わったら、みんなでどこかへ遊びに行こう。」
「どこだっていいさ。戦争のないところなら、どこだってな。」
どう見ても明らかに死亡フラグであり、その後、ザナルド・ベイハートの手にかかって戦死するかと思われたが…。
キオ「セリック隊長。約束でしょ? みんなで戦争のないところへ行くって。」
約束を胸に秘めたキオが救援。間一髪で間に合い、セリックの死亡フラグは折れた。アニメ版の喧嘩別れという最悪な別れを見た人なら、このシーンに感動した人も多いのではないだろうか(もっとも、代わりにこいつは明らかに殺されているが)。
しかもセリックに限らず、キオの活躍により、(シャナルアを除く)アビス隊のメンバー全員が生還するという快挙である。
ホント、どうしてこうならなかった。